Kudan株式会社
代表取締役CEO 大野 智弘

大野 智弘(おおの ともひろ)/大学卒業後、アクセンチュア株式会社に入社。コンサルタントとして東南アジア、アメリカ、ヨーロッパにてコンサルティング業務に携わる。2001年、イギリスのベンチャー企業に役員として入社。2011年イギリスのブリストルにてKudan Limitedを創業、2014年に日本にKudan株式会社を設立し、同社代表取締役CEOとして現在に至る。Kudan Limitedが独自開発したARエンジン(Kudan Engine)は世界的大企業を始め、多くの企業に採用され、ヨーロッパで数々の賞を受賞するなど、AR技術のリーディングカンパニーとして各方面から注目されている。

本ページ内の情報は2016年12月時点のものです。

Kudan Limited(英国)は、高いコンピュータビジョンのテクノロジーを開発提供しており、中でも独自のAR※1/VR※2技術開発、エンジン(Kudan Engine)提供及びプラットフォーム運営を行うスタートアップ企業である。Kudan LimitedはARの先進地域であるヨーロッパ諸国において、Moma AwardsやThe Webby Awardsなど数々の賞を受賞している。また、PEPSI、View AR、Audi、Ford Motor、Dyson、BBC、e-Bayなど名だたる企業が同社の技術を採用している。同社代表取締役CEO、大野智弘氏は、2011年にイギリスのブリストル(Bristol)でKudanLimitedを創業し、2014年に日本市場の開拓、管理強化のための運営拠点として東京にKudan株式会社を設立した。
「不可能だったことを実現するための技術を提供する」と語る大野社長のインタビューを通じ、世界から注目されるKudanの強み、そして今後の戦略を追った。

※1 AugmentedReality(拡張現実)の略。スマートフォンやゴーグル型デバイスなどを使い、そこに映る現実の風景や物体に3D映像や音楽などを重ね合わせて表示する技術。ゲーム、産業、建築・不動産、医療、教育など、幅広い分野での活用が想定されている。
※2 Virtual Reality(仮想現実)の略。コンピュータで作られた仮想空間を体験することができる技術。主にゲームなどエンターテイメントの分野で使用されることが多い。

ユーザーとして感じた既存AR技術への不満

WEBカメラで物体認識(左)しながらマッピング(右)のデモをするKudan CTOのJohn氏。

創業するまでの経緯についてお教えいただけますか?

大野 智弘:
大学卒業後に、コンサルティング会社に新卒で入社し、コンサルタントとして東南アジアやアメリカ、ヨーロッパで仕事をしてきました。8年程勤めた後退職し、その後イギリスのベンチャー企業に役員として入社しました。数年後に会社をエグジットし、2011年にイギリスのブリストルでKudan Limitedを創業、2014年に日本でKudan株式会社を設立し、今に至ります。

創業時はゲームのライセンス管理を行っておりました。その中でARに出会ったのがきっかけでAR事業を始めることになったのです。当初は、他社製のAR技術をアプリに応用していましたが、技術の稚拙さに加えビジネスモデルに対しても不満があり、それならば自分たちで作ろうと、開発に乗り出しました。その不満を解消することができれば、大きなビジネスになると考えたからです。また、他社の技術を使っていた時から、エンジン部分にはかなり自分たちで手を加えていましたので、開発といってもコアを作るだけでした。そのため、開発スピードの点でも他社に比べて優位に立てたと思います。

広がり続けるARの可能性

御社の製品はどのようなところで使われていますか?

大野 智弘:
フォードの例ですと、フォードマスタングという車を、自分の家の駐車場の前に実物大で見せられるアプリに使用されています。また、家具メーカーでは、家具を実寸大で部屋に表示させる目的で使われています。

ただ、弊社はシミュレーションツールを目標として、技術を開発しているのではありません。我々の技術の使用方法は、ユーザーや開発者が持つ要望によって異なります。ですので、Kudanの技術で何ができるのかということは、具体例に限ったことではなく、使用する人たちによって様々に変化していくと言えます。

考えられなかった使用方法が、将来生まれてくる可能性があるということですね。そのためにも、御社の技術をどういった方々にアピールしていきたいと考えていますか?

大野 智弘:
開発エンジニア、あるいはクリエイティブな人たちに対してですね。ARで何ができるかという啓蒙活動は引き続き行うべきだとは思いますが、Kudanというブランドは一般ユーザーに知られるべきものではありません。ARは要素技術です。要素技術は、その技術を使った企業のブランドを高めるために使われるもので、技術自体のブランドが表に出る必要はないのです。ですから、一般消費者の方の認知度を上げるということはあまり考えていません。現在、ゲーム開発会社やアプリ開発会社の開発の人たちの中で、弊社の認知度というのはそれなりに向上してきているかと思いますので、今後もこういった方々を対象としていきたいと考えています。

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