ゴールドマン・サックス証券のキャリアを手放し、ベンチャー企業に転職した女性が考える「人生の幸せ」とは ~株式会社FiNC ウェルネス経営事業本部 ウェルネス経営事業部 シニアマネージャー兼代表取締役室 シニアマネージャー 神谷 友里江~

予防領域に特化したヘルステックベンチャーとして、個人・法人を問わず、多様なヘルスケアサービスを提供し話題を集めている株式会社FiNC。様々な企業との業務提携や資本提携を行い、ビジネス領域を拡大し続けている。そんな同社の経営戦略を支えている1人が、ウェルネス経営事業本部 ウェルネス経営事業部 シニアマネージャー兼代表取締役室シニアマネージャーの神谷友里江氏だ。

大学卒業後、ゴールドマン・サックス証券に入社し、金融のプロフェッショナルとして活躍した彼女が、なぜベンチャー企業に転職をしたのか。そして、キャリア形成の中で悩んだ““人生の幸せ”という概念に対する、神谷氏が出した答えに迫る。

新たな世界を見たいという欲求

―どのような学生時代をお過ごしになられたのでしょうか?

神谷 友里江:
高校までは愛知県の山の中で育ちました。中学校から学校で英語の授業が始まったのですが、違う言語を学ぶことの楽しさや世界の広さを感じたことがきっかけで、大学はお茶の水女子大の文教育学部言語文化学科という学科を選択しました。


―大学では語学を専攻されたとのことですが、就職活動の際もやはり語学の仕事に携わりたいとお考えでしたか?

神谷 友里江:
大学の時に気付いたのは、“言語は1つのツールである”ということでした。そのツールを使って何をするのかというのは、また別の話だと思ったのです。英語を話せるようになりたいとか、グローバル人材になりたいという漠然とした思いはありましたが、具体的にどんなキャリアを築いていきたいかということは定まっていませんでした。幅広く様々な業界を検討していった中で出会ったのが、ゴールドマン・サックス証券という企業です。この企業との出会いが、私にとっては“新たな世界”へ足を踏み入れるきっかけになりました。

ゴールドマン・サックス証券入社後に感じた最初のハードル

―ゴールドマン・サックス証券のどういった点が新鮮だと感じられたのでしょうか?

神谷 友里江:
そもそも経済を見るということ自体、私にとっては新しいことでした。また、ゴールドマン・サックス証券には、性格、人種、バックグラウンドも異なる方々が集まっていて、企業の持つ“色”が本当に多様でした。こういうところでキャリアをスタートさせることは、とても刺激的だと思い、入社を決めました。


―お仕事をされる上で何か苦労されたことはありますか?

神谷 友里江:
最初に配属されたミドルオフィスが外国人だけのチームでした。18歳まで愛知県にいて、特に海外経験もありませんでしたので、私にとってかなりハードルが高い環境に思えました。ただ、仕事をする中でパーフェクトな英語でないとコミュニケーションできない訳では無いことに気づき、言葉に対する自信を持つことができるようになりました。あくまでも言語はツールですので、仕事のパフォーマンスや精度の向上には直接関係するものではないと考えられるようになるに連れ、そのハードルを乗り越えていったように思います。

自分なりのアイデアでライバルと差別化をする

―ゴールドマン・サックス証券での思い入れのあるお仕事についてお聞かせいただけますか?

神谷 友里江:
ミドルオフィスの後に、投資銀行部門資本市場本部というところに移りまして、そこで公的機関のお客様を担当していました。そこではゴールドマン・サックス証券がもつ“外資系”というイメージが障壁となることもありました。いかに日本の公的機関のお客様に“外資系”の自分たちを信頼していただくかという部分に関しては、非常に難しかったところです。ライバル企業である、古くから日本に根付かれている日系の証券会社さんと戦う中で、どのように差別化をして仕事を勝ち取るかという点は苦心しましたが、その分、自分たちを選んでいただいた時にはやりがいを感じました。


―差別化というのは、具体的にどのようなことをされていたのでしょうか?

