※本ページ内の情報は2024年4月時点のものです。

少子高齢化による労働人口減少が懸念される中、企業のDXが推進されている。しかし、不動産業界はとくにアナログな手法が根付いており、DXへの取り組みが遅れている状況である。

そんな中、不動産業界向けの業務支援サービスを提供しているのがリビン・テクノロジーズ株式会社だ。独創的な企画・高度なテクノロジー・先進のマーケティングを融合して不動産業界に特化したWebサービスをクラウドなどで提供している。

2006年から始めたWebサービスであり、約17年の運営実績を誇る。成功報酬型を採用しているのも特徴の一つであり、住宅リユースマッチングの分野においては日本最大級まで成長している。

2019年には、東証グロース市場に上場を果たした同社の代表取締役社長である川合大無氏に話をうかがった。

起業を志した就職活動から会社員時代

ーー起業を決めたきっかけはいつだったのでしょうか。

川合大無:
起業すると決めたのは、大学での就職活動中でした。あらゆる業界の就職説明会に出向きましたが、どの会社でも働くイメージが湧きませんでした。

人生の中で、仕事に費やす時間はとても長いと思います。私の人生では、世の中にインパクトを与えられる仕事をしたいと思ったので、起業して社長になろうと決断したのです。

就職活動では、起業するまでの知識を得られる商社を選んで採用試験を受けていました。とくに商社だと、実践的な業務とビジネスが学べると思ったからです。

ーー新卒で就職してから起業されるまで、どのような道のりでしたか。

川合大無:
就職後は、5年間で3社経験してから起業しようと決めていました。

まず新卒で入社した会社では、営業事務を担当しましたが、正直楽しいとは思えませんでした。しかし、社長になるために何でもできるようになろうと思っていたので、必死で業務に取り組んだ結果、人に指導できるほどに事務が得意となりました。

2年勤めて、アフィリエイト広告会社に営業として転職しました。見ず知らずの営業マンがかけてきた電話でアポイントが取れ、注文まで取れることが衝撃的でした。最終的には営業トップの成績を獲得しています。起業するには人脈が必要だと思っていたのですが、人脈が無くても物は売れるのだと思いました。このとき、起業しても成功できると確信が持てました。

2年後、最後は株式会社サイバーエージェントへ転職しました。こちらではネット広告の営業を任されていたのですが、一緒に働く同僚たちのポテンシャルの高さに驚かされ、素晴らしい人材が集まっていると感じました。また、Webマーケティング全般を学べたのも、起業に向けての大きな経験に繋がりました。

ついに昔の同僚と3人で起業へ

ーーサイバーエージェントを経て、満を持して起業されたのでしょうか。

川合大無:
サイバーエージェントで働いていたとき、1社目の同僚から「一緒に起業しよう」と声をかけられたのがきっかけです。もともと、誰かと協力して起業したかったので、色んな人に声をかけていたのです。

ーー2004年に設立されましたが、当初はさまざまな事業に挑戦されたのでしょうか。

川合大無:
設立当初に始めた事業は商品にもならないほどでしたので、日銭を稼げるように、実務経験を活かしてネット広告事業を始めました。設立して3〜4年で売上が8億まで伸ばせることができました。

しかし、ネット広告の営業会社として売上を伸ばしてきたのですが、このままでは競合他社に勝てないと思い、自社メディアを持つ方向に進みました。

そして、2006年から新たに4つの新規事業を立ち上げました。不動産査定サイト・お墓比較サイト・アパレルオンラインショッピング・ホームページ制作事業です。最終的に売上が伸びたのが、不動産査定サイトだったというわけです。

ーー不動産査定サイトは、どのように集客して売上を伸ばしていったのでしょうか。

川合大無:
基本的には、不動産会社さんというクライアントを獲得していき、集客方法は、オーガニック集客(検索結果からの自然流入を利用した集客方法)を利用していました。

また、不動産会社にとっては、成功報酬型サービスを提供しているのも、選ばれやすい理由の一つだと自負しています。

川合社長が見据える今後のビジョン

ーー2019年に東証グロース市場に上場されましたが、意識の変化はありましたか。

川合大無:
「競合に勝ちたい」から「上場企業の中でどこまでいけるのか」に意識が変わりました。まずは社員数1,000名の会社になることを目指しています。

ーー今後、伸ばしていきたい事業について教えてください。

川合大無:
外壁塗装の比較サイト「ぬりマッチ」です。現場での手応えと、高い需要を実感しています。業務支援サービスは今後も需要が見込まれる事業であると確信しています。

また、年間で少なくとも1つの新規事業を立ち上げており、そのほとんどを私自身が発案・企画しています。

ーー人材育成に関してはいかがでしょうか。

川合大無:
現在、実施している人材育成プロジェクトがあります。社内の20〜30代の若手かつ優秀な人材を対象に、外部講師から経営戦略が学べたり実践業務ができたりするプロジェクトです。弊社は、未来の経営幹部になるような、バイタリティのある若い方を求めています。

編集後記

就職活動中に起業を決断し、5年で3社を経験した後、会社を設立した川合社長。「世の中にインパクトを与えたい」という宣言通りに、独創的な新規事業を立ち上げ続けている。

巨大なマーケット市場である不動産業界に、今後どのようなインパクトのあるサービスをつくり出し、DXを推進していくのだろうか。フランクに話す中でも熱量を感じる川合社長から目が離せない。

川合大無(かわい・だいむ)/1975年生まれ。千葉県出身。東京農業大学卒業後、ニチモウ株式会社に入社。バリューコマース株式会社、株式会社サイバーエージェントを経て、2004年に株式会社シースタイルを設立し代表取締役社長に就任。2006年から不動産売却一括査定でバーティカルメディアを始める。2018年にリビン・テクノロジーズ株式会社へと社名変更。2019年に東証マザーズ(現グロース市場)上場。剣道3段。