【ナレーター】
「気候変動を社会の可能性に変える」。渡慶次が掲げた企業理念だ。この言葉に込められた思いに迫った。
【渡慶次】
義務的にデータの開示をしたり、脱炭素に対する取り組みを行ったりするのではなく、「ここから自分たちの会社を大きくするんだ」「企業価値を上げるためにこの気候変動を活用するんだ」「気候変動をきっかけに事業を変えていくんだ」という主体性こそが、今後、各企業の発展の大きな可能性につながっていくと考えています。
また気候変動というものは、洪水が起きやすくなる、島しょ国であれば海岸がどんどん失われていくといった、社会にとっても多くの物理的リスクがあるわけです。
「こういったリスクをいかに減らしていくか」と企業あるいは市民が主体的に挑戦することで、気候変動に伴うさまざまなリスクを乗り越えられる可能性はどんどん高まっていくと思います。
ですから、我々は「人類が持っているこれらの可能性を脱炭素との闘いの中で解放していこう」ということをミッションとして大切にしながら、事業を行っていきたいと考えています。
【ナレーター】
温室効果ガス排出量の可視化領域において、世界での日本企業の存在感を高めていきたいと語る渡慶次。思い描いている展望とは。
【渡慶次】
脱炭素あるいはサステナビリティのルールづくりでは、やはり、欧州の国々が中心となり、自分たちの地域が有利になるように進めているという側面があります。その中で、日本の企業は、日本企業ならではの良さというものをなかなか訴求できていない現状があると思います。
しかし、全体でどれだけの温室効果ガス排出量の削減ができているのかというデータの細かなやりとりや、オペレーションの細かな改善というものは、日本企業が非常に得意としているはずの領域です。
それらを具体的な数値とともに日本企業が訴求できるようになれば、サステナビリティの業界の中できちんと評価されるような日本の会社は増えてくると考えています。
そこで我々は、国内だけでなく、アジアを中心とする海外の製造拠点、あるいは現地のサプライヤーさんも含め、この温室効果ガス排出量の可視化を我々がお手伝いすることで、日本企業そして日本がアジアにおける脱炭素領域でリーダーシップを発揮していくための手助けをさせていただき、脱炭素領域での日本企業の企業価値向上に向けたご支援をしていきたいと考えています。
【ナレーター】
求める人材像について、渡慶次は次のように語る。
【渡慶次】
ビジネスにおいて十分な経験・知見をお持ちの方の中には「自分のビジネスの経験や知見を社会課題の解決に役立てたい」といった観点で次のキャリアを探している方はとても多いと思います。
「そういった社会の課題にご自身の知見や経験というものをぶつけ、次の世代により良い地球を残したい」そういった思いを持っている方が、恐らくカルチャー的にも、このビジネスにかける情熱という意味においても当社にフィットするかと考え、人材採用の上で非常に重視しているポイントです。
―大事にしている言葉―
【渡慶次】
「ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)」という言葉で、これは「立場のある人間や恵まれた人間は、それ相応の義務を果たさなければいけない、社会的な貢献をしなければいけない」という意味です。
恵まれた先進国に生まれた我々は、発展途上国の人々に対し、脱炭素の支援をしていくべきだと思いますし、社会課題の解決という形で社会に還元をしていくべきだと思っています。
ビジネスとして成功するということ以上に、社会に対する還元というものを私自身のテーマにしていくべきだと考えていますし、日本あるいは日本で事業をしている企業自体がそのことに気がつくことが、社会全体を良くするきっかけになっていくのではないでしょうか。