株式会社富士薬品 「置き薬」で国内シェアトップ。ドラッグセイムスなど1200店舗以上を運営する複合型医薬品企業。 株式会社富士薬品 代表取締役社長 高柳 昌幸  (2025年7月取材)

インタビュー内容

【ナレーター】
挑戦を成功させるために、高柳が意識しているのは「やり切ること」だと言い切る。その真意について、次のように語る。

【高柳】
まず、50%の完成度でも構わないので、早く動いて形にすることが重要です。スピード感が大切ですね。たとえ最初の構想と形が大きく異なったとしても、まずは一度作り上げることが大切だと考えています。

特に新薬開発は、前職の経験からその厳しさをよく知っていましたので、いざ自社でやると決まった時は、正直なところ、「できるわけがない」と思っていました。しかし、一度やり始めたからには最後までやり遂げなければならないと続けていた結果、新薬を世に出すことができました。M&Aを経験した際も、相手を深く理解し、互いにとって最善の道を探ることで、必ず着地点は見つかるのだと学びましたね。

【ナレーター】
ドラッグストアの利便性をより向上させるために、注力したいと考えているポイントとは。

【高柳】
注力しているのは、営業時間の延長です。特に24時間営業を積極的に進めており、現在、全店舗の約1割にあたる120店舗で実施しています。夜中に急に何かが必要になった時や、夜遅くや朝早くに働く方々にもご利用いただけるよう、今後も24時間営業の店舗を増やし、お客様の利便性を高めて「セイムス」の魅力をさらに増していきたいと考えています。

【ナレーター】
2030年の創業100年を見据え、全社員で中期経営計画の達成に取り組んでいる富士薬品。思い描く展望に迫った。

【高柳】
主力のドラッグストア事業は、現在、競争が激化しています。今後5年間で、いかに他社との差別化を図り、事業を展開していくかが、最も重要なポイントになります。当社には店舗販売のほかに配置販売のネットワークがありますので、これをお客様の御用聞きのように活用し、必要なものや処方箋薬をお届けする仕組みづくりが、差別化の大きな柱になると考えています。

もう一つは、製造事業を持つ強みを活かすことです。自社工場でプライベートブランド商品を製造できるため、品質の良いものを手頃な価格でお客様に提供できます。特に当社は配置薬から始まった会社ですので、医薬品の販売にはこだわり続けたい。医療用医薬品の研究開発で培ったノウハウを応用した商品開発なども、当社の大きな特徴になるでしょう。

【ナレーター】
求める人材像について、高柳は次のように語る。

【高柳】
当社が他に類を見ない複合型医薬品企業へと成長できたのも、新たな挑戦を続けた結果です。ですから、失敗を恐れずに新しいことに挑戦できる方が、当社に最も合っていると思います。

【ナレーター】
最後に、高柳が大切にしている言葉について聞いた。

【高柳】
「一期一会」です。これまで生きてきて、やはり人と人とのつながりが自分の人生において非常に大きなものを占めていると感じます。「相手からもう一度会いたいと思ってもらえなければ、縁は広がらない」と、よく社員にも話しています。だからこそ、一つ一つの出会いを大切にし、それが次の縁につながるように努めています。最初の出会いである「一期一会」を何よりも大切にしています。

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経営者プロフィール

氏名 高柳 昌幸
役職 代表取締役社長
生年月日 1961年7月7日
出身地 埼玉県大宮市(現さいたま市)生まれ
座右の銘 一期一会
尊敬する人物 父(高柳貞夫名誉顧問)
略歴
明治薬科大学薬学部卒業後、製薬会社勤務を経て1989年に株式会社富士薬品に入社。
2005年6月に同社代表取締役社長に就任。積極的なM&Aでグループ化を進め、ドラッグストアの全国展開を目指すとともに、2013年9月には自社開発した医療用医薬品の新薬を販売するなど業容を拡大。
スポーツ支援を軸とした社会貢献活動にも注力している。

会社概要

社名 株式会社富士薬品
本社所在地 埼玉県さいたま市大宮区桜木町4丁目383番地
設立 1954年(創業:1930年)
業種分類 医薬品
代表者名 高柳 昌幸
従業員数 20,563名(連結/パート・アルバイト等含む) [2025年3月末現在]
WEBサイト https://www.fujiyakuhin.co.jp/
事業概要 配置薬販売事業、ドラッグストア・調剤薬局事業、医療用医薬品販売事業、医薬品製造事業
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