神谷 友里江:
とにかくまず、自分を信頼していただかなければならないので、謙虚に、かつ、何ができるかということを真摯にお客様に伝えることを意識していました。加えて、私たちが持っているリソースをどれだけ最大限に活用できるかというところで、海外のチームを巻き込んだようなグローバルな提案をしたり、面白みを出す工夫をしていました。

もちろん、お客様に提案しても玉砕して帰ってくるということもありました。ただ、少しでも早く、1人のビジネスパーソンとして自分のノウハウを見つけて自立したいという思いがあったので、早い段階から積極的にお客様との直接のコミュニケーションを持つということに取り組んでいました。その際も、なるべく提案のアイデア出しから案件執行までオーナーシップをもって、主体的にビジネスを回すことを考えていましたね。

1度きりの人生に幅を持たせるための転職

―転職をしようと思ったきっかけは何ですか?

神谷 友里江:
外資系企業ですと異動がないので、その領域のプロフェッショナルとしてキャリアを重ねていくことが多いのですが、仕事を続けていく中で、自分の中でその分野に関しては「ある程度できることはした」という納得感を持つようになってきました。もちろん、まだまだ深堀できる知識や経験はあると思いましたが、このまま同じ仕事を続けていくのか、全く違う領域に飛び込むのかという選択肢を考えた時に、やはり人生は1度きりですので、違うことをしてみたいと思ったんです。

更に、転職をするならば、私は全く別の世界が見てみたいという気持ちがありました。そうすることで、「実はこの仕事が向いていた」とか「これは不向きだ」といった、今まで知らなかった自分に気付き、キャリアの今後の幅が広がるのではないかと考えたのです。


―その中でFiNCを選ばれた理由は何ですか?

神谷 友里江:
もともと、高校までは勉強以外の時間はスポーツに費やしていましたし、大学でもスポーツジムでアルバイトをするくらい、ヘルスケアとか自分の体をつくることには興味があったんです。

社会人になって最初の頃、忙しさのあまり一時期体重が増えてしまったのですが、運動や筋トレを再開したところ、体の変化を実感しました。体が変わると気持ちも晴れ、より豊かな人生が過ごせると思ったので、ヘルスケアやスポーツに関する仕事なら、自分が熱量を持って臨めるのではないかと考えるようになりました。そういった思いを周囲に相談していたところ、私の元上司であり、現在、弊社の副社長を務めています小泉から紹介を受け、FiNCに興味をもったのがきっかけです。また、どうしても金融出身ですと転職しても財務系の仕事に配属されがちなのですが、そうではない新たなところでやらせていただけるということも魅力的でした。

前職との意外な共通点

―今、御社ではどのような業務に携わられているのでしょうか?

神谷 友里江:
入社して4か月ですが、今まで2つの業務を経験させて頂きました。1つは代表取締役室で、色々な企業様との業務提携や資本業務提携など、どういった形でパートナーとしてお仕事をさせていただけるかということをご提案したり、実際に案件を進めたりしています。もう1つは、アドプランニング室というところで、そちらでは広告企画の営業を担当しました。FiNCをメディアとして使っていただいて、お客様に広告を出稿していただくのですが、お互いの企業にとってメリットになり、かつ、ユーザーさんにとっても楽しいイベントになるような広告企画を考えて提案するという営業をしていました。今後は代表取締役室に加えて、直近異動になったウェルネス経営事業本部での業務をさせて頂く予定です。


―ゴールドマン・サックス証券にいた時とは全く違うお仕事ですが、戸惑いはありませんでしたか?

神谷 友里江:
お客様のニーズに応えるべく営業をしたり、提案資料をつくったりするという点では、今までやっていたこととそれほど変わらないと思っています。もちろん、業務内容は変わっていますが、単発で何かを売るのではなく、長いお付き合いの中で何ができるかを考えていくという点でも、ビジネスの仕方としては類似しています。以前も中長期的にお付き合いさせていただいているお客様も多かったので、違和感なく仕事に向き合うことができていると思います。

お客様を好きになる

―営業をする上で心がけていることや、うまくいかないときの気持ちの立て直し方で、何かご自身なりの方法はありますか?

