~健康住宅株式会社 代表取締役 畑中直氏~
国内の住宅市場は規模が縮小している一方、省エネ住宅やZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)への関心は高まっている。
こうした中、健康と省エネ、耐震を重視した高性能住宅メーカーとして評判なのが健康住宅株式会社だ。
高性能住宅の分野で業界をリードする畑中社長に、経営者としての理念や住まいづくりへの思いなどを伺った。
九州でいち早く外断熱工法を採用
-貴社の設立の経緯をお聞かせください。
畑中直社長:
健康住宅は1998年8月に創業しました。創業者は父がかつて経営していた、まるは住宅の元社員です。父が経営していた会社は、売上100億円ほどの規模でしたが、バブル経済の崩壊にともない経営が困難になり、100人ほどいた社員数も17人まで減少してしまいました。
健康住宅は、まるは住宅に残った社員の生活を守るために設立された会社で、経営者は金融機関からの借り入れに頼ることなく、新たなビジネスを立ち上げることを目指していました。
-新会社の経営は、順調に軌道に乗ったのですか。
畑中直社長:
創業当初は、やはり借金に悩まされることとなりました。でも、注文住宅を中心に手掛ける中で、お客様から前渡し金を受け取り、必要な資金を確保した上で建築を進めるという、安全なビジネスモデルを確立しました。
また、同業他社との差別化を図った商品を創出するため、九州でいち早く外断熱工法を採用したことで評判が高まり、競争力も高めることができたのです。そうして業績が向上した結果、まるは住宅の債務を引き継いだ上で、経営基盤を安定させることに成功しました。
飛び込み営業の苦しさを一変させた出来事
-ご自身が住宅業界に身を置いたのは、お父様の後を継ごうと決めていたからなのでしょうか。
畑中直社長:
父の後を継ごうと東京から福岡に帰ってきたのですが、父の会社では朝から晩まで飛び込み営業に従事していました。時おり契約は取れていたものの、そんな毎日を繰り返すのは非常につらく、苦痛のあまり玄関のチャイムを押すこともできなくなったことを覚えています。福岡に帰ってきたことを後悔し、「こんな会社はない方が良い」とまで思っていました。
そんなある日、前日に住宅をお引き渡ししたばかりのお客様を偶然見かけました。マイホームを初めて手に入れたそのお客様は、仕事を終えて新居に帰るところだったのです。その表情は、まるでおとぎ話の主人公のように幸せそうにニコニコしていました。
その様子を目にした瞬間、私は自分がいかに素晴らしい商売をしているのかということに気付き、目の前の世界が一瞬にしてカラフルになったような感覚になりました。それ以降、飛び込み営業も全く苦ではなくなり、一気に高まったテンションは40年以上経った今も全く変わりません。あの日の出来事が、私の仕事観を大きく変えたのです。
創業時から高性能住宅のみを提供
-貴社の住まいの特徴、強みを教えてください。
畑中直社長:
創業以来、高性能住宅を提供し続けています。「夏はヒンヤリ、冬はポカポカ」な住まいづくりが評判で、外気温が室温に影響しない設計です。弊社は室内の熱損失が少ない窓性能を重視し、トリプルサッシを採用して冬の結露を防いでいます。
また、「命も財産も守り、住み続けることができる住宅」を目指し、新しい制震技術「MIRAIE」を導入しました。しなやかな軸組み工法と高強度の2×4工法を組み合わせた独自の工法で、ご家族全員の安全・安心を守れるとの評判をいただいています。
もちろん、住まう人の健康こそが大事という考えも大切にしており、住まいには天然素材を豊富に使っています。構造材はヒノキの無垢材で、家中がオール浄水です。高性能というだけでなく、機能性とデザインの両立を追求しているのも、健康住宅の強みですね。
-高性能住宅の提供に徹する中では、企業理念も大切にされていると思いますが、企業理念はどのようにつくられたのでしょうか。
畑中直社長:
弊社が創業した当初は、企業理念という概念自体を知りませんでした。しかし、経営に関する研修を受ける中で経営理念の必要性を感じ、経営のノウハウを学びながら理念を作成することに決めました。
