【ナレーター】
さらなる大きな挑戦を成功させるため、2015年、河本は代表取締役社長に就任し、事業と組織力の強化に奔走する。その結果、当時の従業員数5名から現在、160名を超える規模にまで成長した。
人材育成で重視しているのが「変化を起こす側へ、回れ。」という言葉だ。この言葉に込めた想いと、現在取り組んでいる施策とは。
【河本】
変化というのは自分でつくるものなんだよというのが、この言葉に込めた想いです。
では、日々どうやってそれを体現していくのか。これに関しては、「新規事業コンペ」を当社で開催することによって、社員が変化を起こしやすい場を設けています。
「こんな事業をやってみたい」「こんなことをやってみたい」「今やっていることをもっと良くできるのではないか」。こういったことを社員1人ひとりが発案できるような、そういった場です。
これによって、社員の意識が変わるんですね。
通常は躊躇してしまったり、「こんなことを言ったら恥ずかしい」「笑われるかもしれない」という気持ちが生まれたりするかもしれませんが、とりあえず言ってみる。それで、採用されたら嬉しい、という感じでどんどん発案をしてくれるんですね。
こういった日々の意識の持ちようというのが当社の強みにつながっていると思います。
【ナレーター】
挑戦を成功させるために意識していることについて、河本は意外な要素を挙げた。
【河本】
「優等生であろうとしない」というのは言えるかもしれないですね。
優等生ってどうしても正解しないといけない、間違えてはいけない、そういう意識が強くなりすぎてしまうと思います。
その結果、新しい挑戦をする、一歩を踏み出すのに躊躇してしまうと思うんですが、僕も含めて当社の社員には、言葉を選ばずに言うと、そんな優等生はいません。
最初から失敗なんて恐れていない。これが成功の秘訣として大きいと思いますね。
【ナレーター】
今後の自社の未来像について「不動産商社を目指す」と語る河本。その真意とは。
【河本】
建物をつくるだけではなくて、建物に必要なオペレーションが必要なのであれば、自らそれをやる。
そうすることで、結果として不動産の価値が上がるのであればみんなハッピーですし、さらに言うならオペレーションに必要なシステムも開発する。そうすることですべてが効率的に回ればいいと考えてます。
これまでのデベロッパーのやり方ですと、テナントを管理する業者に貸す、ここで終わりなんですね。当社はそこで留まるつもりは全くなく、自らテナントになる、つまり倉庫業もやろうと思っています。
自動の冷凍冷蔵倉庫をつくり、オペレーションも自らやり、オペレーションにシステムが必要ならばそれも開発するというところまで、すでに着手しています。
その結果、この建物の価値が上がり、周辺の生産効率も上がる。そういった商社的な動きを当社では積極的に展開していこうと思っています。
物流、ホテル、ホスピスに加えて、他のアセットタイプもどんどん追加していきます。さらに、そこに関わる周辺ビジネスも取り込んでいく。そんな会社にこれからは、なっていきます。
【ナレーター】
求める人材像について、河本は次のように語る。
【河本】
履歴書に書くような経歴。それは当社が採用する上で、2~3割の情報だと思っています。
それよりも、とにかく“いいやつ”かどうか。これを非常に大切にしています。
仮に、当社が求めるスペックが足りていなかったとしても、“いいやつ”で成長する気持ちがあれば、別にスペックは入社後半年や1年で追いつくと思っているんですよ。
“いいやつ”かどうか、頑張ろうと思っているかどうか。この2点のほうが圧倒的に大事だと思っています。
“いいやつ”がチームに入ると、チームが育ち、強くなるんですよ。仮にそのチームの中に相手の足を引っ張ってでも自分が目立ってやろうという思いを持った人が多く入ってしまうと、おそらくそのチームの力って落ちるんです。
こういった悪循環が進むと、これをつなぐ人間が必要になってきます。たとえば、1人で済むことを3人で回したり、よくわからない状態になることって、どこの会社でもあるのではないかと思います。
当社でもなくはないですよ。ただ、できる限りでこの無駄な部分をなくせば、これが生産性の向上につながるんです。
だから“いいやつ”が入れば、実は生産性って勝手に上がると私は思っています。
-大事にしている価値観-
【河本】
すべてを自分事にするというのは意識しています。
全部自分が当事者になったつもりで物事を見て、疑問があれば変革しにいく、改善する。そういった意識は常に持っています。
「今までこうだったから」「周りがこうしているから」というような言葉は、僕にとってはNGワードなんですね。それは他人がやったことだから、自分には関係ないでしょう、と。
自分事として考えながら、「今のそのやり方が最適なんだろうか?最適なのか?」と自問自答しています。
社員に対しても、「それは本当に最適なの?」と、常に聞くようにしています。
すべてのことに疑問を持って、自分ごととして改善策を探る。これを大事にしています。