石川康晴は「earth music&ecology」や「Ehyphen world gallery」など、アパレル業界で知らない人はいないほどの人気ブランドを立ち上げたストライプインターナショナルの元社長で創業期から牽引してきた人物です。

初代社長であった石川康晴氏は、社内の後継者の育成に力を入れていましたが、実際にどのような育成を行っていたのでしょうか?

石川康晴元社長の経歴や後継者の育成方法、また石川康晴元社長辞任後のストライプインターナショナルについて紹介していきます。

石川康晴元社長の経歴

石川康晴元社長は、どのような人物なのでしょうか?

石川康晴元社長は、1970年12月15日に岡山県岡山市で誕生。祖母が日舞の師範であったことがきっかけで服に興味を持ち始め、中学時代からお年玉やお小遣いを洋服に使うことが多かったようです。

・創業は4坪のセレクトショップのオープンから


さらに中学2年生の時、いつも寄る服屋の店員から「洋服が好きなら洋服屋になればいい」という言葉をかけられ、アパレル関係の仕事に就くことを決心。

岡山県立岡山南高等学校卒業後は専門学校に進学し、卒業後に紳士服のチェーンへ就職するものの、起業を目標にしていたため、働いた300万円を元手に退職後、4坪のセレクトショップをオープンさせました。

・創業初年度に4000万円を売り上げた


創業当時ヨーロッパで買い付けをして初年度4000万円を売上げ、1995年には有限会社クロスカンパニー設立。1億円の売上げを達成するなど業績を順調に伸ばしていきます。

1999年には独自ブランド「earth music&ecology」を立ち上げ、CMでは有名女優やタレントを起用し、人気ブランドとして認知されていきます。

・社会人入試~京都大学大学院の経営管理教育部経営管理専攻専門職学位課程を修了


さらに実業家として活躍していた石川康晴元社長は、社会人入試を2008年に受け、岡山大学経済学部経済学科の夜間コースに入学。その後は京都大学大学院の経営管理教育部経営管理専攻専門職学位課程を修了させています。

石川康晴元社長の現在は公益財団法人 石川文化振興財団の理事長

ストライプインターナショナルを辞任した石川康晴元社長は現在、自らが立ち上げた公益財団法人石川文化振興財団の理事長を務めています。

石川文化振興財団の理事長として、地元である岡山県で社会貢献活動や地域経済の活性化につながる事業、環境保全活動を行っています。

・公益財団法人 石川文化振興財団について


公益財団法人 石川文化振興財団は、文化・経済・教育への支援を通じて社会貢献活動を行うとともに、未来を担う若者の育成に邁進したいという石川康晴元社長の想いのもと、平成26年に立ち上げられました。

石川康晴元社長は、これまで支援してもらった地元岡山に少しでも恩返しができるようにと、様々な活動を行っています。

公益財団法人 石川文化振興財団の活動のひとつである、アート作品を岡山市内に展示することで、人々の新しい価値観や想像力を養い、街の活性化につなげようという試みのもと、3年毎に開催されている「岡山芸術交流」では、次回2022年の開催が予定されており、石川康晴元社長はその総合プロデューサーにも就任しています。

また、若手経営者の育成を目的に創設された「オカヤマアワード」では、起業家である石川康晴元社長が若手経営者へのサポートやアドバイスを行う活動をしており、その他にも、教育機関や非営利活動法人などへの助成活動を行っています。

・公益財団法人 石川文化振興財団の概要


石川康晴元社長が現在理事長を務めている、公益財団法人 石川文化振興財団の概要は以下の通りです。

名称 公益財団法人 石川文化振興財団
理事長 石川康晴
所在地 岡山県岡山市北区幸町2-8
設立 平成26年8月25日

石川康晴元社長とストライプインターナショナル

石川康晴元社長が立ち上げた有限会社クロスカンパニー。株式会社クロスカンパニー、のちに株式会社ストライプインターナショナルとなるまでの25年間は一体どのようなものだったのでしょう?

・1995年に有限会社クロスカンパニーを設立 代表取締役社長に就任


石川康晴元社長は、1995年にアパレル事業となる有限会社クロスカンパニーを設立し、代表取締役社長に就任しました。

1999年には「earth music & ecology」というブランドの立ち上げにより、製造小売業を本格的にスタート。

女優の宮崎あおいさんをブランドキャラクターにしたCMを放映し、話題となりました。2017年からは広瀬すずさんや鈴木京香さんも加わり、新たなブランドイメージを打ち出しています。

・日本のアニメやマンガとファッションを融合


また世界的に評価されている日本のアニメやマンガとファッションを融合させ、初音ミクとのコラボレーションも実現させました。アイウエアのJINSともコラボレーションするなど、企業や文化を超えた融合が楽しめるブランドです。

このブランドは石川康晴元社長の原点かつ会社の主翼となり、10年間で売上げは1000億円を記録し、グループ売上げは22倍、出店数は1000店舗近くに成長しました。

・M&A・サブスク・新たな分野への進出


さらに2013年には積極的な企業M&Aにより、株式会社キャンの買収、海外では「Thom Browne, Inc.」や「Kitsune Creative S.A.S」への出資を行い、新たな開拓を常に行ってきました。

