※本ページ内の情報は2023年10月時点のものです。

コロナ禍によりリモートワークが浸透する中、オフィスの在り方が変わっている。そこにいち早く対応している株式会社アーバンプランは、デザイン性と高い機能性を両立させたオフィス空間を、物件探しから、プランニング、デザイン、内装工事までトータルでコーディネートしている。

2011年の創業以来、増収増益傾向にあり、現在は東京本社に加え、横浜、名古屋、大阪に営業所を持つなど、事業を拡大。さらに、ベトナムに設計室を構え、世界的企業からのオーダーにも対応できる会社を目指している。

今回は代表取締役 佐々木央氏に、起業のきっかけや今後の展望を伺った。

オフィス設計の考え方が、アメリカと日本で真逆だった

ーー起業のきっかけを教えてください。

佐々木央:
建築系の専門学校を卒業後、アメリカに憧れていたことから渡米しました。最初は3ヶ月のつもりだったのですが、結果的に11年もいることになりました。

ニューヨークで下働きをしながら、高級家具製造業に携わる中で、アメリカと日本のオフィス設計の考え方の違いを感じました。

日本では、オフィスの広さや部屋数、人数を前提に、デスクと椅子を何個置くか決めるのが一般的です。ハードが先でコンセプトは後になります。一方でアメリカでは、コンセプトを先に決めてから、カスタムメイドも含めた必要なハードを決めていきます。

日本のオフィスの考え方の方が真面目で効率的ではありますが、新たな価値を創造するには不向きです。アメリカでは「課題解決のためのオフィス」という考え方が強く、カスタムメイドの創造的なオフィスが求められます。

この経験をしたことが、起業のきっかけになりました。
帰国後、日本でも「カスタムメイドの考え方」のオフィスが求められるようになってきました。そこで、2011年11月9日、43歳のときに、アメリカと日本のオフィスの要素を融合させて課題を解決できるオフィスを提案する、株式会社アーバンプランを7名の部下と起業しました。

ーーどのような思いで起業しましたか

佐々木央:
「すべてのはたらく人に、生きがいを」という弊社の企業理念は、私が会社員だったときの経験から生まれています。私は人の指示で動くことを苦痛に感じていましたが「自分で考えて動くように」いわれてからは、生きがい・やりがいを感じるようになりました。

オフィスづくりを通じて、「生きがいをお客様や自社の社員に届けられる会社をつくりたい」という思いで起業しました。

「オフィスでしかできない自由な働き方」をお客様にご提案

ーー起業後は、どのように成長してきましたか。

佐々木央:
弊社はおかげさまで、創業以来、増収増益を続け、今年で12年目となりました。「止まった瞬間に衰退する」という考えを伝え続け、社員全員に浸透させていることが、成長を続けている理由だと思います。

また、ITの発達やコロナ禍により、テレワークという概念が浸透しました。「どこでも働ける社会」が実現し、オフィスという概念も変化してきています。その中で弊社は「オフィスでしかできない自由な働き方」をお客様にご提案・ご提供しております。

ーーテレワークとオフィスワークの使い分けについて、どのように考えていますか。

佐々木央:
テレワークが浸透して、ビデオ会議やチャットでのやりとりなどが一般的になりました。しかし、ビデオ会議がオフィスの役割にとって変わるとは思いません。会社の理念を共有したり、隣の人の頑張りをみて刺激を受けたりなど、オフィスでしかできないことがあります。

テレワークで自由に働けるようにしつつも、オフィスでしかできないこと、オフィスで行った方がいいことを機能として果たすために、ともに働ける場が必要だと思います。

そのためには、画一的なオフィス形態ではなく、まず「オフィスにどんな機能を期待するか」から考えなければなりません。例えば、円滑なコミュニケーションを促進したいならば、部屋に机と椅子をならべる一般的な会議室よりも、芝生を敷き低いローテーブルを置いてフランクな話ができる空間をつくる方が良いかもしれません。そのような柔軟な発想が今後のオフィスづくりでは重要になります。

やりがいのある仕事を、働きがいのある環境で、生きがいのある人生を

ーー今後の展望を教えてください。

佐々木央:
昨今では、テレワークの推進からオフィス面積を縮小する企業も多くあります。そのため、オフィス関連産業は、斜陽産業に見えるかもしれません。

しかし、弊社は「やりがいのある仕事を、働きがいのある環境で、生きがいのある人生を」という想いを大事にしています。だからこそ、『すべてのはたらく人に生きがいを』という思いで働く場を作り続けています。

オフィスは単なる執務空間ではなく、イノベーションを起こすことで新たな価値を生み出す場です。弊社はその自由な働く場を提供できる、唯一無二の企業でありたいと考えております。

そして、お客様の期待を超えるご提案とサービスを提供できる企業であり続けたいと思っています。社員には「ひと手間かけてお客様にプラスアルファの提案をしてほしい」と常に言っております。

現在、おかげさまで受注は好調です。一方で、世界的な大企業様から「世界中にあるオフィスをトータルでプロデュースしてほしい」というオーダーに対しては、キャパシティの問題から対応できないのが現状です。

将来的にはそのような世界的企業のオーダーにも、対応できる会社にしていきたいと考えております。

お客様の気持ちを汲み取り、柔軟に発想できる人材なら、出身学部問わずチャンスがある

ーーどのような人材を求めていますか。

佐々木央:
弊社社員の出身学部はさまざまです。建築やデザインの勉強をしてきた社員だけでなく、まったく別の学部出身の社員も活躍しています。今、弊社でもっとも建築に詳しい社員は文系出身です。

お客様の働き方をつくるのが私たちの仕事です。専門知識や技術も重要ですが、お客様の気持ちを汲み取り、柔軟な発想をすることが重要になります。

相手に喜んでもらえるように、考えて動ける人、プラスアルファの提案ができる人は、成長が早くステップアップしています。そういった意味で、誰でもチャンスがある仕事です。

また、現在は東京本社のほか、横浜、愛知、大阪に営業所を構えています。お客様のニーズに寄り添ってきた結果、ここまで拡大することができました。お客様のニーズ増大に伴い、さらなる拡大も視野に入れています。

テレワークが普及して働き方が変革している今、我々の仕事も変革期を迎えています。私たちの事業に共感してくれる人、一緒に挑戦してくれる人に、ぜひお会いしたいと思っています。

編集後記

憧れをきっかけに渡ったアメリカで、起業のきっかけとなる経験をした佐々木央社長。アメリカと日本のオフィス機能の要素を融合させ、課題を解決できるオフィスを提案する、株式会社アーバンプランを起業。そして、株式会社アーバンプランは創業以来増収傾向にある。

「止まった瞬間に衰退する」「次にやるべきことを確実に行っていけば、自然と結果がついてくる」という考えのもと、着実に成長を続けてきた。今後は世界的企業からのオーダーも受けられる企業を目指していく。

佐々木央(ささき・ひさし)/1968年生まれ。東京都出身。建築系専門学校卒業後、渡米して高級家具製造業に携わる中で「部屋のサイズやテイストに合わせたカスタムメイド」の考え方を学び、これが後のビジネスアイデアにつながる。23 歳の時に日本企業向けのオフィス設計会社に入社し、後にロサンゼルス支店長に就任、11 年間のアメリカ滞在を経て帰国後、43 歳の時に株式会社アーバンプランを起業する。課題解決のためのオフィス設計のワンストップサービスを提供している。