【ナレーター】
仕事を続ける中で、桑田が公務員ならではのある違和感に苛まれたという。
【桑田】
当時の上司に「僕の給料って誰が決めているんですか」って聞いたことあるんですよ。人事勧告で決まっているとそういう話だったんですが、「つまり誰なんですか」と問うと世の中の状況を鑑みて、みたいな話になって。
だから誰が僕の給料を決めているのか、上司ですらも答えられない訳なんですよ。この状況は納得がいかなかったですよね。
公務員は解雇されないんですよね。ですから解雇されないという権利を盾に頑張らない人、かたやそんなことを考えずに一生懸命働く人と二分されるわけですよね。そういった状況を見て納得いかなかったというのもありましたね。
そういったところで、たまたま僕はパソコンが得意だったんですよね。OA化と当時は言われていましたが、人員を変えずに仕事の効率化を図るということを、僕が率先して推進しました。その結果、組織からの表彰を受けたりもしました。
その時にこれは世の中に出てもいけるのではないか、通用するのではないかと思い、それをきっかけに独立したんですよね。
【ナレーター】
インターネットコンテンツの販売会社を立ち上げるも、競合他社との価格競争に負け撤退を余儀なくされる。
生活のために個人での仕事の受託と合わせて、自身が持っていたブランド品や衣類、電化製品などをヤフーオークションで販売したことをきっかけに、ヤフーオークションを活用したビジネスを開始。
どのようにエコリングの立ち上げへとつながったのか。その裏側に迫った。
【桑田】
ある時、僕の友人に「あんた、ヤフオク生活しているんだって」と言われまして。「私のバッグを出品して売ってくれないか」と頼まれたんですね。
そのバッグはシャネルのバッグで、当時は鑑定技術というのはなかったものですから、その質屋さんに行って、バッグの真贋について聞いたんですよ。そうしますと、これは本物だと言われて、「いくらで買い取ってくれるか」と聞いたら2万円と言われたんですよね。
その友人に連絡して「2万円で買取だから、もし2万円以上で売れたらその売れた分折半しよう」という話をしたんですよ。了承してもらったので、いざ売ってみると7万円で売れたんです。その時「買いたたかれているやん」と思ったわけですよ(笑)。
良かったねという話になったんですけれど、ただこれ待てよと。あの時に手放していたら2万円で査定してくれた質屋さんが残りの5万円利益が出ていたなと。
そこを考えたときに、これは我々がその買い取るというビジネスをやった方がいいのでっはないかと思いまして。
いつも質屋さんに「お前こんなゴミみたいな商品を持って帰って、何するん?」ってよく聞かれていたんですよね。その質屋さんにとっては売れないし、売れないから安くしているというそういう商品な訳なんですよ。
ですからお互いの利害が一致しているわけだけれども、売れないとわかっていて買い取っているということは、結局ほとんどが買い取っていないのではないかと思ったんですよね。
ただ単にお客様がついでに置いていった物を適当な値段をつけて置いているだけ、そんな感覚があったんですよね。
だからそこにしっかりと値段をつけることによって、お客様側は得するだろうと思って、これであれば店舗を立ち上げた方がいいなと立ち上げました。
【ナレーター】
その後瞬く間に店舗数を増やし、2021年5月時点で118店舗を展開し、成長を続けているエコリング。桑田が描くエコリングのあるべき姿とは。
【桑田】
リサイクルというのは素材を溶かしたり、裁断したりしながらまた新しいものに生まれ変わらせる。素材の活用なんですね。リユースっていうのはそのままその物の活用になるわけです。
その物の活用っていうのを考えた場合、リサイクルとリユースというと明らかにリユースのほうがCO2を排出する量少ないんですよね。
日本で徹底的に再利用して、それでも再利用できない、日本で不良品と言われるものをそのまま海外に持っていく。例えばバンコクで使っていただいて、その後、使わないなと言われるものを今度はカンボジアに持っていく。
それでも使わないなというもの、これをまとめて孤児院に持っていって、その孤児院の子どもたちとフリーマーケットをしたり、そのまま使ってもらったりすることによってリユース品、商品をお金に変えるというひとつのビジネスとしての学び、教育として渡していく。そうやって商品は全て無くなっていくわけですね。
これこそが我々のやりたいことであって、それをもっともっと生活の色々な場面で取り組むことによって、ブランド品や貴金属というようなものが、当社のメインですけれども、それと同時に不良品も同時に持ってきていただけるようなそういうビジネス。
社会のひとつのインフラとなるようなビジネスにステージを上げていきたいなというそういう思いがありますね。
-視聴者へのメッセージ-
【桑田】
エコリング社はごみ問題、貧困問題、そういうことを解決して地球環境に優しい企業になっていこう、そういう思いがあります。
ただ地球温暖化などそういった問題については、正直僕はどういう状況で何が正しいのかはわかりません。ただ僕が小さな頃や若い頃に見た海、そして川。そういったものの環境が昔と比べると明らかに悪くなっている。
こういうことを感じたときに自分に何ができるのか。そしてこの仕事を通して何をするべきなのか。そのように考えたことが結果的に今、それが形になろうとしています。
そういった意味で今後ともエコリングはそういう側面も見せながら、そして古物業界の活性化を考えながら取り組んでいこうと思います。
今後ともエコリングをよろしくお願いいたします。
経営者プロフィール
氏名 | 桑田 一成 |
---|---|
役職 | 代表取締役社長 |
生年月日 | 1968年12月19日 |
出身地 | 兵庫県 |
座右の銘 | 照于一隅 |
愛読書 | ベン ホロウィッツ著「HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか」 |
尊敬する人物 | 稲盛和夫 |
著書 | ・桑田一成 (著), 今谷鉄柱 (著)『エコリング創業物語』想伝舎ビジネスマンガシリーズ ・桑田 一成 (著)『経営者のみなさん! 準備できていますか?』出版文化社 |
平成12年6月 郵政省を退省の後、平成13年5月 インターネットコンテンツ販売会社である有限会社アイ・ビー・エスを開業。
その後、平成15年4月 有限会社エコリングに社名変更し、平成17年6月 株式会社エコリングに組織変更して現在に至る。
会社概要
社名 | 株式会社エコリング |
---|---|
本社所在地 | 兵庫県姫路市飾磨区恵美酒213 錦ビル 本社 |
設立 | 2001 |
業種分類 | サービス業 |
代表者名 |
桑田 一成
|
従業員数 | 521名(2024年1月時点) |
WEBサイト | https://ecoring.co.jp/ |
事業概要 | (1)リユース業(ブランド品・宝飾・古美術を中心とした古物全般)(2)買取専門店の運営およびFC事業 (3)自社ECサイトの運営(BtoB、BtoC) (4)その他インターネット販売および業者間取引 |