2016年には社名を「株式会社ストライプインターナショナル(STRIPE INTERNATIONAL INC.)」に変更。他にもファッションでのサブスクリプションサービスとなる「メチャカリ」の開始やECデパートメントの「STRIPE DEPARTMENT」、新しいブランドコンセプトとなる「hotel koe tokyo」など、ホテルの分野にも進出しています。

また「koe donuts」や「koe pizza」といった食への進出も行い、常に新しいものを取り入れる事業展開や会社の動向は現在も業界において常に話題です。

・労働環境の改善などで評価され多くの認定や賞を受賞


社員の教育や労働環境の改善、女性の活躍推進にも積極的に取り組んできたことも評価され、厚生労働大臣から「えるぼし認定企業」、「健康経営優良法人2017(大規模法人部門)~ホワイト500~」認定などを受けています。

地元岡山からも応援され、「岡山県男女共同参画社会づくり表彰」事業者部門受賞や、おかやま子育て応援宣言企業「岡山県知事賞」を受賞するなど、企業努力が認められた25年間でした。

石川康晴元社長が行った「後継者の育成」

石川康晴元社長は会社をより成長させるために後継者となる幹部候補の育成にも積極的に取り組んできました。それでは後継者の育成のために、どのようなことを行ってきたのでしょうか?

・部下に事業を任せる


石川康晴元社長は、幹部候補の育成のために部下に1つの事業を任せました。言い方を変えてしまえば”丸投げ”。部下に自分で事業を回すように促します。

これは、自分が事業部長になることで今まで見えなかった課題が見えたり、学習意欲向上が湧いたりするようになるためです。また、その結果部下に学習意欲が芽生えれば、MBAの取得を支援しています。

・部下にグループ会社の社長を任せる


事業部長になったとしても、限られた業務のみを行うため、会社全体でのことや経理や財務状況などを把握することはありませんが、小さな会社の社長となった場合は長期的な経営企画や経理、財務状況は把握していなければなりません。

そのため、あえてグループ会社の社長にして、これまで見えなかった部分の視野を広げさせます。

過去に本社の専務にグループ会社の社長を任せて売上高を伸ばした成功事例があるそうです。また、これにより社長の後継者選びもシンプルになったとしています。

・幹部候補の条件を明確にする


石川康晴元社長は後継者として育成する人の条件を、以下の通りに明確に決めていました。

・コミュニケーション能力が高い人
・楽観的であまり考えない人
・結果が出せる人

石川康晴元社長は、異なる立場の人と率先して会話し意志疎通ができるかどうか、また、目標に対し最後まで踏ん張れるかどうか。この2つを幹部の条件として明確にしていたようです。

このような幹部育成を仕組化した結果、少しずつ30代、40代の幹部候補が育ち、面白い人が増えてきたと語っています。

石川康晴元社長辞任後のストライプインターナショナル

石川康晴元社長は、2020年に創業した会社を辞任しました。その後、ストライプインターナショナル代表取締役社長には立花隆央氏が就任しています。

・ストライプインターナショナルの現在


石川康晴元社長辞任後のストライプインターナショナルの現在は、新型コロナの影響もあり店頭販売に関しては、昨対比75%くらいまで落ち込んでいたのですが、ストライプデパートメントは営業利益の目標値をクリアしています。豊富なアイテムとコンテンツが現代にマッチしたことで、需要も高まったようです。

またブランドでは「アメリカンホリック」が好調な半面、基幹ブランドであった「Ehyphen world gallery」や藤田ニコルプロデュースの「ニコロン」などの事業終了を発表しました。

・現代表取締役社長の立花隆央氏が目指すもの


現代表取締役社長の立花隆央氏は、日本の国民服となるような存在を目指していきたいと話していますが、このような時代で世間の動向が読めない中であっても、既存ブランドを取捨選択、新規事業を開拓しながら今後も成長をしていくことでしょう。

今後もストライプインターナショナルの発展に注目です。

会社概要

名称:株式会社ストライプインターナショナル(STRIPE INTERNATIONAL INC.)
本社:〒700-0903 岡山県岡山市北区幸町2-8
本部:〒104-0061 東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー18F
代表者:代表取締役社長 立花 隆央
創立:1994年6月
設立:1995年2月
資本金:1億円
年商:1,325億円 連結売り上げ高(2019年度)
社員数:3,632名(2020年1月時点)
決算期:1月
取引銀行:中国銀行、みずほ銀行、三菱UFJ銀行
主要取引先:株式会社アトレ/イオンリテール株式会社/伊藤忠商事株式会社/小田急電鉄株式会社/株式会社講談社/株式会社小学館/株式会社集英社/瀧定大阪株式会社/田村駒株式会社/株式会社電通/東神開発株式会社/日鉄物産株式会社/株式会社パルコ/株式会社マガジンハウス/丸紅株式会社/三井不動産株式会社/三菱商事株式会社/三菱地所株式会社/森ビル株式会社/株式会社ルミネ(50音順)