【ナレーター】
世田谷区、港区など都内の高級住宅地と呼ばれる城南エリアを中心に、富裕層に特化した不動産事業を展開する「株式会社ランディックス」。
2001年の創業以来、増収を継続している同社は、2017年に不動産テック領域にいち早く参入し、2018年に顧客と最適な建築会社をつなぐ住宅マッチングサービス『sumuzu(スムーズ)』をリリース。その翌年には東証マザーズに上場を果たす。
近年では、不動産以外の商品開発も推進しており、顧客の資産価値向上に貢献するべく、挑戦を続けている。
躍進する企業をけん引する経営者の軌跡と、描いている未来像に迫る。
【ナレーター】
顧客を東京・城南エリアに絞ることで業績を上げ続けているというランディックス。その理由について、岡田は次のように語る。
【岡田】
富裕層のお客様、非常にレベルの高いお客様との接点がある。そのお客様が当社のことを気に入って、利用しつづけてくださっています。実際に現在、全成約の約35%が、リピート・紹介・口コミで売り上げができているんですね。
不動産って一度購入したら、10〜20年経たないと購入しないことが多いじゃないですか。ところが、当社のお客様は、二度、三度、四度と当社を利用してくださるんですね。
これは、おそらく、他社が同じことをやろうと思っても、簡単に模倣できないポイントのひとつだと思っています。
ですから、決算書などに出ない当社の一番の財産は、その素晴らしいお客様との関係性、そしてそれをデータとして整理して活用できるようにしていること。これは圧倒的な強みなのではないかと思っています。
【ナレーター】
ランディックスをけん引する岡田は、祖父、父がともに経営者という家庭で育ち、自然と自身も経営者を志したという。
広告代理店に就職し、トップセールスマンになるなど、順調にキャリアを重ねたが、不景気とともに業績は低迷。ニーズがなくならない衣食住に関わる事業に挑戦しようと岡田が着目したのが不動産業だった。
【岡田】
父も不動産業をやっていまして、その背中を見ていましたから、不動産業がどんなものかというのは、ぼんやりとわかっていたんですけれど。
若い頃からその父の跡を継いで事業を行うということは、あまり思っていなくて。自分でやりたいという気持ちが非常に強かったですね。
私が目指したいところと父が行っていた事業と、方向性が違ったものですから。根拠はないんですけれど、自信だけはあって。自分ならばできるだろうと、そう思って独立したという経緯があります。
父は黙って見守ってくれるというタイプですね。おそらく、息子のことが心配で仕方なかったと思うんですが、何か仕事のことでこうしたほうがいい、ああしたほうがいいと言われた記憶がないです。それが逆に良かったと思っていますけれども。
【ナレーター】
2001年に株式会社ランディックスを設立し、経営者としての道を歩み始めた岡田。事業を行う中で芽生えた業界への違和感が、今の事業モデルの着想につながったと振り返る。
【岡田】
当時はサービスレベル、お客様に対するホスピタリティが非常に低いといいますか。これだけ高額な商品を取り扱うにもかかわらず、なぜこんなにサービスレベルが低いのかと驚いたんですね。
不動産は、買ってもらったら終わりなんですよ。買うまでが勝負で、そこまでは一生懸命やるんだけれど、その後は特に何もしない。
そう思ったときに、お客様とずっと長くお付き合いできて、ずっと当社を利用してくださったら、効率がいいですし、仕事のやりがいにもつながるじゃないですか。
そうであるならば、富裕層にターゲットを絞って、お客様と良好な関係を築けば、ずっと利用し続けてくださるだろうと思ったんですね。
たまたま私が東京都目黒区の自由が丘というところの出身だったので、その地域でスタートを切って、その地域のお客様と交流を深めることでそれが積み上がっていくと考えました。