―自社商品の特徴を生かした差別化戦略の裏側―
【ナレーター】
競合他社が多い業界で、みすずコーポレーションは自社の商品の特徴を生かした意外な方法で他社との差別化を図っているという。
【塚田】
豆腐も油あげもそうですけど、例えばおからが出てきたり、油あげを揚げると廃油が出てきたりします。おからというのは、通常は処分しなければなりません。しかし当社の場合は、おからを集めて、あるいは自分のところで乾燥して食品用のいわゆるスナックやパンに使ってもらっています。普通は捨ててしまうか、あるいはお金をつけて処分しなければならないおからに、商品としての付加価値をつけて売っているというのも、当社しかありません。当社なりの仕組みです。そして廃油は全部ボイラーの原料にできるのです。それにはある程度の規模が必要です。ほかにも出てきてしまう副産物、バイオマスで処理をして、電気をつくっています。12機の発電モーターを回して、結構大きな(規模)です。日本においてバイオマスで(発電を)している中では、かなり大きな規模だと思いますが、これも寄与するところがあります。そういう仕組みの中で強みがあります。この分野、大豆加工に関してはこれから何をやっていくかわかりません。今のところは油あげをやっていますし、高野豆腐をやっています。でも、例えば冷凍の豆腐をやるかもしれませんし、何をやるかわかりませんが、大豆加工のノウハウというのは十分持っていますので、ここの分野については希望があると思います。
【ナレーター】
食品会社の今後について必ず生き残るといい切った理由と、塚田が見据えるみすずコーポレーションの未来像に迫った。
【塚田】
衣食住にもありますように、生きていくには食べなくてはなりません。さらに健康に留意する人が多くなってくれば、付加価値も高めることができる。そして、学校で学んだことが、例えば農学部などにいっている人たちはすごく役に立つ可能性がありますよね。また、営業で入ってくる人たちも、どちらかというと通信というかIT等は皆がやるんでしょうから、その中では少し独特というか、特殊かもしれませんが、そういう意味ではチャンスはあるのかもしれないと思います。やる気さえあれば面白いんじゃないかなと思います。
高野豆腐というのは冷凍して乾燥して、乾物にします。豆腐をつくったあと乾物にするという大変難しい技術が必要なのです。そして、当社では、味付けあげを日持ちさせるレトルトとして30年も前から扱っています。この辺りが食品技術という意味では、ある程度のベースをもう持っているということですから、このあとどういうものが、何をやっていくかということは(わかりませんし)、私の段階では油あげ、大豆の領域から出ないかもしれないですけど、みすずコーポレーションはもしかしたら全然違う会社に変化できる可能性もあるのかもしれないという意味では、今後に期待していきたい。ベースは守りながら、そういう“小さくても強い会社”でいてほしいと思っています。
経営者プロフィール
氏名 | 塚田 裕一 |
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役職 | 代表取締役社長 |
生年月日 | 1958年8月27日 |
出身地 | 長野県 |
座右の銘 | 不易流行 |
愛読書 | 『こうして会社を強くする』稲盛和夫/PHP |
尊敬する人物 | 稲盛和夫氏 |
会社概要
社名 | 株式会社みすずコーポレーション |
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本社所在地 | 長野県長野市若里1606 |
設立 | 1949 |
業種分類 | 食料品 |
代表者名 |
塚田 裕一
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従業員数 | 849名 |
WEBサイト | https://www.misuzu-co.co.jp/ |
事業概要 | 凍り豆腐、油揚げ、味付け油揚げのレトルト食品・チルド食品、シート食品他の製造と販売 |