アイカ工業株式会社 愛知発ものづくり企業 成長の秘密と新時代を見据えた「挑戦と創造」とは アイカ工業株式会社 代表取締役会長 小野 勇治   (2021年6月取材)

インタビュー内容

【ナレーター】
そして2010年に代表取締役社長に就任。社長就任後に注力した2つのこととは。

【小野】
私が就任した当時は年間にまだ120万戸近くの家が建っていたのですけれど、当時の予想で2030年に建つ家はその半分の60万戸になると。

当時住宅関連に重きをおいていたアイカ工業が、この状態のまま続けていくと非常に運営が苦しくなるので、住宅以外の違う柱を準備しなければいけないということで、そのひとつとして注力したのが非住宅という切り口です。

デパートだとか駅だとか空港だとかホテルだとか、そういうような材料の建材を、大きな柱にしなければならないと思いました。

もう一方で、海外の販売金額が、当時私が就任したときの売上高は30億円ぐらいしかありませんでした。

海外で販売する金額がだいたい売上高全体の4%ぐらいだったと記憶していますけれど、それをもっと増やして海外の販売比率を高めて、国内と海外が同じぐらいの比重になるぐらいにもっていこうと。

今はまだ全然完成形ではないけれどだいぶ舵取りはできました。先ほど申しました販売比率が4%で売上高が30億円ぐらいだったものが、今は41~2%ぐらいになって売上高も750億円ほどになりました。

もし国内に一点集中していたら、今の当社の規模に至るのは厳しかったのかもしれませんね。

【ナレーター】
海外展開において大きく飛躍できた要因のひとつが「挑戦と創造」のもとで実施したM&A戦略だ。

【小野】
これまでに(M&Aを)やったのは2~3件しかないと思いますよ。直近の10年では13~4件やっていますから。

まず以前と比べて頻度がまったく違うのと、金額も全部で数百億円M&Aに投入しておりますので、思い切って踏み込んだというのが大きいです。「アイカ工業ってこんな大きなM&Aをやるんだね」と言われましたね。

今から8年ぐらい前に、150億円で1つの会社を買ったんですけれど、そこから世間の見方が変わって。アイカ工業はM&Aをやるからこういう案件を1度提案してみようと。こういう案件をもち込んだらどうだというのが増えました。

【ナレーター】
数百億円以上の予算を投下した大きな挑戦。その決断ができた理由を尋ねると、小野は力強くこう答えた。

【小野】
責任は社長がもつ、それだけですよ。

他社の人や、社内の人などから意見はいろいろ聞いて取り入れるのだけれど、最終決断は社長だし、決断して動いた内容で責任取るのは社長ですから。

私が責任を取るのだから、自ら判断してこれを実行すると。社長という役職というのはそうですよね。

【ナレーター】
求める人材像について、小野は次のように語る。

【小野】
中途のいわゆるスキルをもっていらっしゃる方をいかに見つけて、当社に来ていただくかというのが非常に重要ですよね。

私は偶然にもプロパーですけれど、私の下にいる専務も他社から来た人ですし、その下の常務も他社から来た人です。案外中途で入って来ていただいて頑張っていらっしゃる方が多いです。

本当に意欲があって、当社で腕を振るってみたいという方がいらっしゃればどんどん来ていただきなさいと、人事部にはいつもいっていますね。

【ナレーター】
「アイカ10年ビジョン」と題し、2027年までに連結売上高3000億円、経常利益300億円を掲げているアイカ工業。その実現に向け、小野が見据える展望とは。

【小野】
ただの数字だけの拡大ではなくて儲かっている拡大を進めていって、最終的には3000億円の連結売上高、300億円の経常利益に仕上げていくということを目指しています。

そのためには課題を抽出してお客様の声をよく聞いて非常に早いスピードで開発し、どんどん市場へ(新商品を)投入しながら、新規の領域にも一部入り、拡大していく。

一方で、海外への販売も当然3000億円というひとつの目処になってくれればその半分ぐらいが海外でもっていくことになると思いますので、国内1500億円、海外が1500億円ぐらいになれるようにまずはM&Aを駆使していくと。

今は中国と東南アジアが中心なので、もう少し西のほうのいわゆるインドとか、その辺りの拠点を強化していくのと、やはり自動車なんかはアメリカが相当出ています。

現在アメリカで供給している化粧品の材料に加えて、接着剤、一部UV塗料、紫外線硬化する塗料、こんなところを強化するという意味合いも含めてアメリカの企業のM&Aというのはどこかの段階ではやるとは思います。

―視聴者へのメッセージ-
【小野】
自ら積極的に前へ進んでやったことを咎める人は、当社を含めてどこの会社にもそんなにいませんよ。だから任された範疇プラスアルファで、失敗してもいいからどんどんやってほしい。

最終的には社長が責任取るのでどんどんやればいいと思うんですよ。われわれのようなものづくりをやっている会社というのは、ものだから、現場へ行って、そのものに触ったりいろいろしたりするというのはまったくカメラの映像で撮るのとは違うんですよね。

もっと外に出かけていけばいいと思う。今(2021年6月)はコロナの影響で無理だけれど、ある程度収束したら率先していろいろなところに出かけていっていろいろな情報を仕入れてもらいたいですよね。

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経営者プロフィール

氏名 小野 勇治
役職 代表取締役会長
生年月日 1956年8月24日
出身地 岐阜県
座右の銘 積極的精神
愛読書 司馬 遼太郎 「坂の上の雲」
尊敬する人物 児玉 源太郎
略歴
1979年、金沢大学工学部工業化学科卒業後、アイカ工業株式会社へ入社。
入社後は化成品の開発業務に従事し、営業部長、開発部門長などを歴任し、化成品事業の発展に寄与。
2010年に代表取締役社長に就任。

会社概要

社名 アイカ工業株式会社
本社所在地 愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番1号 JPタワー名古屋26階
設立 1936
業種分類 化学
代表者名 小野 勇治
従業員数 4,949名<連結>1,211名<単独>
WEBサイト http://www.aica.co.jp/
事業概要 化成品、建装建材の製造・販売
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