【ナレーター】
上場廃止という苦渋の決断が功を奏し、事業を軌道に乗せることに成功したクルーバーは、2021年12月に東証JASDAQ(現東証スタンダード)市場へと再上場を果たす。
当時の経験から得た学びを、石田は次の言葉で従業員に伝えているという。
【石田】
何かアイデアが出てきたり、これは試す価値があるなと思ったりしたら、「現状より悪くなってもやりましょうよ」って言うんですね。
最悪の状態になったら元に戻せばいいので、それぐらい変えることが私は必要だと思っています。
人間、どうしても事業を長く続けていくとどんどん保守的になっていって、本来、「このやり方は変えたほうがいいな」と思いながらも、変えることって大変なので、いろいろな理由をつけて留まろうとしてしまうことがあります。
そこに関しては「現状より悪くなってでも変えていこう」と、自分自身にもムチを打ちながら、社内でもそういうことをよく言っています。
モチベーションの源泉といいますか、格好いいことを言うと、私にとってビジネスは“知的好奇心を満たすこと”なんですね。
「こういうお客様がいるはずだ」とか、「こんな商品は受け入れてくれるはずだ」とか、「このアプリケーションはお客様に喜んで使っていただけるのではないか」という仮説を立てていて。
それは新しいビジネスに挑戦するモチベーションの源泉にもなっており、当社のカルチャーもそうなりつつあって、そこがすごくいいところだなと感じます。
【ナレーター】
経営者の人材育成を推進する上で、あるキーワードが重要だと石田は語る。
【石田】
「親切」というのをよく言ってます。
今Googleビジネスで「親切」というワードをお客様からいただけるように、店舗のスタッフたちはとても意識をしてくれていて。
Googleビジネスでの評価点やコメントなど、毎週月曜日に担当者から状況の報告を受けるのですが、「店舗に行って親切にしてもらった」「◯◯さんがとても親切に相談に乗ってくれた」というようなコメントをいただくのがとても嬉しいですね。
【ナレーター】
近年では、自動車業界専門の人材紹介サービスや中古自動車の買取サービスなど、多岐にわたる事業を展開しているクルーバー。
「世界で認知されるブランド」を目指す石田が思い描く未来像とは。
【石田】
実はオリジナルタイヤを今後つくり、ユニクロ社のように自社で製品を展開していくSPAみたいなことをやりたいと思っています。
たとえば、これからモータリゼーション化が期待できる南米やアフリカなど、いわゆる車の個人所有が十分になされていないエリアが、これからある一定の所得水準になってくると、どんどん個人所有が増えてくるだろうと。
そういったエリアで自社ブランドの新品タイヤを展開できたらいいなと思っていますね。
車・バイクと、リユースというカテゴリーにとりあえずこだわって、横展開を進めていけたらと思っています。
【ナレーター】
求める人材像について石田は次のように語る。
【石田】
「人のために汗をかける人」ですね。
アメリカ人や中国人の素晴らしいところは、人の成功を本当に称え合う。「素晴らしい。俺も負けないように頑張るぞ」と言えるカルチャーがあるところです。
残念ながら日本人は、まだ苦手ですよね。
そこを分かち合って認め合える。そういう人とかカルチャーをつくっていきたいなと思っていて、結果的にそういう方々がよく活躍してくれていると思います。
-大事にしている言葉-
【石田】
「いつも心に太陽を」です。
太陽のようにギラギラ燃えたいというのと、太陽のように人様を照らしたいなという2つの気持ちから、いつもそういうふうに思っています。