株式会社イワキ イワシから半導体まで支えるポンプメーカーの技術力の秘密 株式会社イワキ 代表取締役社長 藤中 茂  (2020年10月取材)

インタビュー内容

【ナレーター】
世界中から支持される日本のものづくり。自動車などの目に見えるものから、我々が意識することがない生活の一場面に至るまで、その技術力が活かされている。

そんな中、あらゆる産業で活用されているポンプの領域において、多種多様な製品開発に注力し、その発展に貢献する企業がある。株式会社イワキだ。

「常に最前線で産業を支え、社会の発展と人々の幸福に寄与する」を経営理念に掲げ、ケミカルポンプを中心とした流体制御機器を多岐にわたる分野に向けて開発・提供。

2016年にはこれまで培ってきたノウハウを生かし、「イワキアクアティック事業」を開始。これまで哺乳類を使用し行なっていた研究を、よりコストの安い魚類などの水生生物に置き換えて行なうことができるという装置やその飼育ノウハウを提供し、研究の新たな在り方として注目を集めている。

2020年10月時点で、海外15カ国に拠点を置き、グローバル企業としても躍動するイワキ。その高い技術力と製品開発力の裏側に迫る。

【ナレーター】
幼少期から車に興味があった藤中は、車雑誌を出版している出版社へ応募するも、採用予定はないと言われてしまう。諦めきれない藤中は手紙でやり取りを続け、その姿を見かねた大学の教員が紹介した企業がイワキだった。当時のエピソードについて、藤中はこう振り返る。

【藤中】
イワキはたまたま私の家から自転車で10分ぐらいで行ける、非常に近いところにありましたので、会社を見学に行ったらその時点でもう、内定をもらえたんですよね。

出版社も並行して受けていまして、イワキからは内定承諾書を出してくださいというようなことを言われるんですが、ちょっと待ってくださいと待っていてもらって。

そして11月になって、さすがにもう出版社はダメかなと思って、イワキのほうに「お世話になります」と大学から電話しました。その後、家に帰ってみたらその出版社から「いついつ面接しますから来てください」と手紙が来ていて。

でもイワキには「行きます」と言ってしまったものですから、申し訳ないですけど出版社はお断りして、イワキに入社しました。

【ナレーター】
その後、イワキに入社した藤中。当時の仕事内容と今でも心に残る上司からのある言葉とは。

【藤中】
半導体の製造用のポンプなのですが、今までにない形、方式のポンプをつくろうということで手がけた仕事がありまして。

非常に時間もかかって、最終的に上手くいかなかったということでお客様にご迷惑をおかけしてしまいました。後々、プラス材料にはなっているのですが、かなり困難で辛い仕事ではありました。

最初の上司は課長になるんですけれども、いろいろ相談に行くときにやりがちなのは「どうしたらいいでしょう?」て聞いてしまう。そういう質問の仕方っていうのは認めてくれなかったですね。

「これとこれ、どっちにしましょうか」と候補を持ってきなさいと。それだったら俺は、相談に乗るよと。ただ、候補がなく「どうしましょうか」と言われたら、それは、俺は相談に乗らないよと。そう言われたのが、非常に心に残っていますね。

【ナレーター】
創業者で当時の社長でもあった藤中義昭氏のご令嬢と結婚後、次期社長として力をつけるべく、1年をかけて世界中にある支店と営業所を巡り、仕事を学ぶ日々を送る。義昭氏の経営者としての印象について、次のように語る。

【藤中】
非常に堅実。無駄遣いをしないといいますか。

最近ですと、バブル経済、といってもピンとこない人が多くなってきてしまったんですが、株式や土地の投資というのが非常に流行った時期がありまして。

その後、1990年ちょっと前くらいだったと思うんですが、バブルが弾けて、投資をされた方が皆、損をしてしまったということがありました。

当社も当時、おそらく余剰資金などはあったとは思うんですけども、土地を買ったり株を買ったりというのは一切していません。非常に堅実なんだなと思いました。

要するに本業以外で儲けないようにしようというのが、基本的なポリシーだったんだろうなと思います。

【ナレーター】
そして2009年に代表取締役社長に就任。当時イワキをどのような会社にしていこうと考えていたのか。

【藤中】
当時、些細なことで「社長に決めてもらいましょう」と言う幹部が結構多かったんですよ。それはいかがなものかと思っていたものですから、権限委譲、なるべく現場で判断して決定して物事を進められるようにしたいと思いました。

まだまだ途中ではありますけど、そういった決定の仕方とか決断の仕方、なるべく早く、なるべく現場でというのが私の基本的な考え方になります。

【ナレーター】
硫酸、塩酸などの化学薬品の液体を送るケミカルポンプの開発・製造・販売を中心に、水分野から半導体、最先端医療まで幅広い事業領域を有するイワキ。同社の製品がどのような場面で活用されているのか、その特徴に迫った。

【藤中】
大きく2通りの使われ方があります。1つが化学工場とか化学プラントに据え付けられて動くタイプ。それからもう1つが、主には小型の製品のみですがお客様の装置に組み込まれて使われるタイプです。

装置というのはこれも多岐にわたるのですが、わかりやすいところで言いますと人工透析装置の中のポンプとか、あとは映画館での大きな液晶プロジェクターの光源、非常に熱を持ちますから、冷やさなくてはいけないという仕事があります。

そういった冷却の仕事であったり、半導体製造装置の中に組み込まれる、そういったポンプがあります。

高品質な製品でプロに使っていただいて。水族館とかイケスとかでも使っていただいていて、これはちょっと変わったところかなと思います。

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経営者プロフィール

氏名 藤中 茂
役職 代表取締役社長
生年月日 1964年12月20日
座右の銘 飄々
愛読書 Racing on (レーシング・オン)
尊敬する人物 開高健
略歴
1989年4月 株式会社イワキ 入社
2009年2月 代表取締役社長 就任

会社概要

社名 株式会社イワキ
本社所在地 東京都千代田区神田須田町2-6-6  ニッセイ神田須田町ビル
設立 1956
業種分類 機械器具製造業
代表者名 藤中 茂
従業員数 1,124名(連結)788名(単体)(2024年3月31日現在)
WEBサイト https://www.iwakipumps.co.jp/
事業概要 ケミカルポンプ及びポンプ専用コントローラ等の周辺機器の 開発・製造、仕入及び販売 等
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