【ナレーター】
近年では、エネルギー分野など新たな領域へも挑戦している山田商会。この挑戦を結実させるために、山田が心掛けていることとは。
【山田】
基本的には言われた通りのことをきちんと全うするというのが大切なのですが、お客様が求めていることが変化してきていますので、社員にも自ら考え、手を動かしてもらい、今までにない経験をしてもらう必要があると思っております。
それにはやはり、一緒になって取り組む、ということが大事です。
【ナレーター】
山田商会の特徴について「コミュニケーションが活発なこと」を挙げた山田。その醸成を目的としたイベントが社員旅行だ。
この取り組みの真意について次のように語る。
【山田】
ここ最近は行けていませんが、社員全体の60%ぐらいの人は参加してくれていると思います。
どちらかというと、社員旅行などの行事を縮小していく会社が多いと思いますが、歴代の経営者が「当社は継続して行なう」と言い続けてきましたので、私もその考えを尊重しています。
社員が600人ともなりますと、顔も名前も知らないという社員もいますよね。社員旅行で顔を合わせてコミュニケーションすれば横のつながりも作れますし、普段一緒に働いている人たちとも大人数でどこかへ行くというという機会はなかなかないので、縦のコミュニケーションも活発になるのではないかと思います。
【ナレーター】
「多様な社員が集まる組織は新しい発想が生まれやすい」というダイバーシティにおける考え方から生まれた制度のひとつが、出産・育児・介護など、やむを得ない事情により退職した方に対して再雇用の機会を与える制度だ。
どのような経緯で生まれた制度なのか。
【山田】
女性に対するジョブリターン制度や、ケアに関する仕組みは、自分たちで考え出した独特な仕組みです。
ジョブリターン制度は、女性社員の話し合いによって生まれた制度です。制度導入前は、結婚や出産などを機に退職される方がほとんどだったんですが、導入後は結婚や出産などで退職される方はほぼいなくなりました。
「家族あっての会社」という考えはありますね。
【ナレーター】
山田が見据える、山田商会の未来像とは。
【山田】
エネルギーについてのお客様のニーズに応えていきたい。エネルギー源でいうとガスもあれば電気もある。
エネルギーも、今までの大手事業者さんから買うという仕組みだけではなくて、自分たちで発電するということも最近は増えてきています。
まずは、ガスを基軸としたエネルギーに関するお客様の暮らしまわりのサービスを強化していきたいと思っています。設備の業種として水回りは当社の強みですので、今後は取り組みを強化していきたいと考えています。
今は、性別や年齢層の多様性はだいぶ進んできていますが、技能実習生をはじめ、外国人の社員の方ももっと増えるといいなと思っています。
日本以外の国籍の方も増やしていき、現地の文化や言語を学ぶなど、多様性を図っていきたいですね。
【ナレーター】
求める人材像について、山田は次のように語る。
【山田】
ひとつ先の挑戦にも取り組んでみる、関心を持ってくれる人。多様性を図っている中で、お客様もいろいろな方がいらっしゃって、社員もいろんな人がいますから、まずはそのような多様な価値観を受け入れられる人がいいですね。
また、自分の意見を持って「こうしてみよう」と発信してくれる人と一緒に仕事したいです。
―大事にしている言葉―
【山田】
「数字を追うのではなく人を追う」。松下幸之助氏の言葉です。経営の神様と言われ、終始、人間を大切にした人だと伺っています。
経営層・管理職は、業績や数字に目が行きやすいのですが、それらを結果として出してくるのは人間です。
「いろいろな危機感を共有しよう」、「仕組みをどういうふうに作れるかな」と考える前に、すぐそばにいる人、仲間である社員の家族構成や趣味などに関心を持って、「人を追う」ことが大切だと思っています。