「安定した職場」と聞くと、多くの方が真っ先に思い浮かべるのは、県庁や市役所といった行政機関ではないでしょうか。安定したポジションに魅力を感じ、多くの人がその道を選びます。しかし、その安定した道を捨て「自分の可能性を最大限に活かしたい」「もっと自由でクリエイティブに生きたい」と夢を追う人がいます。
その一人が、Bizアド株式会社 代表取締役の米丸剛氏です。

県職員としてのキャリアから、コンサルタントとしての第二の人生へと大きく方向転換を遂げた米丸氏。その人生には、誰もが参考にしたくなる挑戦と決断が詰まっています。今回はその転身のきっかけや想い、その後の挑戦について詳しくお話を伺いました。

起業を決断した背景:胸に秘めていた「挑戦」の灯

-まずは、県職員としての安定を手放して起業という大きな選択をされた背景についてお聞かせください。特に、どのようなきっかけや考えが背中を押したのでしょうか?

米丸社長:
人生は一度きり。その中でやりたいことを全力でやり遂げたいという思いは、子どもの頃からずっとありました。もちろん、県職員になった時点では安定した生活でしたし、社会的にも認められる役職だったので、迷いはありましたが、胸の奥では「これで満足してはいけない」という思いが常にありましたね。

起業を決断した大きな理由の一つは、県庁の仕事を通じて企画力や発想力を磨く機会が数多くあったことです。特に、三菱総合研究所に出向した1年間は非常に刺激的で、ビジネスの本質を深く学ぶことができました。

また、内閣官房と連携し、「明治日本の産業革命遺産」を登録する政府案件に取り組んだ経験も、全国8県11市の知事・市長で構成された協議会の事務局長として調整役を担うという、通常の県職員では歩むことのできないキャリアでした。このような経験を通じて、「自分の可能性を試したい」という気持ちが強く芽生えるきっかけとなりました。

-心のどこかで「きっかけ」を待っていた、ということですね。そのタイミングを逃さず行動に移した理由は何だったのでしょうか?

米丸社長:
これまでに培った経験から、自分の「アイデア、思考力、発想力」は、「人が持ってない特殊なもの」であるという確信を深めていましたから、この能力を活かしてビジネスを企画立案して道を切り開いてみたいと、思案していました。

しかし、私は幹部候補として県庁に入庁したため、早々に辞めるわけにはいきません。思いを抱えたままでしたが、任された仕事は楽しみながら真剣にやり抜き、その結果、同期の中でもトップクラスの出世スピードで結果を残してきました。

県庁生活が完結したと思えるタイミングが巡ってきたのは、観光対策監の主要なポストを経たあとでした。「これ以上全力を尽くせないほど働けた」というような達成感を感じ、心の声を尊重することを決断しました。人間は、ある程度やり切ったと感じたときに次のステージに進むべきなのだと思います。
ですから上司にもしっかり説明し、円満に退職することができました。

決断から起業への道のり:不安と挑戦、そして手応え

-安定性を手放し、起業という道を選ぶ際には不安や迷いもあったと思います。その点についてはどのように克服されましたか?

米丸社長:
起業を決断するとき、不安がゼロだったと言えば嘘になります。ただ、それを乗り越えるために大切だったのは、「自分の経験と能力を信じる」ことでした。多くの方が「米丸だったらやれるだろう」と見守ってくれたのも大きな後押しでした。

これはおそらく、私が県職員時代に、作曲家としても活動していたのが理由だと思います。
小学校の校歌や地元のヒーロードラマのエンディングテーマを手がけ、大河ドラマキャンペーンソングの公式コンペで大賞をいただき1年間プロモーションに採用された実績があるので、地域では割と有名でした。

そんな状況なので、周囲は私が音楽の道に進むと考えていたようですが、音楽では安定しないとわかっていたので、選択肢にはありませんでした。

退職後の3か月間はビジネスモデルが固まらず、何をするべきか模索する日々が続きました。ただ、不安に流されてどこかの組織に再就職するという選択肢が、どうしても自分には合わないと感じていました。

自らの「これまで」を見直し、今の自分にとって最も自然な形を探し続けた結果、コーチングビジネスというマーケットに可能性を見出すことができました。

-不安を感じつつも「行動」を止めなかったことが成功の鍵だったということですね。

米丸社長:
はい。実績や能力はもちろん重要ですが、最も重要なのは、一歩を踏み出す行動力と、それを信じて続ける忍耐力だと思います。一度「これだ」と決めたら、それをやり抜く覚悟が必要ですね。

独自の才能とキャリアの融合

-音楽家としての才能や、公務員としての企画力やロジカルシンキングの経験が今の事業に活きているというお話を伺いました。具体的にどのような形で強みとして活用されているのでしょうか?