神谷 友里江:
まずはお客様のことを好きになるということが非常に大事だと思います。ですので、なるべくどのお客様ともパーソナライズした会話をするように心掛けています。お客様のバックグラウンドや好みを理解していると、より人間として好きになれるので、期待に応えたいという思いが一層強くなります。お客様を好きになることと、お客様の話をよく聞くことという“営業の基本”は、ゴールドマン・サックス証券時代の先輩方から教わったことでもあります。一方で、仕事として割り切る部分も必要です。お客様のために頑張っても結果が出ないときもあります。仕事の成否は、周囲の様々な都合が絡み合った結果でもありますので、そこは割り切るようにしています。


―仕事に対する活力はどういったところから湧いてきますか?

神谷 友里江:
やはり全てが学びのプロセスですし、全てが新しい経験として自分の成長や視野の拡大に繋がるものだと考えています。学生の時は社会人になることが不安でした。ただ、実際に仕事をしてみたら「私は仕事が好きなんだ」と思ったんです。学生より社会人の方が楽しいと感じています。仕事は自分の一部のようなものなので、もし仕事をしない人生か、仕事をする人生かを選ぶのだったら、絶対に仕事を選ぶと思います。

自分自身がハッピーに生きるために

―女性は今後のライフプランについて立ち止まって考える時期があるかと思います。その時期、神谷様はどうお考えになりましたか?

神谷 友里江:
私も20代後半の頃、非常に悩んだ時期があります。周囲が結婚をしていく中で「私はこのままでいいのだろうか」と思ったこともたくさんあります。でも、結局は、周りではなく「自分が」どう感じるかが重要で、当人が幸せであればそれで良いと思うのです。仕事をしていて幸せでないならば、辞めても構わないですし、仕事を続けたいと思う人は、そのままでもいいと思います。色々な生き方や考え方があって良いのではないでしょうか。


―“結婚こそが女性の幸せである”という認識は、いまだに聞かれますが、やはり自分なりの価値観に従うことが大切ということですね。

神谷 友里江:
結婚して幸せな人もたくさんいると思いますし、一方で結婚だけが幸せへの道ではないと考えています。人生は結婚した後も続いていきますので、自分自身の人生として考えた時に、自分は一生をかけてどんな人間になりたいのかということを、日々考えるようにしています。周りの意見ではなく、自分がどう人生を思い切り楽しむか、を大切にしたいなと思っています。

私が悩んだ時に思い出すことは、「いまいる自分の場所だけが世界じゃない」ということです。国内でも、北海道と沖縄、東京では文化も考え方も違います。職場が変わるだけでもきっと全然違う世界が見えますよね。外の世界に目を向ければ、今まで「こうでなければならない」と思い込んでいたことが本当にそうなのかということを再考することができます。その答えを見極められるのも自分だけだと思いますので、色々と視点を変えることも大切なのではないかなと思います。幸せな自分でいる選択を重ねたら、人生きっとうまくいくと信じています。


―最後に、FiNCで成し遂げたいことについてお聞かせください。

神谷 友里江:
弊社が持つ様々なテクノロジーを活用して、日本の皆様の健康や幸せに繋がるサービスをお届けできるような会社にしてきたいと考えています。また、自分自身の目標としては、せっかく今、色々と変わっていく環境に身を置いていますので、経営サイドに近いところで物事を見てみたいという気持ちはありますね。目の前のことを1つ1つこなしていく中で、足りない部分を補いつつ、頑張っていきたいと思います。

編集後記

働き方が多様化している現代でも、女性は様々なライフイベントに左右されることが多い。その中で何を選択するのかという自分なりの基準をしっかりと持ち、人生を歩んでいる神谷氏の意見は、そうした悩みを持つ女性たちに勇気を与えてくれると感じた。

神谷 友里江(かみや・ゆりえ)/1987年生まれ。
愛知県立時習館高等学校卒業後、お茶の水女子大学に入学。2009年、ゴールドマン・サックス証券株式会社に入社。 2017年9月、株式会社FiNCに転職。現在、マーケティング戦略本部アドプランニング室室長兼代表取締役室シニアマネージャーとして、広告企画営業やアライアンス関連の業務に携わっている。座右の銘は『為せば成る』。趣味はランニング・ヨガ・筋トレ・弾丸旅行。

※本ページ内の情報は2018年2月時点のものです。

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