【ナレーター】
ソネットで働く中で佐渡島が見出した、ビジネスを成功させるための2つの勝ち筋とは。
【佐渡島】
1つは集客力です。
なぜかというと、一番感じたのはその出資している会社にモバゲータウンとしてDeNAさんがいらっしゃって。実はその当時ビジネスモデルが広告or課金だったんですけど、課金だとどうしてもパソコンでは課金されないので携帯の課金になってしまうんです。
そうすると、モバイルインターネットがiモードのサイト内課金しか当時はできなかったので、その可能性も十分知っていたので、新しいビジネスモデルとしてもう少し広告を広げるようなモバイルサービスをつくろうとしていたんです。
ただ集客力を武器に勝てないというのが明確にあったんですね。パソコンはYahooさんだし携帯だとモバゲーという二大巨頭がいて、そこに集客でどんな面白いコンテンツを持っていってもこれは難しいなという絶望感がとてもあったんです。
もう1つはテクノロジーだと思ったんです。やっぱり世の中が変わっていくのはテクノロジーがあるからで、それによって人の行動が変容していく。
例えば色々な疫病が流行ったりとか地震があったりとか、今のコロナも本当にZOOMやリモート、ビデオチャットによって仕事は止まらなかった。そういう変容があると思うんですね。
【ナレーター】
その後、ソニーの研究所からスピンアウトしたモーションポートレートという会社への参画を提案され、当時の研究所の事業や保有している技術に可能性を感じた佐渡島はこれを了承。
しかし、ある技術との出会いをきっかけに佐渡島の運命は大きく変わることとなる。
【佐渡島】
自分の顔をかざすと似たキャラクターが出てくるというそんなソリューションを開発していたんです。
高性能なパソコンを眺めながら顔写真をたくさん集めて、似た顔のアルゴリズムがどうできるかというのを並べて機械学習をずっと回していたんですよね。
そのエンジニアの子と一緒に出張へ行ったときに、「どうしてあのソフトをかけたの?」と聞いたら、「ある朝起きたらできていた」と言うんですよ。ある朝起きたらできていたってどういうこと?となって。
その当時はまだAIがそこまで浸透していなかったので、筋のいいデータアセットをたくさん組み合わせることで機械が学び直して、その統計でアルゴリズムをつくってくれるのだという話を聞いて、これは面白いと思いました。
しかし逆説的に言うと、本当に優秀な研究者を集めたアルゴリズムをつくってそれをライセンスするのが研究所の事業だったので、コンピュータサイエンスの研究所は逆に可能性が閉ざされてきたんです。
それで新しいデータプラットフォームを僕たちがつくらないと世界を変えることはできないんだということを切実に感じたんですね。
【ナレーター】
必要と感じているもので世の中になければ自らつくろうと、2014年にソニー時代の同僚であった現取締役の下崎氏と森本氏とでセーフィー株式会社を共同創業。創業当時のエピソードに迫った。
【佐渡島】
当時流行っていたカメラを輸入などもして全部買ってきて、一緒にカメラの中を開けていたんですよ。それでチップを見つけて、「あ、これアンバレラというチップをみんな使っているね」という話になったんです。
共同創業者の下崎がアイデアを出したんですが、じゃあそのチップにちゃんとこのハードウェアにソフトを入れ込んでデータを集めたら、佐渡島さんが言っているニーズみたいなものは叶うよと。
もう一人の共同創業者の森本というのは元々グーグルに勤めていて、プラットフォーマーということをすごく意識していたので、その結果としてプラットフォームができるよねという話をしていて。そしたら森本が「こんなの楽勝じゃん」とか言っていきなりコードを書き始めたんです。
こういうサービスを色々買ってきて、まずその構造を調査するところから始め、このシステムだったらこうなるという感じで進めていたら「楽勝だ」みたいな雰囲気になって、それからスタートしました。
【ナレーター】
その後、無事製品化と資金調達を実施し、2017年にクラウド録画カメラ市場において国内シェアトップを獲得。破竹の勢いで成長できた要因として、佐渡島は次のように振り返る。
【佐渡島】
我々ができるのはせいぜいサーバーシステムとカメラの中に入れるファームウェアぐらいなんです。
それを何とかして完成させるために、苦肉の策として自分たちのプロダクトが例えば売れなくても、一緒にやってくれるパートナーに株式を渡そうと。
例えばオリックスさんだったりソニーグループだったりキヤノンさんだったりとかセコムさんだったりNTTグループなどですね。自分たちにないピースを皆さんの力で一緒にやってくださいとお願いして資金を得て、それを一緒に販売したりハードウェアを一緒に開発したりということができたことが大きなブレイクスルーポイントでした。
資金調達と仲間を得たということで、創業から3年半はほとんど真っ平らの成長で、中々難しいと思っていたところからぐっと伸びて。その当時、大体カメラが3年半で1万台ぐらいの出荷だったんですけれど、今は1カ月で1万台以上の出荷になってきているんですね。
今の皆さんのパートナーシップによって補完されあう関係を、資本を使ってできたということが一番大きいなと思いました。
経営者プロフィール
氏名 | 佐渡島 隆平 |
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役職 | 代表取締役社長CEO |
生年月日 | 1979年10月23日 |
出身地 | 兵庫県 |
座右の銘 | 信念の魔術 |
愛読書 | 貞観政要 |
尊敬する人物 | 小林一三 |
その後新卒で2002年にソネット株式会社に入社をし、2010年にソネットが出資するモーションポートレート株式会社のCMOに就任。
2014年に同僚と共にセーフィー株式会社を創業。
会社概要
社名 | セーフィー株式会社 |
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本社所在地 | 東京都品川区西品川1-1-1 住友不動産大崎ガーデンタワー |
設立 | 2014 |
業種分類 | 情報通信業 |
代表者名 |
佐渡島 隆平
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従業員数 | 461名(正社員459名、契約社員2名/2024年7月現在) |
WEBサイト | https://safie.link/ |
事業概要 | クラウド録画型映像プラットフォーム「Safie(セーフィー)」の開発・運営および関連サービスの提供 |