米丸社長:
音楽での作詞・作曲という作業は、マーケティングの考え方と多くの共通点があります。
たとえば、短い言葉でいかに相手の心を打つ言葉を生み出せるか、読み手や聞き手がどんな感情を抱くのかを想像して設計する力は、まさに共通するものだと思います。

-先ほどお話にあった三菱総合研究所でのご経験も、現在のビジネスにも生かされているとのことですが、具体的にはどのような学びや取り組みがつながっているのでしょうか?

米丸社長:
特に活かされているのは、「発想力」「ロジカルシンキング」「コミュニケーション力」の3つです。

まず、発想力についてですが、私はゼロから新しいものを生み出すことが得意でした。三菱総合研究所では、この能力をさらに伸ばし、人が思いつかない発想や具体的な提案をクライアントに提示する力を培いました。豊富な選択肢の中から最適なアイデアを見出す方法論を学んだことが、現在のビジネスにも大きく影響しています。

次にロジカルシンキングですが、課題を整理し、筋道を立てて考える力を磨くことができました。どんなに良いアイデアでも論理が欠けていては説得力を持ちません。問題の本質を捉えつつ、相手のニーズに的確に応えるスキルを習得できたと感じています。

最後に、コミュニケーション力です。クライアントの意図を深く汲み取り、円滑なコミュニケーションを通じて信頼関係を築く力を身につけました。相手の立場に合わせた柔軟な対応を心がけることで、的確なニーズ把握と提案を実現しています。

これらのスキルを相互に結びつけながら活用することで、私自身のビジネスがクライアントにとってもっと価値のあるものになり、大きな成果を生み出せていると実感しています。

クライアントに寄り添う経営哲学と実践

-現在、Bizアド株式会社で展開しているサービスが、多くのクライアントから信頼されている背景にはどのような哲学や具体的なサポートの仕組みがあるのでしょうか?

米丸社長:
弊社では、まず「完全個別」にこだわっており、全セッションを私一人で個別に行っています。
一人ひとりのお客様に、しっかり向き合うこと。これが全ての基盤です。

具体的には、各クライアントの性格や趣味、価値観、考え方まで、あらゆる要素を深く理解し、そこに基づいた戦略を提案します。個別セッションでやり取りを行うことで、グループセッションでは出せないレベルのアイデアを豊富に提案することができるのが利点です。クライアント本人に合った、現実的に成功する可能性の高いサービスを提案することに注力しています。

また、SNSやブログに依存しない安定的な集客システムの構築も特徴です。私は大学時代からプログラミングに携わり、その経験を活かして統計や数値分析に基づいた導線設計を提供しています。これにより、継続的で信頼性の高い結果を導くことが可能になっています。

―様々な経歴のクライアントがいらっしゃると思いますが、成果を出すまでの鍵になるポイントについて、どのようにお考えですか?

米丸社長:
私のクライアントには、キャリア官僚、上場企業の役員、国立大学医学部の教授、士業の方から、シングルマザーで苦労を重ねてきた方まで、多様な方がいらっしゃいますが、すべての方に認識していただきたいのは、「みんなに通用する成功法則は存在しない」ということです。つまり、各々が持つ強みや環境に合わせた形を見つけることが大切だと考えています。

私は、クライアントにとって必要なのは「信頼される存在」になることだと思っています。自分自身がまず信頼され、その信頼がサービスに反映されることで、最終的な成果である契約や成功へと繋がるのです。

加えて、私はご依頼をお受けする際、「成功の可能性が一定以上見込める方に限る」という方針を大切にしています。

人に価値を提供する仕事は真剣勝負なので、ご本人の熱意や姿勢が何より重要です。そのため、前向きな学びの姿勢を持ち、人としての誠実さが感じられる方を基本的にサポート対象としています。人間的な魅力を持ち、信頼を得やすい言動ができる方や、困難に対して諦めず努力し続けられる方が目立ちますね。そうした方々は実際のサポートの中でも非常に大きな成果を生み出しやすいと感じます。

―クライアントがつまずきやすい共通の課題などもあれば伺えますか?

