※本ページ内の情報は2024年2月時点のものです。

電話での健康相談事業のパイオニアであるティーペック株式会社は、1989年の創立以降、民間の健康支援企業としてトップを走り続けてきた。

世の中のデジタル化や未曾有のコロナ禍といった時代の荒波を乗り越え、同社は今日も人々のこころとからだの健康を実現するため世の中を奔走している。

今回は代表の鼠家和彦氏に自身の経歴、そして会社の現在と未来について話をうかがった。

企業で経験したさまざまな役割

ーー金融会社から貴社へ入社された背景を教えてください。

鼠家和彦:
新卒で金融企業へ就職しましたが、バブル崩壊の影響で会社の業績が厳しくなり、転職活動を始めました。

当時は、お客様コンタクトセンターの責任者に就いてから3年ほど経った頃でした。人材会社より、ヘルスケア業界で同じくコンタクトセンター中心のサービスを提供している会社があると紹介を受け、14年前に弊社に入社しました。当初の役職はコンタクトセンターの品質管理責任者です。

その後、商品企画本部が社内に新設され、本部長職として立ち上げに携わりました。そして、営業本部長を経験して、現職に至ります。

コロナ禍の中、会社の未来を考えた

ーー社長に就任されるにあたって、何か苦労はありましたか。

鼠家和彦:
社長就任を打診されたのは、コロナ禍1年目のときでした。まだコロナがどのようなものか全くわからない状態の中、従業員の健康を守るため、会社が全社員の自宅待機を決行しました。

当時はテレワークの体制が整っておらず、社員は自宅待機中、各自ネットで情報を探したり、自分にできることは何かを考えたりしていました。

そのとき、私は営業本部の本部長職に就いており、部下である営業職の社員たちは力があり余っている状態だったため、これを機に会社の将来のことを考えようと本部内の主管部と話し合い新しくプロジェクトを立ち上げました。

そのプロジェクト立ち上げに伴い、現在抱えている課題解決に加え、会社の未来や、新しいサービスについて検討しました。

弊社が世の中から何を求められているかを考えた結果、前代未聞のパンデミックの中、不安を抱えるお客様に向けて、手探りでもいいからニュースを発信しようということになったのです。

みんなが何をすべきかわからないときに、迅速かつ具体的に話を進めることができる力を評価していただき、このタイミングで社長就任の話をいただきました。

トップダウンからボトムアップのアプローチへ

ーー貴社が大切にしていることについて教えてください。

鼠家和彦:
創業期はトップが会社全体を引っ張っていくという時代が長くありました。それも大事なことです。現在においては社員が自分自身で考える力を大切にしています。

トップダウンで決定したことは、うまくいった場合は良いのですが、うまくいかなかった場合には社員に納得感が生まれず、不満が出てきます。

そこで、営業予算もボトムアップでつくる形態に変えました。今では若手社員向けのワークショップを開いたり、社内環境に関する提案を募ったりしています。

ボトムアップ方式を採用することで、それぞれの社員がより主体的に考えるようになりました。仮に失敗しても、それが彼らの経験になります。問題がありそうであれば、こちらがうまくリードし、トップダウンとボトムアップを必要に応じてうまく組み合わせることが大切だと思っています。

ーー貴社の強みを教えてください。

鼠家和彦:
みなさんが毎年受けている健康診断と同じように、弊社ではこころの健康診断であるストレスチェックやこころのサポートサービスを提供しており、メンタルヘルスの分野で成果を上げています。

最近はこころのケアをする企業やサービスもかなり増えてきました。ただ、一人の人間の中でこころとからだは切り離せない関係にあり、こころが不健康であればからだに不調をきたしますし、からだの不調の原因が、実はこころに起因するということもあります。

ですので、こころとからだの両面からお客様をサポートしていくのが弊社のポリシーです。

弊社には現在、看護師約130人と心理カウンセラー約90人が在籍しています。

弊社の相談窓口では、初めにオペレーターがからだの相談かこころの相談かをお客様にうかがい、看護師か心理カウンセラーにつなぎます。初めは看護師とからだの不調について話していても、背景にこころの問題があるとわかれば、心理カウンセラーも加わって対応することができます。

意外にも、このようにこころとからだの両方をケアできるサービスは多くありません。

あとは、品質です。全国2,376名の医師が参加する独自のネットワークを所有しているため、弊社でケアにあたる職員は専門医の声を聞きながら勉強を続け、研修を受けているので、クオリティーが高いと自負しています。

弊社では、治療までできるわけではないので、必要があれば医療機関へつなぐことも一つの役割です。その際には、専門領域に特化した医療機関の情報を用いながら、医療機関と連携して予約をとることができますので、ワンステップでのサービス提案も弊社の強みです。

医療従事者の新しい働き方を提案する

ーー従業員側から見て、貴社で働くことのメリットは何かありますか?

鼠家和彦:
ワークライフバランスを保ちながら楽しく働ける環境です。

看護師の中には、40代になると肉体的に夜勤が厳しく感じる人も多いのです。また、子育てや介護など、ご家庭の事情で、病院に勤務するのは難しい方たちも、弊社であれば「働きやすい」と評価をしてくださっています。

他には、電話対応中に「ありがとう」といわれるのがとても嬉しいという声もあります。直接リアクションをもらえたり、使うことば1つでお客様の反応が変わったり、そういったコミュニケーションを取っていくことが勉強になるようです。

さらに、現在在籍している約130人の看護師は、半分が正社員で半分が契約社員です。契約社員の場合、昼間はクリニックで働き、夕方になると弊社に来て業務を開始する方もいらっしゃいます。

弊社では、通常の看護師がクリニックでは学ばない接遇の研修も多くあります。そういった新しいことを学ぶことで、昼間のクリニックでも「患者さんへの対応が変わった」と褒められることがあるようです。

一方で、正社員の看護師たちは弊社で働くことによって医療現場から離れてしまいますが、契約社員の看護師たちから医療機関の現状の話を聞くことによって、医療現場とつながることができます。それがいいバランスになっていると感じます。

編集後記

業界のリーディングカンパニーとして確固たる地位を築いているティーペック株式会社。

その実態は、難しいとされていた人のこころとからだ、両方のケアを実現し、品質の妥協を許さないなど、社会に対してとことん誠実な会社であった。

「一企業としてこれからどんどん活躍の幅を広げたい」と語る鼠家和彦氏の今後の活躍が楽しみだ。

鼠家和彦(ねずみや・かずひこ)/1967年生まれ。金融機関にて、営業責任者や人事部を経験した後、企画部門、マーケティング部のマネージャーを歴任。2010年にティーペック入社、全社のサービス品質管理部の責任者としてコンタクトセンターの運営全般に関わる。サービス業務本部副本部長、執行役員商品企画本部長、常務執行役員営業本部長を務めた後、2020年11月より現職。