株式会社松屋の概要と沿革

まず、松屋の基本情報は以下の通りです。

【松屋の概要】

社名株式会社松屋(Matsuya Co., Ltd.)
本社所在地東京都中央区銀座3丁目6番1号
設立年月日1919年(大正8年)3月1日
代表取締役社長執行役員秋田 正紀
株式公開東証一部上場(証券コード:8237)
資本金7,132百万円
事業内容百貨店業、通信販売業およびこれらに関連する製造加工、輸出入業、卸売業
松屋HP:会社概要より引用


松屋は東京都中央区銀座に本社を置いている百貨店「松屋」をはじめそれに付随した通信販売をおこなっている会社です。その歴史は古く、今から100年以上も前の1869年に横浜に誕生した呉服店「鶴屋」が誕生したことに始まります。創業以来、拡大路線をひた走り大手百貨店として人気を博していた松屋ですが、1970年のオイルショックの影響をもろに受けてしまった企業としても知られています。

それでは松屋の歴史を沿革で見ていきましょう。

【松屋の沿革】

1869年初代古屋徳兵衛横浜石川町に鶴屋呉服店を創業(11月3日)
1901年今川橋松屋呉服店舗改装、ショーケースを導入
(男物洋日傘・インバネス・パナマ帽・婦人ひさし髪流行)
1906年初めて女子社員を採用
1907年松鶴マーク導入
今川橋松屋呉服店三階建洋風に増築、東京で初の本格的デパートメントストアに
初売りは「バーゲン・デー」の呼び名「○○デー」の元祖
1942年銀座店土地建物の所有権移転登記完了
1944年㈱壽百貨店の店舗を当社横浜店とし開業
1946年GHQによりPXとして銀座店・横浜店全面接収、戦災により浅草店
営業面積激減
1948年商号を「株式会社松屋」に変更
1957年松屋通り完成
1969年創業100年
1971年東証第一部に株式上場
㈱船橋松屋閉店
1976年無配 横浜店閉店
1978年松鶴マークから現行マークヘ
1982年松屋従業員持株会発足
1983年「多特化大店」構想
1984年銀座開店60年「生活文化創造集団」松屋グループ企業理念へ
(銀座・有楽町百貨店戦争始まる)
1986年増配 ㈱エムアンドエー設立 取引先持株会発足 株式時価発行
資本金を44億7000万円に増資
1987年「東京大神宮マツヤサロン」開店
米ドル建新株引受権付社債を発行
1988年定休日を木から火曜日に(「ハナモク」は流行語大賞銀賞に)
㈱東京生活研究所設立
1989年銀座店全面リファインマーク導入
ストアコンセプト「生活デザイン百貨店」
創業120年 古屋勝彦社長就任
1990年㈱スキャンデックス設立 専門店事業スタート
1991年銀座店銀座駅への地下通路完成
1992年ノウハウ提供により台湾台中市「中友百貨店」オープン
㈱松屋友の会設立
1994年古屋勝彦社長フランス国家功労賞オフィシエ受章
1996年転換社債発行
1997年松屋ホームページ開設
1998年ノウハウ提供により韓国「LG百貨店」九里店オープン
㈱エムジー商品試験センター設立
1999年古屋勝彦社長ノルウェー王国功労勲章騎士一等勲受章
東京三菱銀行銀座通店跡地を取得し銀座3丁目の銀座通り側が全て松屋銀座店となる
2001年銀座店リニューアルグランドオープン「ファッションと情報発信の松屋」を標榜
CIカラー「ブルー」から「ホワイト」へ
ノウハウ提供により台湾台北市「京華城リビングモール」 オープン
2002年銀座店にギンザエル新設
2003年古屋浩吉社長、古屋勝彦会長 就任
商標(松屋)の貸与とノウハウ提供により台湾新竹市「風城松屋百貨」オープン
松屋ポイントカード発行
2005年新顧客分析システム導入
銀座店 レストランシティGINZAリニューアルオープン ギンザビューティーオープン
2006年(株)アターブル松屋を会社分割し、(株)アターブル松屋ホールディングス及び6つの事業会社からなる持株会社体制へ移行
銀座店外壁耐震工事完成し外装一新
商標(松屋)の貸与とノウハウ提供により台湾嘉義市「耐斯松屋百貨」オープン
2007年「エノテカピンキオーリ」を名古屋ミッドランドスクエア42階にオープン
銀座店屋上緑化計画
秋田正紀社長就任
2008年㈱シービーケーが㈱エムアンドエーを吸収合併
執行役員制度の導入
イッタラ日本初の路面店「イッタラGINZA」オープン
2009年創業140年
銀座店2階インターナショナル雑貨フロアへリニューアルスタート
2010年無配 ストアコンセプト「GINZAスペシャリティストア」
浅草店地階、1階、3階の3フロア体制に
銀座インズに「プチプチ マルシェ」オープン
2011年銀座店デザインコレクション全面リニューアル
銀座三越との初の共同イベント 「GINZA FASHION WEEK」 開催
2012年銀座店屋上に百貨店初のwebラジオ放送局「ソラトニワ銀座」登場
公式フェイスブック(松屋銀座グルメ)スタート
東京ステーションホテル内に「松屋 東京丸ノ内」オープン
2013年㈱東京生活研究所解散
銀座店7階に「美と健康」ゾーンを新設
東京ファッション専門学校創立100周年
銀座店屋上に美しくなるビアガーデンBeer&BBQ&Bar Terrace@888オープン
銀座店グランドリニューアル
2014年銀座店地下1・2階 GINZAフードステージリニューアル
2015年銀座店5階紳士フロアリニューアル
松屋HP:沿革より引用


