株式会社イワキ イワシから半導体まで支えるポンプメーカーの技術力の秘密 株式会社イワキ 代表取締役社長 藤中 茂  (2020年10月取材)

インタビュー内容

【ナレーター】
イワキの製品の使われ方を示す言葉として、次のような言葉でも例えられることがあると藤中は付け加える。

【藤中】
「イワシから半導体」という言い方がありました。

イワシというのは、漁船に積まれて魚を運ぶようなポンプ、海水と一緒に魚を運ぶようなポンプですね。から、というと失礼なのですが、イワシから半導体をつくるためのポンプという言い方をしていました。

最近ですと「ケチャップからエコロジー」というようなことも言われます。ケチャップ、つまり食品製造ですね。食品製造から環境保全。幅の広い使われ方をする製品で、なおかつ皆さんが目にすることがない製品ということになります。

【ナレーター】
今後、成長性が見込める市場に注力すると語る藤中が挙げた、3つの市場とは。

【藤中】
水処理の市場、それから医療機器の市場、新エネルギーの市場、この3つの市場を今後注力すべき市場に定めています。

水処理というのは浄水場や、廃水処理もそうですし産業界、いろいろなところで水を使っていますから、その水処理。

それから医療というのは、医療機器に組み込まれるポンプになります。現在は人工透析、生化学分析装置、内視鏡の洗浄装置などそういったところを扱っています。

それから新エネルギーになりますと太陽電池、太陽電池パネルを製作するときにもポンプを使いますし、再生可能エネルギー、風力発電でも使います。発電した電気を貯めておくための大型蓄電設備でもポンプを使います。

こういった3つの市場を、今後強化注力すべき市場と定めています。

【ナレーター】
アクアリウムをはじめとした、水生生物や環境研究分野におけるブランド『REI-SEA』は、イワキが兼ねてから展開していたブランドのひとつだ。その製品技術を応用した「アクアティック事業」にも、今後注力していく方針だという。

【藤中】
まずは環境保全の面から工場排水の毒性を評価するときに、魚の卵を使って廃水を希釈して、その中に魚の卵を入れてみて孵化すれば安全でしょうということになります。

孵化しないと何か毒性があるということで、細かく調べなければいけないというところに対応しようということで、当社のポンプや魚を飼うノウハウを込めた『小型魚類飼育水槽システム』をつくりました。

そこで売れるかなというのもあったのですが、もう1つは動物実験です。

動物実験になりますとマウスなどの哺乳類を使うのですが、なかなか大きい動物ですしクリーンルームで飼わなければいけないので飼育コストが結構かかるんです。

魚で大丈夫なのかという話なんですが、魚も脊椎動物ですし、DNAの構造でいうと哺乳類に非常に近い。魚で調べておけば哺乳類と同じような調べ方ができるというのがあります。

動物実験で魚を使って、例えば健康食品に本当に効果があるのかとか、化粧品で肌に触れて毒がないのか。あるいは医療で言うと、どういう遺伝子があれば強い心臓ができるのか、そういったところで魚を飼って、魚と卵で実験しています。

当社は今までハードウェアの提供だけだったのですが、ノウハウを提供してコンサルタント的なビジネスなど、何かにつなげられないかなとやっている仕事になります。

【ナレーター】
求める人材像について、藤中は次のように語る。

【藤中】
2019年と2020年については「買って出る」という言葉を使っています。

周りの人が尻込みするような状況であっても「私がやります」と手を挙げる。ビジネスもそうですし、製品の開発でもそうだと思うんです。「難しいかな?」と思っても買って出なさいと。出るような人が多い会社でありたいなと考えています。

【ナレーター】
ものづくりは「つくりたいと思ったものをつくる」ことを貫けるかどうかが成功の鍵になると藤中は語る。その真意に迫った。

【藤中】
できるまで止めないことが一番肝心かなと思います。止めてしまうとそこで終わりで、「失敗」という烙印を押されてしまいますけれども、止めなければまた成功はあると私は考えています。

ある程度の経験を積んだ人であれば、タイミング的に今じゃないよというのはあるかもしれませんけれども、自分がつくりたいと思っているものはおそらく会社の方針にも合っているものだと思うんです。

当社のものづくりの楽しさと言いますと、大企業ではありませんので比較的この機種はあなたと任されるところがあるんです。ですので、試作、設計から、試作品の調達、それから部品の製作先の選定までかなり幅広いところを技術者に任せています。

それだけ大変なんですけれども、1つの製品の試作から量産まで1人で完結できるような仕事ができるというのは、やり切ってしまえば楽しかったと思える仕事だと思います。

【ナレーター】
長期的な目標として「10年ビジョン」を2015年に掲げたイワキ。10年後にあたる2025年に見据える未来像とは。

【藤中】
売上で言いますと、2025年3月期は連結で400億円、国内で200億円海外で200億円を実現したいと考えています。それから利益も出さなければいけませんから、営業利益率10%を目指しましょうといった数値目標はございます。

現在は国内よりも海外のほうが、少し売上規模が小さいため、海外を強化していく。人の面、組織面でも海外を強化していこうというのが長期ビジョン、10年ビジョンの計画に含まれています。

-視聴者へのメッセージ-
【藤中】
化学薬液周りでお困りのことがありましたら当社にお声がけをいただければ問題の解決や、解決の糸口、何かお助けができないかなということでお声がけをいただきたいと思います。

それから投資家の皆様に関しましては、当社は非常に多くの製品を多くの市場に販売している会社でございます。ひとつの市場の動向に左右されづらい業績の安定感というのは当社の強みだと考えています。

銘柄名で言いますと「イワキポンプ」、証券コード「6237」なります。イワキへのご理解をぜひともいただきたいと思います。

最後に当社で働いてみようかなと思う方に向けてですが、当社は社歴60年を超えておりまして、古い会社ではあるんですけれども、反面、上場してからはまだ4年の会社ですので、中身として若いところもあります。

山ほど苦労がある反面、山ほどやりがいもあると思います。そういった会社に興味がある方がいらっしゃいましたら、門を叩いていただければ、一緒に働くことできると考えておりますので、よろしくお願いいたします。

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経営者プロフィール

氏名 藤中 茂
役職 代表取締役社長
生年月日 1964年12月20日
座右の銘 飄々
愛読書 Racing on (レーシング・オン)
尊敬する人物 開高健
略歴
1989年4月 株式会社イワキ 入社
2009年2月 代表取締役社長 就任

会社概要

社名 株式会社イワキ
本社所在地 東京都千代田区神田須田町2-6-6  ニッセイ神田須田町ビル
設立 1956
業種分類 機械器具製造業
代表者名 藤中 茂
従業員数 1,124名(連結)788名(単体)(2024年3月31日現在)
WEBサイト https://www.iwakipumps.co.jp/
事業概要 ケミカルポンプ及びポンプ専用コントローラ等の周辺機器の 開発・製造、仕入及び販売 等
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