※本ページ内の情報は2024年4月時点のものです。

精密製品やソフトウェアの設計から生産まで、幅広いフィールドに携わるリングアンドリンク株式会社。クライアントの要望に合わせて、設計から生産まで一貫して請け負うこともあれば、機械の加工やシステム開発など、工程の一部のみを手がけることにも対応している。

今回は、代表取締役社長を務めている金丸信一氏に、会社発展の歴史と今後の展望について詳しく話をうかがった。

順調に発展していた会社がバブル崩壊に直面

ーーまずは、金丸社長の入社の背景を教えてください。

金丸信一:
私の父親は一人で金型メーカーを経営し、設計までのすべての業務をこなしていました。設計も鉛筆を使って描いていた時代です。私が入社してからは、部品加工も行うことになり、専用機械を1台買いました。

ーー経営は順調でしたか?

金丸信一:
最初は、父と私の2人の会社だったので、仲間内で仕事をするという感覚でした。徐々に会社の規模も大きくなり、人材を募集して6人ぐらいまで増やしました。売り上げも当初600万円だったのが10倍ぐらいまで増えました。そのタイミングで隣に工場を建てることにしたのですが、工場を建てている途中でバブルが崩壊して、景気が一気に悪くなったのです。

バブル崩壊後は、設計と金型製造をメインに事業を進めようと思いました。ただ、これまでの業務だけでは、会社経営を成功させることは難しかったですね。

ソフトウェア事業を始めたきっかけ

ーーソフトウェア事業を始めたきっかけについて教えてください。

金丸信一:
この事業を始めたのは、偶然の出来事がきっかけでした。弊社はすべて社内で対応できるような体制をとっていました。すると、取引をしている業者の方に「この会社は何でもできるんだな」と思われたようで、その企業の営業担当者から、「人材紹介の候補者管理システムは作れませんか」と打診されたのです。

ーー人材紹介の候補者管理とはどのような内容だったのですか?

金丸信一:
それまでの一般的な人材紹介会社は、会社のファイルで人を管理していました。お客様が希望する人材を聞いて、会社のファイルから適した人材を選んでいたわけです。

弊社は、データベースの技術とインターネットの言語の両方で対応できたので、この流れを完全にシステム化することが可能でした。

しかし、企画ができて見積もり金額を出しているときにその営業の方が異動になってしまい、話が立ち消えになってしまいました。

ーーどのように不動産ソフトウェア事業に行きついたのでしょうか?

金丸信一:
その後、建築会社の方に、インターネットで物件の管理をできないかとお話をいただきました。物件のデータベースとホームページがあったので、先程の人材紹介のシステムを活用できるのではないかと考えました。そして「@dream」というデータベースをつくり上げ、主に不動産会社の基幹システムとして生み出したことでソフトウェア事業に行きついたのです。

生産技術の会社として、トップランナーを目指す

ーー会社を発展させるうえで大切にしていることはありますか?

金丸信一:
私は「会社が成長すること」「働いている人のスキルが上がること」「会社が従業員を正しく評価すること」という、3つのことを大切にしています。

ーー今後の展望についてお聞かせください。

金丸信一:
会社の規模をさらに大きくして、日本の生産技術の会社としてトップランナーになろうと思っています。日本の生産技術を支える存在を目指しているので、現在弊社では海外の仕事は控えています。

日本は生産技術が非常に強い国なので、その中でリーディングカンパニーになりたいですね。経営効率的に量産のほうが良いのかもしれませんが、常に最先端の生産技術に触れていたほうが技術力は上がるし、従業員一人ひとりが強くなれます。

会社の発展という意味では利益が少し減り、発展も遅くなるかもしれません。しかし、長い目で社員のスキルが上がるという観点から見ると、そのほうが利益が出ると思います。

「志」が日本のビジネスを変える

ーー求職している方に対してアピールポイントはありますか。

金丸信一:
弊社は社会や日本のために役立つ仕事をしています。私も志を持って仕事をしており、日本のビジネスを生産技術の観点から良くしたいと思っています。

ーー貴社に入社する方の共通点はありますか?

金丸信一:
挨拶をきちんとする、優しい社員がそろっています。取引先からも同じことをいわれますね。

編集後記

リングアンドリンクを日本の生産技術を支える会社にしたいという金丸社長。バブル期の急成長と崩壊を経て、ピンチから数々のチャンスを生み出してきた。

会社が成長することはもちろん、従業員のスキルアップと成長、従業員を正しく評価することなどを大切にしているため、海外からの受注は断っていると語った姿が印象的だった。

志で日本のビジネスを変えると熱く語る。そんな社長が率いるリングアンドリンク株式会社の、今後のさらなる活躍を期待したい。

金丸信一/1962年東京都生まれ。高千穂大学中退後、1982年金丸精機製作所(現:リングアンドリンク株式会社)に入社。1985年専務取締役、2007年代表取締役社長に就任。本業の傍ら、講演や執筆、各社顧問および幹部教育などでも活動の幅を広げている。