※本ページ内の情報は2024年4月時点のものです。

水道関連事業からスタートした株式会社オアシスライフスタイルグループ。わずか数年で全国規模に成長し、現在は飲食業とアパレル事業との2本柱で事業を展開する。

同社は、さまざまな企業とコラボし、メディアにも取り上げられている。2021年3月に書籍『なぜ、倒産寸前の水道屋がタピオカブームを仕掛け、アパレルでも売れたのか?』を発行し、ヒットメーカーと呼ばれる関谷有三氏に、オアシスライフスタイルグループの事業内容やビジョンについてうかがった。

多才な起業家のビジネス旅路

ーー関谷社長の経歴について教えてください。

関谷有三:
大学を卒業し、水道の事業を行う父親の会社を手伝うため、栃木へUターンしました。5年間勤めた後に父の会社内でオゾンによって給水管をクリーニングする新規事業を立ち上げ、その事業をスピンアウトする形で、28歳のときに起業しました。当時、給水管のクリーニング事業は5年で全国展開し、シンガポールと台湾でも展開していました。

ーー台湾のカフェブランド「春水堂(チュンスイタン)」の立ち上げについて教えてください。

関谷有三:
台湾で水道事業を行っている最中に、「春水堂(チュンスイタン)」というカフェブランドに出合いました。3年かけて現地のオーナーを説得し、2013年に日本でも事業を開始しました。飲食業を行うかたわら、アパレル事業「WWS/ダブリューダブリューエス」も立ち上げました。WWSは、独自開発素材「ultimex/アルティメックス」を用い、高機能(ストレッチ性、速乾・撥水、洗濯可、イージーケア)とフォーマル性を兼ね備えるスーツに見える作業着です。

異業種でも成功する秘訣

ーー会社の理念について教えてください。

関谷有三:
「止めることができない、あふれる衝動を形にする」ということを事業の根幹にしています。「事業を運営して儲かるかどうか」「本業と関連しているか」ということは、全く無視しています。

自分で止めることができない衝動をそのまま、素直に行動に移そうと思っています。やったことがないことであっても、信じるままに突き進もうというのが僕の考えですし、それが会社としての理念です。

ーー普通の会社が持つ理念とは大きく違うのでしょうか。

関谷有三:
新規事業を立ち上げる場合、損益分岐点や本業とのシナジーについて検討するでしょう。利益が出なければ手をつけるべきでないというのは、正論ではあると思います。そのような考えとは正反対の、利益を無視した論理で続けているのが弊社のカルチャーです。

ーー信じるままに突き進むという考えは、昔から持っていたのでしょうか。

関谷有三:
人生も社会人としての経験も一度だけです。思うがままに、楽しく取り組めることはないかと、父の仕事を見て子どもながらに思っていました。

つらいことでも楽しくてやりたいと思えることであれば、我慢できるでしょう。逆に儲かりそうな事業であっても、つらいことばかりだと、長く続けられないと思います。

黒に絞ったブランド「Macqlo」

ーーWWSの他に、3月から新ブランド「Macqlo(マックロ)」をローンチされましたが、「Macqlo」について詳しく教えてください。

関谷有三:
WWS(WORK WEAR SUIT)というブランドを通じて、働く方々が持つ洋服に関する悩みについて、ある程度改善ができたと自負しています。プライベートで着る服に関して、悩みを持つ男性は特に多いものです。

特に40代になると、服を買うのが面倒に感じると思います。買うことは面倒でも、こだわりを持つ男性も多くいます。このような悩みに応えたいと思っていましたし、自分自身も経験者の一人として同様のことを感じていました。「Macqlo」は、このような問題を解決するために、切り込んだ新しいブランドです。

ーー黒に特化したブランドですが、どうして黒にしたのでしょうか?

関谷有三:
年齢を重ねると服選びが面倒になり、結局、黒い服を購入する方が多いと思います。アンケートを取ってみると、85%の方が黒ばかり買うという結果が出ました。

黒色で機能性があり、シンプルなデザインのアイテムばかりを集めたブランドであれば、買う時間が短縮できる。しかも毎シーズン、服を買う必要がなく、それなりにかっこよく見えます。コスパやタイパという点を考慮したブランドです。色々なカラーやラインを毎年作り出すというのがアパレルのやり方ですが、僕らは正反対の発想でチャレンジしています。

業界に革命を起こすビジョン!新時代のアパレル企業

ーー今後の事業戦略やビジョンについて、お聞かせください。

関谷有三:
市場開拓を続けていきたいと思っており、特に、黒に特化したファッションに関してはチャレンジを続けます。アパレルの常識を覆す形で、ファッションに関する悩みを解決したいですね。

ゆくゆくは日本だけではなく、海外展開も視野に入れて、問題解決に取り組みたいと思っています。僕らはお取引先様やお客様を開拓する際、いかにファンを作れるかを重視しています。

僕らの情熱やサービスプロダクトを通じて、「あの会社と一緒に何かをしてみたい」「商品を愛用したい」というファンを増やすことが重要です。商品の良さを世の中の方に知っていただくために、PR活動やマーケティング活動にも注力したいと思っています。

ーー貴社では給与規定を設けておらず、給与については社員と話し合いで決めるとお聞きしました。この点について、関谷社長の考えをお聞かせください。

関谷有三:
どんなに良い商品でも、商品のストーリーなどを知ってもらわないと、なかなか売れません。それと同じで、給料を決定する私に対して、社員の頑張りや努力を伝えてもらう必要があります。

自分自身のプレゼンテーションができなければ、適切に評価してもらうことは難しいものです。社長に直談判し、プロジェクトの責任や給料に関して交渉できるかどうかが重要なポイントです。1年目から社長と給料交渉するような社員が、弊社には多くいるのです。

編集後記

カフェやアパレルなど、さまざまな分野で活躍している同社。信念を持ち、信じる道に向かって突き進む強さを持つ関谷社長は、仕事の楽しさを大事にしていると語ってくれた。トレンドや利益重視ではなく、消費者の悩みや希望に寄り添いつつ、商品開発を行っている。同社の更なる発展に期待したい。

関谷有三/1977年栃木県宇都宮市で生まれる。成城大学経済学部を卒業後、実家の水道工事会社に入社。28歳で給水管をクリーニングする新規事業を立ち上げる。2006年に株式会社オアシスソリューションを起業し、業界シェアNO.1を誇る企業へと成長させる。台湾で出合った人気カフェ「春水堂(チュンスイタン)」に惚れこみ、3年間の交渉の末、2013年には代官山に日本1号店をオープン(※2024年4月時点、国内に15店舗を展開中)。2017年に株式会社オアシスライフスタイルグループを設立し、代表取締役に就任。アパレル事業を立ち上げ、スーツに見える作業着を開発。社内の職人に向けて開発した「スーツに見える作業着/WWS(ダブリューダブリューエス)」が大手ECサイトで月間総合一位を獲得し、導入企業は1,900社、累計販売数25万着を突破(※2023年12月時点)。