株式会社日建設計 「開放型の組織」で新境地へ。新社長が目指す次なる成長ビジョン 株式会社日建設計 代表取締役社長 大松 敦  (2021年2月取材)

インタビュー内容

【ナレーター】
2つの大プロジェクトを成功に導いた大松はその後も順調にキャリアを重ね、2021年1月、代表取締役社長に就任。当時の心境にについて、大松は次のように語る。

【大松】
今回初めて指名委員会というものが発足されて、指名委員会で「こういうことが話されています、どうですか?」と現会長の亀井から言われたんですね。

こういうところが評価されて、あるいはこういう資質を持つ人間として、大松さんの名前が出ていますと言われて、少し戸惑いもありました。

というのは、これまでは建築設計の出身者がなっているケースが多いので、2000人になっている日建設計の社員たちに受け入れてもらえるだろうかと、若干不安もあったんですけど。

指名委員会は、亀井以外は社外取締役で構成されていて。社外の人からの見立てと含めて、そういうことであればやってみようかと思ったということですね。

【ナレーター】
120年の歴史を誇り、多種多様なプロジェクトを手掛けてきた日建設計。今後どのような企業にしていきたいと考えているのか。

【大松】
新しい人が入ってくる、新しい経験を取り入れる、新しい技術も取り入れる、そういうことを間断なく行なって、古いものは捨てれるようなそういう循環をしっかりしていけないかなと。それがいわゆる健康な組織だと思っていて。

組織の数やニーズが大きくなると売り上げが上がる、もちろん目標として掲げなければいけない部分でもあるんですけれども、そういうものだけを求めるのではなくて、組織の健全性、健全な組織が何のためにいるかというと社会の役に立つために、自分自身が健康でないときちんと社会に貢献できないという意味で、組織の健全性をいかに保てるか、向上させていけるか、できれば向上させたい、今以上に健康な組織にしていきたいと思っています。

【ナレーター】
組織の健全性の維持向上のため、現在取り組んでいる2つのこととは。

【大松】
小さなイノベーションをみんなで共有できるような環境づくり、これがひとつ重要だと思っています。今年そのために新しい部門をつくりました。

今までもそういう色々な取り組みは仕組み的にしてきたんですけれども、これをもう少し組織的にしっかりと意識的にやっていこうと。社内の小さなイノベーションをどんどん活発にしていこうというのがひとつですね。

それから、もうひとつは開放型の組織にしようということを謳っていまして。設計事務所だけが図面を書いてものができるわけではないということをよりしっかりと実現していこうということなんですけれども。

社外の同業であったり異業種とのコラボレーションであったり、そういったものをどんどんどんどん増やすことによって、健全で新しいアイデア、知見が社内にも入ってくると思うので。それを是非やっていきたいと思っています。

【ナレーター】
「EXPERIENCE,INTEGRATED」。2017年から日建設計が掲げるブランドタグラインだ。この言葉に込めた思いに迫った。

【大松】
「経験を統合する」ということなのですが、無意識的な経験といいますか、とてもそれが組織の接着剤といいますかつなぎ止めたり、それがプロジェクトを動かす力になったりするものだと思っているので。

中々言葉にしにくいのですが、それを今もう一段きちんと皆で共有できるようにしていこうとやっています。

【ナレーター】
海外について、現在中国を始め、ヨーロッパや中東、ロシアまでプロジェクトを展開している日建設計。事業領域を拡大させていく上で大松が重要視していることと今後の展望とは。

【大松】
海外に行くといわば相手からすれば一見さんなので、何ができるのかと問われます。たくさん色々なことをやっています、あらゆる種類の建物を設計できますと言っても全然強みにならないんですね。

それはそうですよね、世界中の同じような人たちと比べられるわけですから。自分たちは何が先鋭的に得意なのかはっきり打ち出して、専門店として売っていかないといけないなと思っています。

【ナレーター】
求める人材像について、大松は次のように語る。

【大松】
一人ひとりの専門性が非常に大切になってきます。

その専門性を通じて世の中にこういうことをしたい、こういう貢献をしたいという夢は個人的なものでも、もう少し大きな、社会を変えるようなものでもいいんですけれども。そういう夢をはっきり持っていることが大事かなと思います。

-視聴者へのメッセージ-
【大松】
一言でいうと「チャンスは準備された心にやってくる」そういう言葉があるんですね。

これは簡単なことではなくて、日々の自分の関心がある領域、自分がやりたいと思っていることに対する、絶え間ない調査だったり、考えることだったり、そういったことを通じて準備された心というのは育ってくると思います。

それからその都度その都度、準備された心に向かう羅針盤になるのは“ワクワクする気持ち”だと思うんですね。本当にやっていて楽しいかどうか。やはり自分がワクワクするから人よりも一歩二歩、先のことを調べられたり考えたりできる。

その両方、楽しい、ワクワクするという心を直感的にしっかり持ち続けて、そこに対する感受性を磨くということと、それだけではなく、それに伴う周りの領域、それを実現するためのこと、簡単にできなくても自分で考える、そういうことを繰り返す。

その2つをやり続けることによって必ずチャンスはやってくるとお伝えしたいと思います。

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経営者プロフィール

氏名 大松 敦
役職 代表取締役社長
生年月日 1960年5月17日
出身地 東京都
座右の銘 直感精読、Chance favors the prepared mind
愛読書 『アルケミスト』
尊敬する人物 渋川春海、伊能忠敬
著書 『アーバンアクティビティ』、『58パブリックスペース』いずれも共著(新建築社)
略歴
1983年、東京大学建築学科を卒業、日建設計に入社。東京ミッドタウン(2007)、東京駅八重洲口開発(2013)、渋谷スクランブルスクエア第1期(2019)を含む「渋谷駅周辺再開発」など、数多くの複合的な都市開発に携わってきた。2021年より現職。一級建築士、日本建築家協会登録建築家、日本建築学会会員。

会社概要

社名 株式会社日建設計
本社所在地 東京都千代田区飯田橋2丁目18番3号
設立 1950
業種分類 サービス業
代表者名 大松 敦
従業員数 役員・職員 2,291名 (3,041名)
WEBサイト https://www.nikken.co.jp/ja/
事業概要 建築の設計監理、都市デザインおよびこれらに関連する調査・企画・コンサルティング業務
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