オイルショック後の1980年代以降は、経営規模の縮小を余儀なくされてしまい、銀座と浅草の二店舗に営業を絞ることになります。ですがこれが松屋にとっては結果的に良かったのかもしれません。歴史ある街に残った二つの松屋は、高級ブランド、ファッションやアクセサリーを取り揃え、豪華な内装から女性からの支持が非常に高いです。銀座においては三越と共に代表する百貨店として今も時代の最先端のファッションとブランドで競争を続けています。

株式会社松屋の企業理念・経営方針

次に、松屋の経営ビジョンをまとめていきます。

【企業理念】

「生活文化創造集団」

松屋は、創業からいつの時代においてもお客様と共にあり、お客様の生活の変遷に沿って革新を重ね、成長を遂げてまいりました。
現在、政治・経済から人々の価値観・気分まで、これまでの予測を超えて大きく転換し、時代の波はそのスピードとうねりを増しています。私たち松屋にも、今まで以上に時代を素早く捉え、変化に先んじて提案できる企業であることが求められています。
松屋グループは、百貨店を核に、常にお客様とともに「GINZA」を体現する企業グループとして歩んでまいります。
松屋HP:企業情報より引用

【経営方針】

「顧客第一主義」
「共存共栄」
「人間尊重」
「堅実経営」
「創意工夫」


松屋グループの経営方針は、その創業以来の歴史の中にあります。

明治2年(1869年)初代古屋徳兵衛は開港間もない横浜に呉服店「鶴屋」を構えました。横浜に端を発し、後の銀座進出からも見て取れるように、松屋は時代を映す百貨店としては欠くことのできない先進性を具えており、これが上述の経営方針の基調となっています。
当時の呉服店が、反物売りを中心にしていた時代に、松屋はお客様が望む量だけの切り売りを心がけ、またお客様が望まれる品物が松屋に無いときには、すぐに使いを出してお取引先から取り寄せました。松屋がお客様と共にあり、御奉仕する「顧客第一主義」の精神です。
一方で、お取引先あっての松屋、お取引先とも共に繁栄しようという考え方が「共存共栄」の方針です。
店員達のためには、夜間の裁縫学校を開き、人材の育成を行いました。店と従業員の発展を同時に願うといった「人間尊重」の精神は、今となっては当然のことですが、当時としてはかなり進歩的な考え方でした。

さらに松屋は「堅実経営」により、創業以来幾重もの時代の波を乗り越えてきました。
また松屋が「創意工夫」により他店に先駆けて行ったことは数多く、例えば、浅草店が開業する時、屋上に動物園や遊園地を設け、これがデパート初の屋上遊園地であったことは有名な話です。
長い歴史の中で、多くの伝統ある企業が次第に姿を消したにもかかわらず、松屋が繁栄を保ち得た理由は、経験の中で培われた経営方針とそれを誠実に守り続けた経営者・従業員の姿勢にあるといっても過言ではありません。
松屋HP:企業情報より引用

明治時代から歴史を歩み続けてきた松屋は、まさに日本の歴史と共にありました。和服がメインであった日本において西洋化が進み洋服を着こなすようになったのと同時に、松屋はその時代を反映するファッションを販売してきました。オイルショックでの悪影響を学んだことから、モノをひたすら売るのではなく顧客が求めているものを売り切る路線への変更をしたことで、一人ひとりの顧客により近い百貨店へと松屋は変わりました。その時代に合ったモノを取り入れ、伝統と歴史ある企業として松屋は今日も最先端の文化をわたし達に届け続けてくれているんです!

株式会社松屋の事業内容

松屋が現在展開している店舗は以下の通りです。現在は銀座と浅草の2店舗をメインに営業を続けていますが、その他インターネットでの販売も行なっており、お店が近くにない方も利用できるシステムを作っています。

【松屋/銀座店】
世界の銀座を象徴する個性的な百貨店「GINZA スペシャリティストア」の確立を目指し、「ファッション性」と「デザイン性」の観点から品揃えの強化を図り、競争力の向上に努めてまいりました。
平成27年には15年ぶりに紳士ゾーンを大規模に改装いたしました。この改装は平成25年9月のグランドリニューアルで品揃えを再編・強化した他フロアとのグレードとテイストの統一を目的としたものです。
今後も、世界に注目される街GINZAを代表する店舗として、自らの強みに更に磨きをかけ個性豊かな店を実現するとともに、お客様のご期待以上のおもてなしで更なる「松屋ファン」の獲得を図ってまいります。

【松屋/浅草店】
開店当初から育んだ地元浅草との深い信頼関係を財産に、地元のお客様、並びに入居する商業施設「EKIMISE」に来店するお客様の需要にあった店づくりと品揃えの改善 に取り組んでまいります。
今後も、「マイタウン・マイストア」をキーワードに、ターミナルの立地を活かしながら地域に愛される店として、食を中心に実用型の店舗として営業を行ってまいります。
松屋HP:店舗紹介より引用

日本の歴史と共に100年以上の歴史を歩んできたのが株式会社松屋!

明治から現在に至るまで、約150年に渡る歴史を松屋は歩んできました。それだけ長い時を刻んでいれば、良いことも悪いこともありました。ですがそのどちらでもしっかりと学び、その経験を現在に活かしています。浅草と銀座という日本有数の土地において、事業を行なうことは簡単ではありませんよね。そんな中でも第一線で今も営業を行なっているだけでもすごいことであり、尚且つ三越とのトップ争いをし続けているんですから本当に立派です。他にはないオリジナリティ溢れる百貨店として、松屋はこれからも日本の歴史と共に成長を続けていってくれることでしょう。これからも松屋の更なる発展に期待していきたいですね!