【ナレーター】
信念と覚悟の元、日本初の素材づくりへの挑戦を決断した山﨑だったが、その先に待ち受けていたのは想像を超えた苦難だった。
【山﨑】
困難だらけでね。話し始めたらいつでも涙がこみ上げるくらいの出来事は、言い尽くせないほどありますよ。
一般的に「死の谷」って言われるんですけれども、工場ができてから商品ができるまでの間は、まったく売れるモノができない。工場建設にかかった費用が毎月のバーンレートとしてものすごくかかるので、それはもう恐ろしかったです。
1年半で売れるモノはできましたが、当時はこれが2年になるのか3年になるのか5年になるのかわからない。多額の費用をかけて原材料を仕入れても、モノをつくろうとしてゴミができて、処理にまたお金がかかるわけですよ。
しかし、とにかく「ピンチをチャンスに」と。
もともと我々は、素材の耐水性や耐久性を評価されていました。そこで、無駄になった原材料を活用するプラスチック代替にも併行して取り組みました。
そうしたら、メディアでプラスチック問題が大きく取り上げられ、プラスチック代替のニーズがグローバルで高まっていったんです。
工場ができるまでと、工場が完成してからプラスチック代替製品の目鼻がつくところまでは、本当に苦しかったですね。ただ、「何があっても諦めない」と必死でプラスチック代替の素材開発を進めていきました。
投資家の方々からも「プラスチック代替のほうが今の時流にあっている。トレンドだ」と応援していただきました。
「グローバルで勝負する」「普通では考えられないようなスピードでさまざまなことを仕掛けていかないとだめだ」という覚悟も、挑戦に対する責任感もあったので、やり通しましたね。
【ナレーター】
苦難を見事乗り越え、『LIMEX』の開発・生産を実現した山﨑。挑戦を結実させるために、採用基準にもなっているというあることとは。
【山﨑】
挑戦して、さまざまな困難にぶつかったり乗り越えたりしながらも、いくつ感動していけるか。それが幸せの定義だと思っています。ですから採用の際にも「一緒に感動できる仲間かどうか」という点を最も大切にしています。
【ナレーター】
TBMが実現を目指すサーキュラー・エコノミーの市場が、今後さらに拡大していく見込みだと語る山﨑。今後新たに挑戦していくテーマとは。
【山﨑】
2020年で150兆円くらいの市場が、2030年には450兆円くらいの市場になるといわれるぐらい、サーキュラー・エコノミーは圧倒的なスピードで成長していくといわれています。その中で、我々がどれだけ貢献できるか。
SDGsにおいても、我々みたいな自由に恵まれた国の人間が、これから成長していく国に対して産業や雇用を創出していきながら、サステナビリティ領域でどこまで事業にチャレンジできるか。時代の追い風に乗ってどこまで実現できるか。一番勝負を仕掛けていきたい領域です。
SDGsをテーマにしてビジネスしようとすると「そういうことを武器にするなんて」と言われることもありますが、僕は「何が悪いんだ」と思うんですよね。
SDGsをビジネスとして成立させて大きな成功を得ている人たちがいないと、誰もチャレンジしようとしない。持続可能じゃないわけですよ。
ビジネスとして成立させて、大きな成長をしていく姿を僕は見せたいですし、その姿を見て「自分たちも挑戦しよう」と思ってもらうのが一番だと思います。
-視聴者へのメッセージ-
【山﨑】
我々TBMは「サステナビリティ領域で世界のトップになる」という目標に対し、チーム一丸となってチャレンジしています。
インターネットが黎明期に「デジタル情報革命」と言われていたように、それ以上の規模で「サステナビリティ革命」が起きると思っていますし、起こさなきゃだめだとも思っています。
それくらい、サステナビリティ領域には今ビジネスの大きなチャンスがあります。その領域に、どれだけコミットメントしてチャレンジするかによって、事業の成長がかかっています。
我々は小さなスタートアップ企業ですが、このスタートアップの機動力を生かしてさまざまな企業とパートナーシップを組み、さまざまな仲間たちが集って大きな挑戦をしています。
我々の挑戦を一緒に頑張りたいと思ってくれる人や、一緒になってパートナーシップを組みたいと思ってくださる企業が集まってきていただけたら嬉しいです。