予防ヘルスケアに関するアプリやプライベートジムの運営など、健康をサポートする様々なサービスを提供している株式会社FiNC。注目のベンチャー企業である同社の中核事業の1つ、ECサイト『FiNCモール』の技術開発本部のリーダーを務めるのは、2017年4月に新卒入社したばかりの大田直人氏だ。インターンシップとして大学時代から同社に関わっていた大田氏が、入社初月にリーダーに抜擢された裏側に迫る。

ベンチャー企業へ入社するという強い意思

―東京大学をご卒業と伺っておりますが、大学時代はどのような学生でいらっしゃいましたか?

大田 直人:
大学では工学部で、材料系や電気系、情報系などいくつかの領域を跨いだ研究をしていましたが、将来やりたいことが特にあったわけではありませんでした。中学からテニスを続けていて、大学でもテニスサークルの幹部を務めていたのですが、任期が終わり、時間ができたのでアルバイトをしようかと考えていた時に先輩から誘われたのが、FiNCのインターンシップです。当時はベンチャーという言葉さえ知りませんでしたから、もちろんFiNCがどのような事業をしているのかわかりませんでした。実際、会社に行って目指しているビジョンを聞いてみて「面白そうだ」という興味が湧いてきました。


―実際にインターンシップを経験されて、いかがでしたか?

大田 直人:
当時は、2,30名と従業員も規模が小さく、エンジニアの方たちとあまり年齢差もありませんでしたので、サークルの延長のような雰囲気だった印象があります。昔からずっとスポーツのコミュニティにいて、仲間と共に汗をかきながら練習をするという生活でしたが、頭を使って仕事をして、寝食を共にするというようなスタイルに変わって、とても新鮮でした。


―就職活動ではFiNC以外も検討されていたのでしょうか?また、ベンチャーに入ることへの抵抗はありませんでしたか?

大田 直人:
外資系の証券会社やIT系企業など、幅広く見てはいましたが、FiNCで働くメンバーに惹かれて入社の決意をしました。周囲はやはり大手志向の人も多く、ベンチャーに入ることを心配する人もいましたが、エンジニアとしてのキャリアはこの先必ず自分にとってプラスになるという確信があったので、迷いはありませんでした。

入社初月にリーダーに抜擢された要因

―ご入社されてすぐにECサイトの技術開発本部のリーダーに抜擢されますが、その経緯をお教えいただけますか?

大田 直人:
卒業間近の3月の頃に、当時のリーダーが退職されるということで、それを引き継ぐ形で4月からリーダーに就任することになりました。それまでは別の部署で仕事をしていたので、働く環境も立場もガラッと変わりました。最初は色々と躓くことも多かったのですが、今は何とか売り上げも順調に伸ばすことができるようになりました。


―抜擢された理由について、ご自身ではどう思われますか?

大田 直人:
一番大きな要因は、逃げない姿勢だったのではないかと思います。インターンシップ時代から、期限が迫っている大きなタスクがあったとしても、期限を守るために最後までやり遂げることを続けていました。任された仕事を責任持って完遂させることに対して、評価を頂いたのではないでしょうか。

初めてのマネージメントで感じた戸惑い

―入社初月からリーダーとして社会人生活をスタートするわけですが、苦労された点はありましたか?

大田 直人:
インターンシップの時にマネージメントをしていたわけでもないので、チームの動かし方もわからないままスタートしました。私以外に2人のメンバーがいるのですが、2人とも外国人で、ご家庭がありました。そうした個々人の背景についても、当時はまだ私自身の理解が追い付いていないところがありました。ですので、リーダーとしての振る舞いがこれで正しいのだろうかという不安はずっと抱えていましたね。


―その不安を解消するきっかけは何だったのでしょうか?

大田 直人:
特に具体的な出来事があったわけではないのですが、フィードバックの時期が8月にありまして、その時、上長やメンバーからの評価を初めて受けることになりました。そこで自分がやってきたことや、考えていた方向性が間違っていなかったという自信をつけることができました。そうした自信がつくことによって、リーダーとして積極的に関わることができるようになりました。

意思疎通に時間をかけることの重要性

―マネージメントをする上で心がけていることをお聞かせください。

大田 直人:
とにかくコミュニケーションをきちんと取るということです。言語もカルチャーも違いますので、1回のコミュニケーションでは、お互い言いたいことが伝わっていないことが何度もありました。ですので、特に最初の頃は確認を何度もするなど、意思疎通に関しては非常に時間をかけることを心がけていましたね。最近ですと、色々なプロジェクトに携わる中で、エンジニアの枠を超えて、デザイナーや商品の仕入れ担当の方とも関わる機会が増えてきていますが、そういった場面でも他部署の方でもコミュニケーションを取っていれば、意思疎通を誤ることはないと考えています。

課題を克服するためのモチベーション

―難しい課題に直面した時など、モチベーションを保つ秘訣はありますか?

大田 直人:
昔から、難しいことや新しいことにチャレンジするのが好きでしたが、もちろん、逃げたくなることもたくさんありました。ただ、その試練に挑むことで何かしら得るものはあるはずだと確信していましたし、いずれ自分がやりたいと思えるものに出会った時に、それを成し遂げるためのスキルを少しでも早く養っておきたいという思いもあります。自分自身を成長させたいという意思が原動力となって、目の前の課題から逃げずに頑張ることができているのだと思います。

それに、私は自分をリーダーに任命してくれた上層部の方を信じていますし、「大田ならできる」という期待から任せてくださっているはずなので、応えたいという気持ちも支えになっています。

“新入社員”は仕事に制限をかける言い訳にならない

―FiNCにご入社されて良かったと思えることをお教えください。

大田 直人:
入社直後から部下を持つなんていう経験は、ほかの企業ではなかなかできないと思います。また、現状の実力で勝負して高い評価を得られれば、携わることのできるプロジェクトも増えます。そうした実力主義なところも魅力の1つですね。“新入社員だから”という理由で仕事を制限されるのではなく、若いうちにたくさんの経験を積みスキルを磨くチャンスがあるというこの環境は、自分の将来のためにもなると思っています。


―最後に、今後の目標や、それを達成するためのご自身の課題についてお聞かせください。

大田 直人:
まだ明確な目標設定はできていないのですが、いずれそういうものが目の前に来たときに対応できる能力や経験を積むためにも、社内でのキャリアアップを目指していきたいと考えています。

今、足りない部分としては、デザインやクリエイティビティの部分の理解、そしてマーケティングだと思っています。事業の進め方については、納期から逆算して1つ1つタスクを設定していけばいいのですが、ECサイトのキャッチコピーやデザインについて意思決定をする上で、その感覚がわからないままでは真のリーダーにはなれないと思うので、そういう感覚の部分も磨いていけるよう、今勉強している最中ですね。

編集後記

自身の成長をモチベーションの1つとして、様々な挑戦を続ける大田氏。ひとつのことにとらわれず、広い範囲から知識やスキルを吸収しようとしている向上心あふれる姿勢が印象的だ。入社直後にリーダーに抜擢されるという、稀有な経験を持つ大田氏の成長は、ひいてはFiNCの成長にも繋がっていくことだろう。

大田 直人(おおた・なおと)/1994年生まれ。
大阪星光学院高等学校卒業後、東京大学に入学。在学中にインターンシップで株式会社FiNCと出会う。2017年4月、同社入社とともに技術開発本部のリーダーに就任。座右の銘は『自ら機会を作り出し、機会によって自らを変えよ』。趣味はテニス、脱出ゲーム。

※本ページ内の情報は2018年2月時点のものです。

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