累計利用者登録数18万人(※)が利用するITエンジニアと企業のマッチングサービス及び、エンジニア組織支援SaaSを提供する企業だ。
ファインディが提供している4つの事業、スカウト型リクルーティングサービス「Findy」、ハイスキルなフリーランスエンジニア紹介サービス「Findy Freelance」、グローバルエンジニア採用プラットフォーム「Findy Global」、エンジニア組織支援SaaS「Findy Team+(チームプラス)」は、登録エンジニアの数が合計約18万人となり、登録企業数は約1,900社を突破するなど多くのユーザーや企業に利用されている。
今回は代表取締役の山田裕一朗氏に、現在までのキャリアや起業に至るまでの経緯、今後の展望などについて話をうかがった。
(※)Findy転職、Findy Freelance、Findy Team+、Findy Globalの4サービスの累計での社数及び登録者数です。なお、1社又は1名の方が複数のサービスに登録している場合は、そのサービスの数に応じて複数のカウントをしています。
変化が激しい環境で多様な子どもたちを見てきた幼少期
ーー幼少期や学生時代はどのように過ごしていましたか?
山田裕一朗:
転校が多い学生時代だったので、新しい環境に溶け込む場面や新しい友達をつくる機会が多くありました。この経験は、経営者や人事と技術者をつなぐ弊社の事業を行う上で活かすことができていると感じています。
また、学校にはあらゆる環境の子どもがいて、環境によって自分の能力を発揮できるか大きく左右される様子を多く見てきました。弊社の事業を行う上で、「将来の子どもたちに何を残せるのか」という視点を大切にしていますが、それはこの学生時代の経験が1つのきっかけになっていると思っています。
初めて技術者との仕事を経験した三菱重工業時代
ーー大学卒業後に三菱重工業株式会社へ入社した理由を教えてください。
山田裕一朗:
大学時代にバックパッカーをした経験が大きいです。南米や東南アジアなど約30カ国を周りましたが、その中で途上国の発展や環境問題に関心を持ち、そこに対するソリューションを持つ会社へ就職したいと思うようになりました。結果的に三菱重工業と縁があり、入社しました。
ーー三菱重工業ではどのように働いていましたか?
山田裕一朗:
フォークリフトや戦車のような特殊車両を生産する部署に配属になり、設備投資の審査などを担当していました。上司や周りで働く人が皆技術者で、文系の私はここで初めて技術者の方と一緒に働くことができ、貴重な経験をしたタイミングでした。
友人の働き方から外資系戦略コンサル会社に興味を持つ
ーーその後、BCG(ボストンコンサルティンググループ)へ入社した経緯を教えてください。
山田裕一朗:
大学時代に日米学生会議で実行委員を担当していた友人が、外資系の企業や戦略コンサル会社で働いていたのですが、その友人が多忙ながらもフレキシブルに活き活きと働いている姿を見て、「同じような働き方をしてみたい」と思ったのがきっかけでした。そして、そのような会社を探す中でBCGとご縁がありました。
スタートアップでの経験から起業を決心
ーー株式会社レアジョブへ転職したのはどのようなお考えがありましたか?
山田裕一朗:
ある日、戦略コンサル会社を辞めて起業した社長のブログを見つけたのですが、その方が株式会社レアジョブの創業社長でした。そして、戦略コンサルという共通点があり、さらにブログの内容にも惹かれたので、直接会いに行きました。
当時、外国人材の活躍に興味を持っていた私は、海外に住む人材が英会話を通して価値提供できるサービスを展開するレアジョブの事業内容に興味を持ちました。また「スタートアップ企業に入社するならできるだけ早い方が良い」という社長のアドバイスも響き、転職を決めました。
ーースタートアップで働く中で楽しかったことや苦労したことを教えてください。
山田裕一朗:
成長スピードが早く、変化の幅が大きいことが楽しくもあり大変でした。約2年でユーザー数や売上が6倍まで成長するときもあれば、急にサービスを停止しなければならなくなったりと、とても目まぐるしく変化していきました。
また、スタートアップは前例がない中で業務を進める場面が多いので、経験のないことでもやり方を考えて成功させなければならないことにとても苦労しました。しかし、レアジョブで働いた約7年の中で、5〜6個の新規事業にも関わったので、貴重な経験を積むことができたと思っています。
スタートアップの会社で起業家に近いところで一緒に働くことができ、苦悩や喜びを感じる経験を何度もしました。そして、その中で会社を立ち上げることに面白さを感じ、「起業したい」と思うようになりました。レアジョブでは最後に人事を経験したのですが、そこでマーケティングの大切さや面白さを知り、「人材×マーケティング」のサービスをつくることを決心しました。
ーー貴社をどのように軌道に乗せていきましたか?
山田裕一朗:
新規事業をCTOの佐藤に任せたのが良かったと思います。新規事業のマーケット選定などは私が担当しますが、その後それを具体化させることやプロダクトの意思決定などは全て佐藤が担当し、お互いの得意分野で役割分担したところ、事業が順調に成長していきました。エンジニア組織支援SaaS「Findy Team+(チームプラス)」も、佐藤が立ち上げたサービスです。佐藤はとても明るい性格で、苦しい場面でも前向きに一緒に事業を進めてくれたので、共同創業ができて良かったと思っています。
さらなるプロダクトの発展を目指す
ーー今後、貴社をどのように成長させたいと思っていますか?
山田裕一朗:
弊社は「つくる人がもっと輝けば、世界はきっと豊かになる」を経営理念としており、「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる」というビジョンを掲げております。そして、人口減少が進む日本の今後10〜20年後を見据えたときに、グローバルに勝てるソフトウェアのエンジニアリングの力が不可欠になると思っています。そのような中で、弊社のサービスは現在、エンジニアの転職やフリーランスのマッチングをはじめ、エンジニア組織の開発や生産性向上を支援するSaaSサービスにまで領域を広げています。
今後もその領域を広げていくことはもちろん、エンジニアの方が不安なくチャレンジしたり、生産性高く仕事に集中できる環境づくりにつながるプロダクトに拡張していきたいと思っています。
そして有難いことに、スタートアップやベンチャーから大手まで多くの企業が弊社のサービスを利用しているので、利用しているお客様と一緒に弊社も成長していけるようなプロダクトづくりに意識して取り組んでいきたいです。
編集後記
大手企業から外資系、さらにスタートアップといった様々な企業で働く中で、「モノづくりをする人を応援したい」という思いを抱き、エンジニアの可能性を広げてきた山田社長。
そのサービスやプロダクトは多くのユーザーや企業に利用され、売上を伸ばし続けている。今後はIPOを目指しつつ、さらなる事業の拡大も視野に入れて挑戦を続けるファインディ株式会社の動向に、今後も注目だ。
山田裕一朗(やまだ・ゆういちろう)/同志社大学経済学部卒業後、三菱重工業、ボストンコンサルティンググループを経て2010年、創業期のレアジョブ入社。レアジョブでは執行役員として人事、マーケティング、ブラジル事業、三井物産との資本業務提携などを担当。2016年、ファインディ株式会社を創業。