企業理念は何度か改訂しており、現在は「正道を行く」という短く簡潔な形にまとめています。
お客様に感動を提供し、社員全員で物心両面の幸せを追求することを目的としており、社員の意見を取り入れて作成しました。
社員は「グッドピープル」であれ
-貴社が求める社員の人物像や、社長の右腕として活躍するために必要な要素があればお聞かせください。
畑中直社長:
性格の明るさを重要視していて、笑顔の方・ポジティブな方を求めています。スキルがどれだけ高くても、お客様に暗い印象を与えてしまってはなりません。働く中で、自己啓発や財務についての知識を深めることも大切ですので、学び続ける姿勢も不可欠です。
あとは、謙虚な姿勢で人の気持ちを理解し、思いやりに満ちた「グッドピープル」であること。グッドピープルとは健気でひたむきさがあり、自分磨きを怠ることなく周囲に応援される人ですね。穏やかで夢を語り、礼儀正しく謙虚で、人の喜びや悲しみに寄り添えるように努力できる人を求めています。
私自身も、多くのことを学びながら成長してきたので、右腕として相応しいのは、成長し続けようと努力できる人だと思います。
また、良い人間関係を築くための心構えを持ち、自分の人生を「かっこよく終わらせる」ことを目指している人も適しているのではないでしょうか。
すべての社員が幸せになることが願い
-共に働く社員の皆様には、どのような思いをお持ちでしょうか。
畑中直社長:
すべての社員が幸せになることを強く望んでいます。私自身、人生の目的は幸せを追求することだと考えているので、社員にも一度きりの人生を大切にしてほしいですね。私も自分の葬儀の際には、「うちの社長はよくやった」と社員に言ってもらえるようになることを人生の目標にしています。
社員には、「意義のある人生を送るためには、その都度、設定すべき目標が存在する」と説明しています。仕事においても、自分の人生の目的を常に意識しながら業務に取り組むことはとても重要で、建築士やインテリアコーディネーターなどの資格取得を目指す社員も多いですね。弊社では、資格受験をサポートする体制も整えています。
-採用面接で重視されていることはありますか。
畑中直社長:
家づくりが好きかを重視しています。デザインや間取り、インテリア、照明など、住宅に関連するさまざまな要素に興味を持ち、工夫することが好きであること。一生懸命に頑張る意欲や学習意欲も大切ですが、「家づくりへの情熱」が最も重要なポイントです。
面接では性格の明るさや、コンプライアンス、ルールを守れる方かということも見ています。その上で、弊社が掲げる「正道を行く」というミッションに共感し、その意味を掘り下げて考えられる人物を採用するようにしています。
住宅性能のレベルを上げ続けることが使命
-高性能住宅にこだわる住宅メーカーとして、今後の目標を教えてください。
畑中直社長:
日本では高齢者が浴室で亡くなる事例が多発していますが、これは浴室の内外の温度差によるヒートショックが原因です。日本の住宅性能は先進国の中でも非常に低く、この問題を解決する必要があると考えています。
全国には約6500万軒の住宅があり、うち約30%は断熱材が入っていない無断熱住宅。断熱性能が十分でなければ結露が発生し、劣化が進みます。現在のZEH基準ですら欧州では低すぎるとされており、新築住宅においても高性能住宅の割合は限られているのが実情です。
近年の新築住宅着工件数は減少していますが、マイホームを手に入れることが大きな幸せであることに変わりはありません。住宅の性能を向上させることができれば、日本の電力需給に大きな影響を与えられる可能性もあるため、高性能住宅の普及に努めていきます。
創業当時の日本は、高性能住宅という概念がまだ浸透していない時代でしたが、弊社は業界に先駆けて高性能住宅を手掛けてきました。これからも、福岡の高性能住宅の歴史を創ってきたという実績・評判を大切にし、新たに開発されるシステムや工法を取り入れながら、住宅性能のレベルを上げ続けていくという使命を果たしていきたいと考えています。