※本ページ内の情報は2024年4月時点のものです。

現在、多様な働き方が受け入れられるようになり、クリエイターとして生計を立てている人も増加傾向である。そのような社会背景の中、先進的にクリエイター専門の人材紹介サービスに取り組み続ける会社のひとつが株式会社フェローズだ。

日本のクリエイティブ産業を支えるべく全国に拠点を設け、企業と人をつなげて両者を成長に導く同社、野儀社長の思いを聞いた。

突き動かされた理由は!大手企業からベンチャーへ転身

ーーこれまでの経歴を教えていただけますか?

野儀健太郎:
当時、従業員が7000人規模だった株式会社リクルートに新卒入社し、社会人3年目で、7人規模のベンチャー企業の株式会社クリーク・アンド・リバー社に転職しました。この経験は、自分自身のキャリアにおいて勝負のときだったと感じていますね。

クリーク・アンド・リバー社では、フリーのクリエイターを映像系のクライアントに紹介するといった新しいビジネスモデルを展開し、クリエイターに特化した人材サービスを提供する仕事に取り組んでいました。

従来のビジネスモデルから変化し、かつては不可能といわれていた「人材会社を通したクリエイター紹介ビジネス」を成立させることができたと思っています。

今もビジネスを拡大することよりも、クリエイターとクリエイティブ産業を尊重し支援することを意識しています。

ーーファーストキャリア(新卒)でリクルートを選んだ理由は何ですか?

野儀健太郎:
就職活動を通して、当時のリクルートが打ち出していた「常に新しいものを生み出していこう!」という思想に影響を受けました。クリエイティブや、人々に何か影響を与えられるようなエンタテインメントコンテンツや、マスコミという仕事に就きたかったのです。

ーークリエイティブ業界に興味を持ったきっかけはどういったものでしたか?

野儀健太郎:
黒澤明監督の映画に影響を受けたことと、叔母が役者のメイクの仕事をしていた関係で、人気ドラマの撮影現場を見学してものづくりに魅了されたことがきっかけです。仕事に就くなら、メディアや映像によって人々に何かを伝えたり、影響を与えたりするクリエイティブなコンテンツに関わりたいと考えていました。

世界を舞台にするマネジメントサービス

ーー会社の特徴についてお聞かせください。

野儀健太郎:
フェローズはクリエイティブな職種に特化した人材サービスで、具体的には派遣業と紹介業を組み合わせたマネジメントサービスを提供しています。21年の歴史を持つベンチャー企業です。

初期は5人で立ち上げ、現在は約150人の社員がいます。本社は東京恵比寿にあり、2009年4月に大阪支社設立を皮切りに、現在では札幌から沖縄まで全国に14の拠点を展開するほか、シンガポールやハワイなど海外にも子会社があります。

ーー組織運営における課題はありますか?

野儀健太郎:
組織運営では、組織の成長に伴うミドルマネジメントの育成とリーダーシップの強化が重要なポイントです。とくに組織内のリーダーシップについては、僕からのメッセージをどれだけ強度を落とさずに伝えられるかが大切だと感じていますね。

切り拓く未来、企業とクリエイターとの架け橋

ーー今後の展望としてどのようなことを想定していますか。

野儀健太郎:
最近はAIや「Google Analytics(アナリティクス)」などのアクセス解析やサイト分析に関するセミナーや企業研修に力を入れています。

今後は、企業様ごとにカスタマイズした教育とトレーニングにもさらに注力する予定で、クリエイターの採用と併せてスキルアップも提案すれば、将来的には「仕事の紹介」と「教育」の両方を提供するビジネスモデルも構築できると想定しています。

社会貢献活動としては、2017年から「学生のための短編映画祭 フェローズフィルムフェスティバル(FFF-S)」と、2022年から「FELLOWS仲間・子どもミュージカル」というイベントを主催しています。活動を通して、若いクリエイターを育成し、将来のエンタメ業界の拡大にも尽力したいと思います。

ーー貴社の目指す人材育成はどのようなものでしょうか?

野儀健太郎:
フェローズの一番の特徴は、一人のエージェントが、クリエイターと企業の双方に直接コンタクトをする“ダブルサイド・エージェント(DSA)システム”を導入している点です。両サイドに最適な「出会い」をスピーディに行い、契約後もきめ細やかなフォローが可能になっています。

「エージェントの存在そのもの」が「フェローズのサービス」であり、その源となるのは、クリエイターや企業に「熱く向きあう」熱意であり、「相手を想う心」です。

「Creator’s Life with FELLOWS!」のスローガンの通り、クリエイターとしての長い一生を、フェローズが一貫してサポートし寄り添っていけるよう、「“人”としての魅力にあふれるエージェントであれ」、と全社に言い続けています。

編集後記

就職活動時からクリエイティブ業界に興味を持っていた野儀社長。クリエイター特化の人材紹介サービスに加えて、今後は将来的な活躍を支える教育分野にも注力していくと語っている。熱きクリエイターと企業をつなぐ架け橋となる株式会社フェローズに今後も注目だ。

野儀健太郎/1968年東京生まれ。明治大学卒業後の1991年、株式会社リクルートに入社。約3年間の在籍期間中は求人広告営業を担当。その後、株式会社クリーク・アンド・リバー社に創業メンバーとして参画し、執行役員など幹部職を10年間にわたって務める。2003年に独立して、クリエイター向けのマネジメントサービスを行う株式会社フェローズを設立し、代表取締役に就任。現在、国内のほか海外の子会社を含め16拠点で事業を展開。学生のための映画祭や、子どもミュージカルを手掛け、映画制作にも携わる。