【ナレーター】
当時の自分の実力では到底できないような仕事を、なぜ投げ出すことなくやり遂げることができたのか。
【白石】
できないことをやり始めようということではなくて、まず自分は何ができるんだろうって考え出したのがよかったんだと思いますね。
がむしゃらに走っていく中で、年配の協力会社の方であったり、会社の先輩であったりというのがだんだん後を任せてくれるようになる。信頼してくれるようになる。
こっちの方向で行くのも間違ってないんだなというのをちゃんと自分の中で持てて、小さい成功体験を積みながらステップを踏めたっていうのが、折れずにやれたことなのかなっていうのは思いますね。
【ナレーター】
その後、ヤフー株式会社へ転職し、決済サービス『PayPay』などの立ち上げに携わるなど、キャリアを積み重ねた白石。ARIGATOBANK参画の経緯について次のように語る。
【白石】
前澤さんがFinTechのプロを募集しているというような記事をたまたま見まして。お金のことや経済に関するようなことについて結構本質的なことをおっしゃっていて、面白いんじゃないかなと思ったんですよね。
ですので、普通にFinTechのプロ募集に対してレジュメを出したんですね。
前澤さんとお話したときも[どういうことやりたいんですか]と。事業アイデアみたいなのを持っていったら、「僕がやりたいこととほぼ同じだね」という話になり、じゃあ、一緒にやろうよ、みたいになり。
前澤さんがZOZOを退任された後にもう一度つくられたスタートトゥデイという会社があって、そこに入社するっていう形になったのが始まりですね。
すごい丁寧な方だなっていうのが第一印象で。空気感が柔らかいというか、和やかな雰囲気で、一般的なイメージで有名な経営者の人というと、すごいパワーが溢れていて、強そうな人、みたいなイメージがあると思うんですけれど、彼の場合は全然そんなことなくて。
あの独特な空気を身にまとっている人だなっていうのがそういう印象的ですね。
【ナレーター】
そして2020年11月、前澤氏らとARIGATOBANKを共同創業し、翌年7月に『kifutown』をリリース。
累計インストール数を伸ばす一方で、本来の用途とは異なる使い方が横行していることがSNSなどで話題になった。白石はこの現状をどのように捉えているのか。
【白石】
必ずしも、自分たちの想定に合わせさせることがいいかというと、それもまた違うと思っていて。
ユーザーの使い方や、どういうセグメントのユーザーが我々のサービスを使ってくれているのかを一回ちゃんと受け止めた上で、プロダクトをより良くするためにどうしていくのか、改善を繰り返していくというプロセスが必要なのかなと思っています。
モニタリングをやっているのかというのは結構言われている認識はあるんですけれど、実はかなり審査もモニタリングもしていて。
公序良俗に当たらないようになっているかとかはもちろんですし、弊社の規約に抵触していないか、他社さんのサービスの利用規約に抵触しているようなものなどは、すべて審査NGにしています。
あとは寄付者の方のTwitterアカウントがわかる場合は、Twitterの内容なども確認をして、法的なリスクがもしあるような場合は利用をお断りするといったことはやっていますね。
【ナレーター】
自社のプロダクトを通じて、白石が実現したい世界とは。
【白石】
前澤さんが「全員お金贈りfrom宇宙」というのを実施されまして、その当せん金の受け取りを我々のサービスを使っていただくことでできるようになります。そのサービスを近日ローンチ(※)いたします。
※2022年4月にリリース済
FinTech的な観点でいうと、そのタイミングでそのプリペイドカードのサービスが始まるので、そこから電子マネーのサービスが始まって、FinTechっぽくなっていくという感じですね。
企業から一般ユーザーに、とか、お金があるところから一般の大衆に落ちてくるみたいな流れが強いと思うんですよ。
突然それインセンティブがもらうことができなくなってしまうというような形になってしまうと思うんですよね。
そうではなくて、大きな金額でもなくてもいいので、多くの人がお金を流す側にある。もらう側の人が多くの人によって支えられているというような経済圏をつくることがやっぱりやりたいことで。
相互扶助の世界のような、ユーザー同士、困っている時に助け合って、サービスが成り立っているというような形になるとすごくいいなと思いますし。
これからの時代、そういうサービスのほうが、サスティナビリティがあるプロダクトになっていくんじゃないかなと思って、今プロダクトをつくっていますね。
―大事にしている言葉―
【白石】
「迷った時には振れ幅が大きい方を選べ」というのは大事にしていますね。
明らかな困難ってほとんどの人は嫌じゃないですか。リスクが少ないほう、振れ幅の変化が少ないほうを選択しがちだと思うんですよね。
ただ、それってやっぱり期待される採れるものというか、期待値も少ないので、どうしても小さくまとまってしまいがちになると思うんですね。
ですので、自分自身に「自分から困難を取りに行け」と暗示をかけて選択をしてきているのが、今の結果につながっているんじゃないかなとは思いますね。