「AIテクノロジーで世界を変えたい」とAIの未来について熱く語る、Aiロボティクス株式会社、代表取締役社⻑の⿓川誠⽒はAIとD2C(ダイレクト・トゥー・コンシューマー)の掛け合わせでヒット商品を生み出し注目を集めている。
⼤学在学中より自身でWEBサービスや化粧品ブランドの⽴上げなどを経験した後、2013年に新たに設立した会社をサービスローンチからわずか8ヶ月にして6億円という金額で売却した経歴を持つ、シリアルアントレプレナー(連続起業家)だ。同⽒が世の中に放つ仕掛けに迫った。
新しく生み出した、価値ある広告の仕組み
ーー現在の会社を創業したきっかけについて教えてください。
龍川誠:
数年前に女性向けWEBメディアの会社を創業し、短期間でグロース(成長)させたのですが、シナジー(相乗効果)を期待して上場企業にバイアウトしました。その当時つくっていた美容やファッションの記事を、動画に置き換えることで、もっと分かりやすく有益な情報にできるのではないかと考え、新たにAiロボティクス株式会社を立ち上げたのです。
立ち上げ当初は広告収益がメインのビジネスモデルでしたが、クライアントの本質的なメリットを追求する中で、広告価値を最⼤化しつつ可視化する⽅法を模索するようになりました。
そして行き着いたのが、AI技術を活用した成果保証型の広告です。費やした⾦額に対するパフォーマンスを明確に可視化する仕組みをつくったことで、受注が増え事業が伸長しました。
また、弊社の開発技術を活かして、広告運用やクリエイティブ制作を自社システムにより自動化。「人がやるのではなく賢い機械(AI)がやる」ということを当時いち早くスタートさせ、マーケティング精度をさらに向上させたことが、事業成長の転換点となりました。
現在は、商品企画からマーケティング、カスタマーサクセス・CRM(顧客情報管理)・在庫管理・物流まで包括的に、データ分析・最適化・効率化といった、人がやると膨大な工数がかかる作業を自動化する仕組みをシステムに組み込み、自社D2Cブランドのグロースに注力しています。
やればやるほどにデータが蓄積され学習が進むので、さらにAIの精度が磨かれ、事業やヒットの再現性向上につながります。
AI技術を利用して新しい自由を手に入れたい
ーー今後の戦略についてぜひお聞かせください。
龍川誠:
2024年2月に新しく、美容家電とプロテインの2つのブランドをリリースしました。
自社ブランドは今後も大切に育てていきますが、弊社の基幹はD2Cではなく、あくまで独自のAIマーケティング技術にあります。⾃社ブランドのビジネスは、AIの精度と運用パフォーマンスの検証も目的としているのです。
私が⽬指しているのは「新しい⾃由の形」です。⾃由とは選択肢だと思っていて、たとえば何かしたいと思ったとき、経済的・時間的な自由があれば、数多(あまた)の選択肢の中から、ほしいものを選びとることができます。
長時間仕事をすることでお金は得られますが、趣味や大切な人と過ごすかけがえのない時間を、お金で買うことはできません。
ですから、もっとさまざまな企業に私たちのサービスを提供していきたいと思っています。AIを使って生産力を高めて収入を増やし、逆に働く時間は減らして、⼣⽅には自宅で家族と触れ合えるような、より良い世の中にしたいのです。そういった新しい⾃由を確⽴することが、短期的な1つの⽬標です。
最終的なビジョンは宇宙
ーー長期的な目標は何かありますか?
龍川誠:
⻑期的な⽬標として、宇宙開発に非常に興味があります。私たちが住んでいるこの地球には寿命がありますし、数多くのリスクもあります。地球温暖化、隕石衝突、核戦争、太陽の温度上昇など、万が一のときに別の惑星に移住できることは、「生存する」上で究極的に重要な選択肢だと考えます。
宇宙開発とAIは⼤きくリンクしており、AI技術によって宇宙開発は大きく進むはずです。人工知能がさらに発展すれば、過酷な環境の火星へAI搭載のロボットを送り込むことができ、宇宙開発のスピードは急加速するでしょう。実はこういった夢もあり、社名を「Aiロボティクス」に変更しました。
ーー求める人材像を教えてください。
龍川誠:
誠実で好奇心旺盛な⼈ですね。「一緒に世界を変えたい」「経営者になりたい」「いずれは起業したい」など、野⼼のある仲間と共に夢を実現していきたいと思っています。安定よりも向上を求め、自己成長意欲が高く、柔軟性のある⽅と一緒に仕事がしたいですね。
弊社は「できなかったことができるようになる」が当たり前の社風なので、優秀な人にとっては、とてもエキサイティングで面白い環境だと思います。
たとえ今まで経験してこなかった課題にぶつかっても、仲間と解決し、共に成長し、結果的にもっと優秀になるというポジティブなスパイラルが、弊社にはあると思いますよ。
編集後記
「自由とは選択肢。新しい自由を世の中に提供したい」。新しい価値の提供も、記録的ヒットを放つ商品も、自身が掲げるビジョンへの通過点にすぎないと話す龍川氏。
AI×D2Cの挑戦は、その壮大なビジョンへの着実な足掛かりをつくっている。同氏の今後のさらなる活躍に注目だ。
龍川誠(たつかわ・まこと)/大学時代にデータマイニングを研究。在学中よりWEBサービスや通販化粧品ブランドの立上げなどを経験した後、2013年に女性メディアを運営するロケットベンチャー株式会社(現4MEEE株式会社)を設立。サービス開始から8ヶ月で上場企業に会社をバイアウトし、メディア事業に参画。2016年4月にAiロボティクス株式会社を創業。