米丸社長:
大きく分けて二つ挙げられます。

一つ目は「アイデアや方向性の欠如」です。優秀な方であっても、自分自身のサービスを客観的に捉えることが難しい場合が多いですね。このようなケースでは、まずクライアントが持つ漠然としたアイデアや価値観を徹底的にお聞きし、そこからどういったポテンシャルがあるのかを具体化するお手伝いをしています。結果として、思い描くだけで終わりがちな目標が現実的なプランに変わるのです。

二つ目は、「集客後の行動のズレ」です。集客に成功しても、その後の動きが契約に繋がらないというお悩みもよく耳にします。この場合、正しい努力の方向性を見極めないと、かえって遠回りをしてしまうリスクがあります。そこで私は、自身の経験を活かして、具体的かつ実践的なアドバイスを提供し、迷走することなく成果を掴めるようサポートしています。

どの課題についても共通して大切だと思うのは、クライアント自身が「自分には能力がない」と思い込んでしまわないことです。人は時折、自分の力を過小評価しがちですが、しっかり向き合い、適切なサポートを受ければ必ず道は開けます。私は励ましと具体的な助言を組み合わせることで、クライアントの可能性を一緒に見つけていきたいと思っています。

経済的自由のその先にある「使命感」

-起業以来、着実に成果を上げられている中で、今後の展望や目標についてお聞かせください。

米丸社長:
おかげさまで、これまで多くのクライアントにご信頼いただき、現在は経済的な制約に縛られることなく、思い描いたとおりの生活を実現できています。

しかし私にとっての夢は、収入の多寡で測れるものではありません。最も大切にしているのは、「持てる力を全て使い、人を助けることができた」と胸を張って言える生涯を送ることです。この想いがあるからこそ、クライアント一人ひとりと誠実に向き合い、「本物の価値」を提供することを何よりの使命として取り組んでいます。クライアントが成功し、その笑顔を見るたびに、自分のやりがいを実感し、その瞬間が私自身の原動力にもなっています。

-現在は仕事の進め方や働き方について、どのようなスタンスをお持ちなのでしょうか?

米丸社長:
現在は、1日4~5回のセッションを行い、土日も休まず活動していますが、不思議と疲労感を覚えることはありません。それどころか、仕事を通じてエネルギーをもらっている実感があります。
この活動を通じて私自身が感じているのは、仕事と趣味との境目がほとんどなく、「これこそが夢のような世界だ」と改めて実感していることです。このような形で仕事ができることは本当に幸せなことだと思いますし、この道をこれからも一筋に進んでいくつもりです。

また、コーチングを深く学び研究していく中で、人間の脳の健康やモチベーション維持の大切さに気づきました。そしてこの気づきが、人と向き合い価値を提供していくコンサルティングの中でも非常に有効であることに驚きました。

例えば、何かに行き詰まりを感じている時、それにどう取り組めばストレスが減り、むしろ前向きに課題を乗り越えられるのか。その構造を理解し、クライアントにとって心地よい状況を作れるよう助言しています。この知見を活用することで、クライアントはワクワクした気持ちを持ちながら進めるようになり、自然と成長への道筋が見えてくるのです。

私自身も、日々の仕事に明確な目的があるため、無駄に悩む時間がほとんどありません。この「ノーストレス」な状態は、自身の心身の健康に大きく寄与し、非常に効果的であると感じています。こうした自分の経験値や知識を仕事の中で活かせることが、クライアントへの更なる価値提供に繋がっているのだと思います。

-これからの時代はさらにインターネットや技術が進んでいきますが、その中でどのような未来を描いていらっしゃいますか?

米丸社長:
インターネットをはじめとする技術の発展によって、「やりたいことをやる」「理想の生活を実現する」といった夢が本当に達成可能な世の中になっています。こうした変化を受けて、私が今後目指すのは、この可能性をさらに多くの方に伝え、共にそうした世界を実現していくことです。

クライアントが「自分もできる」と思い挑戦するきっかけを提供すること。そしてその挑戦を支える存在であり続けたいと考えています。それが私の使命であり、これからも変わらない信念です。

もちろん、こうした活動を続けるには健康が大切です。幸いにも私は今健康に恵まれていますが、それに甘えることなく、継続できるようしっかり自己管理をしていきたいと思っています。

そして、クライアントの成長を支える役割として、自分ができることを追求し、より良いサービスを提供し続けていきたいと考えています。

編集後記

米丸剛氏へのインタビューを通じて感じたのは、同氏が単に成果を追求するビジネスマンではなく、「他者への貢献」を人生のテーマに据える人間であるということでした。その謙虚な姿勢と熱意に満ちた挑戦は、多くの人に希望と勇気を与えてくれるはずです。