株式会社TBM 何があっても諦めない。日本初の素材『LIMEX』開発成功の舞台裏 株式会社TBM 代表取締役 CEO 山﨑 敦義  (2021年6月取材)

インタビュー内容

【ナレーター】
世界が注目する石灰石を主原料とした素材『LIMEX(ライメックス)』の開発を手がけているスタートアップ、株式会社TBM。

『LIMEX』は、製造過程における石油使用量もプラスチックと比べて少ないことから、資源枯渇やCO2排出削減といった環境問題への貢献が期待されている。

また、同社は『LIMEX』を世の中に送り出すだけでなく、社外パートナーと積極的に連携するなど、回収・循環する仕組みの導入を推進。資源投入・消費量を抑え、サービス化などを通じて付加価値を生み出すサーキュラー・エコノミー(循環型経済)の実現を目指し、挑戦を続けている。

苦難を乗り越えて事業化を実現させた創業者の軌跡と、実現したい未来に迫る。

【ナレーター】
世界で注目される新素材『LIMEX』の強みについて、山﨑は次のように語る。

【山﨑】
石油の使用量と、CO2排出量も削減できる。地球規模で社会課題となっている気候変動の問題にアプローチできます。ただ『LIMEX』をつくって供給するだけでなく、回収し循環していくシステムも仕掛けていこうと思っています。

ペットボトル自体はペットボトルとしてリサイクルされることがありますが、キャップはなかなかリサイクルされないことが多かった。

そこで、プラスチックの再生材料を50%以上含む『CirculeX(サーキュレックス)』というブランドを立ち上げ、『LIMEX』の資源循環を加速させるための施策として取り組んでいます。

【ナレーター】
TBMをけん引する山﨑は、270年以上の歴史を持つ『岸和田だんじり祭』で著名な大阪府岸和田市で生まれ育つ。山﨑自身もこの文化に触れ、多くの影響を受けたという。

【山﨑】
当社でも祭りの参加が年に一度のイベントになっていて、参加しながら社員同士が普段話せないことを語り合うこともあります。

祭りを見て感じてから、社員が自身について「なるほど、点と点が線でつながった」と感じることも多いみたいです。

『岸和田だんじり祭』では、参加者は町ごとに分かれ、「うちの町が一番だ」というプライドをもって取り組みます。上下関係や仲間意識、結束力、「腹をくくってやるぞ」という覚悟も学ばせてもらいましたね。

【ナレーター】
中学卒業後は大工という職人の道を選んだ山﨑。起業を志したきっかけは、仕事現場での何気ない一幕だった。

【山﨑】
当時、僕の周りには「俺にはこんな夢があるんだ」「こんな大きなことにチャレンジしてみたい」という話をしてくれる先輩がいなかった。

社会に出て初めて突き付けられた現実…寂しさとか虚しさみたいなのを味わったときに、後悔と反省もありました。同じように、社会に出た後輩たちに「夢を見るなんてイメージできない」「見本がいない」と思わせてしまうのも嫌でした。

それで、20歳のときに仲間たち数名と中古車販売の会社を立ち上げた、というのが僕の起業のスタートです。

【ナレーター】
その後、中古車販売事業を立ち上げた山﨑は、ひたすら仕事に没頭し、地元でも注目されるほどの企業へと成長させる。その過程で渡ったヨーロッパで受けた衝撃と芽生えた決意とは。

【山﨑】
ヨーロッパでは、何百年も前に、何百人もかけてつくった建物が当たり前に町の中にあり、みんなが普通にそこで暮らしている。町や建物は変わらず、人だけが入れ替わっているわけじゃないですか。「すごいな、この歴史の重みは」と感じました。

ビジネスで頑張っていくことと、こうして海外を経験していくことがイコールになるような……僕と一緒に事業をやっていく仲間たちが世界中で仕事ができ、挑戦できるような事業をやりたいと思ったんです。

それは30歳での気づきだったのですが、「これから先も絶対に挑戦し続ける」と考えたときに「大きな目標を立て、そこから逆算して事業を考えよう」と思いました。

「『兆』のつく会社に絶対にする、そういう事業に出会いたい」と考えてから2、3年後に、台湾産のストーンペーパーに出会いました。

【ナレーター】
ストーンペーパーの輸入を経て、その後独自の技術による新素材の自社開発を開始。これまで行ってきた事業とはまったく異なるものだったが、不安はなかったのだろうか。

【山﨑】
それに関しては、やり甲斐のほうが勝っているんですよ。

この素材の潜在的な意義を強く感じていたので。大変ですけれど、「社会における問題を少しずつでも解決していくために、自分たちが挑戦ができる」というワクワク感、期待にこたえたいという思いがすごく強かった。

周りの人からは「大丈夫か?」「おかしくなったんじゃないのか」と言われました。それはそうですよね。中古車販売をしていた人間が、いきなり「紙の工場をつくる」と言ってお金を集め始めている。「絶対できるわけない」とも言われました。

しかし、僕は「これがこうなればこうできるんだ」というイメージができていました。不安よりは、「絶対にやってやるぞ」という覚悟とやり甲斐のほうが勝っていましたね。

ひとりでも出資をしていただく人が出てきた段階で、進みだしたらもう引き返せないですよね。「仕上げるのは命がけだ」という覚悟で取り組んでいました。

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経営者プロフィール

氏名 山﨑 敦義
役職 代表取締役 CEO
生年月日 1973年11月21日
出身地 大阪府
座右の銘 感謝
略歴
20歳で中古車販売業を起業後、複数の事業を立ち上げる。30代になり、 「グローバル」「100年後の継承」「分かりやすく世の中のためになる」をテーマに1兆円事業を興したいと奮起し、2011年に株式会社TBMを設立。自社開発した石灰石を主原料とする新素材「LIMEX」の普及、LIMEXによる資源循環モデルの構築を推進し、持続可能な循環型社会の実現に向けて、グローバルでのサステナビリティ革命に挑戦している。

会社概要

社名 株式会社TBM
本社所在地 東京都千代田区有楽町1-2-2 東宝日比谷ビル15F
設立 2011
業種分類 化学工業
代表者名 山﨑 敦義
従業員数 315名(2024年4月時点)
WEBサイト https://tb-m.com/limex/
事業概要 環境配慮型の素材および製品の開発・製造・販売
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