島村楽器株式会社 音楽を楽しむ人を、一人でも多く創る。「島村楽器」挑戦の先に描く未来 島村楽器株式会社 代表取締役社長 廣瀬 利明  (2022年2月取材)

インタビュー内容

【ナレーター】
そして現在、楽器小売店の枠組みを超え、さまざまな新サービスを展開している島村楽器。サービス提供時に意識していることについて、廣瀬は次のように語る。

【廣瀬】
初心者のお客様にとって必要なサービスが何かということを強く意識しています。

例えば、去年の年末にリリースした動画配信サービス『ギターセンパイ』。ギター初心者の方でも、ヒット曲を指1本だけで弾くことができる、そんな動画を配信しているサービスです。

ギターを初めて弾く人にとっては、3本の指を使ってコードを押さえることでも難しいんですよね。

そこで、『ギターセンパイ』開発にあたり、ギターを弾けない店舗スタッフの意見を徹底的に聞いて、サービスをつくりました。

初心者の方には、まずは曲を弾けたという達成感を味わっていただきたいと考え、人差し指1本しか使わなくても、曲として成り立つよう工夫しましたね。

【ナレーター】
コンテンツの配信以外にも、島村楽器は楽器のトータルサポートに注力しており、その中でも好評なのが、ギターの弦を交換するサービスだ。その理由について、廣瀬はこう分析する。

【廣瀬】
ある程度ギターを弾ける方なら、弦交換をご自身でされますが、初心者の方にとって、弦の交換は難しいんですね。弦がサビても後回しにしてしまう方も少なくありません。

しかし、古くなった弦を張ったまま練習を続けることは、上達の妨げになってしまいます。そういった背景からギター弦交換サービスを始めました。

時間と手間はかかりますが、弦交換時にお客様が演奏されている曲や音楽活動を伺うなど、コミュニケーションが図れます。

お客様のニーズを理解し、それに適した提案ができるため好評を得ているのだと思っています。

【ナレーター】
社会貢献活動も推進している島村楽器。そのひとつとして行っているのが、使えなくなった楽器を再利用してオブジェやインテリアとして蘇らせる『楽器アップサイクルプロジェクト』だ。この取り組みを始めた背景とは。

【廣瀬】
『楽器アップサイクルプロジェクト』のような社会貢献活動を行うきっかけとなったのが、東日本大震災です。

被災地の学校で楽器が津波で流されてしまい、ブラスバンド部が活動できないという話を聞き、スタッフと一緒に福島まで行き、楽器を寄贈しました。

そのとき、楽器を演奏する人を一人でも多く創りサポートすることも大切だけれど、それ以外の部分で社会に貢献することも重要だと非常に強く感じましたね。

その後、楽器の売上の一部を森林の保全活動に寄付する『エバーグリーンプロジェクト』といった活動を継続して行っていくうちに、『楽器アップサイクルプロジェクト』につながりました。

【ナレーター】
楽器演奏者の数を今よりもさらに増やしていきたいと語る廣瀬。その実現に向け、描いている展望とは。

【廣瀬】
お店を出して、楽器の販売をして、音楽教室をする。この事業モデルにずっとやってきていたんですけれど、実際にはお客様は、そうでないところでお困りのことも多く、先ほどお話したようないろいろなサービスを今増やしていっています。

無限大の可能性があると思っていまして、極端なことを言うと、楽器を演奏する場であれば、すべてビジネスの領域になりうると思っています。

その一環で、2020年にクラシックギターの月刊誌を50年以上発行している『現代ギター社』とご縁があり、M&Aを経て現在こちらの社長も兼務しています。

クラシックギターの曲は普遍的なものですから、出版ノウハウやコンテンツを持っている『現代ギター社』と一緒に事業をやることで何か業界に貢献できないか、ソフトビジネスができないかなど、今、取り組んでいるところですね。

―大事にしている言葉―

【廣瀬】
「矛盾することを両立させるのが仕事」というのを肝に銘じて仕事をしています。

二つの物事を両立させるのが難しいと感じることであっても、実現させることが仕事の到達点だと思うんです。

会社を経営していると、矛盾することを両立できないことは山のように出てきます。

それをどう解決していくか悩みますが、試行錯誤した末にうまく両立できたということがありました。

その経験から、一見矛盾することを両立させることが大切で、仕事の醍醐味でもあると社員に伝えていますね。

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経営者プロフィール

氏名 廣瀬 利明
役職 代表取締役社長
生年月日 1975年7月19日
出身地 東京都
座右の銘 矛盾することを両立させるのが仕事の醍醐味
愛読書 イノベーションのジレンマ(クレイトン・クリステンセン)、組織の盛衰(堺屋太一)
略歴
1999年3月 慶応義塾大学法学部政治学科卒業
1999年4月 日本輸出入銀行(現在の国際協力銀行)入行
アジア・中東におけるプロジェクトファイナンス及び船舶金融業務を担当
2004年3月 国際協力銀行 退職 島村楽器株式会社 入社
店舗販売業務および経営企画業務
2004年8月 米国留学(2006年6月に経営学修士号取得後に帰国)
2006年6月 取締役就任
自社ブランド商品販売促進、音楽教室事業の推進、インターネット関連業務、人事制度の整備、出店投資採算シミュレーション等を担当するとともに会社経営全般に携わる
2010年5月 代表取締役専務就任
2013年5月 代表取締役社長就任

会社概要

社名 島村楽器株式会社
本社所在地 東京都江戸川区平井6-37-3
設立 1962
業種分類 小売業
代表者名 島村 元紹
従業員数 2,378名(2024年2月)
WEBサイト https://www.shimamura.co.jp/
事業概要 1.国内外各種楽器・音楽書籍・音楽雑貨の販売 2.各種音楽教室、ミュージックサロンの運営 3.練習スタジオの運営 4.音楽関連イベントの企画・製作、運営 5.商品開発 6.技術サービス 7.音響工事の設計、施工 8.各種楽器、及び付属品のレンタル・リース 9.音楽教育システムの開発及び運営指導
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