※本ページ内の情報は2024年5月時点のものです。

M&Aやフランチャイズ事業が多くの場面で注目されている。これらは大企業が行うイメージも強いが、個人事業主から出発してさまざまな分野で多くの事業や店舗経営を拡大する例もある。今回は、そのような成功を遂げた株式会社グロウイングの代表取締役社長である栗山茂也氏に、起業から店舗拡大への道のりや経営理念などについてうかがった。

サラリーマン、音楽業界、モデル業を経て社長業へ

ーー幼少の頃から社長になりたいと思っていましたか?

栗山茂也:
私の父は普通の会社員で、「社長になりたい」という願望は特にありませんでした。車に興味があったので、高校卒業後に自動車のディーラーに就職しましたが、当時私は音楽業やモデル業も兼業していたので、もっと時間が欲しくなり、「自分で事業を起こせば全部自由になる」と考えて、22歳の時に独立しました。

ーー経営を意識し始めたタイミングや創業期の状況などについて教えてください。

栗山茂也:
独立後、「音楽業やモデル業は30歳でやめる」と決めていたので、個人事業主として約8年間過ごした後、有限会社グロウイングを設立しました。

しかし独立までの経験が浅く、経営の基礎がほとんど身についていない上に、同級生は組織の中で出世していたので、非常に焦ったのを覚えています。

ーーそこからどのようにして会社を軌道に乗せていったのですか?

栗山茂也:
新しいことを始める際に、とにかく知り合いに「君、仕事は何をやっているの?」「どういうものが今流行っているの?」など、手当たり次第に質問していました。その答えをもとに、新たなことに着手していたところ、ビジネスも順調に進行するようになったのです。今でも、事業の対象となるさまざまなことに対して常にアンテナを張っています。

ーーさまざまな事業を展開していますが、どのような考えで事業を増やしていきましたか?

栗山茂也:
いつも身近なところから事業を始めています。たとえば、沖縄旅行に行って「レンタカーの料金が高いな」と思ったら、自分でその事業を始めるという発想です。弊社のメイン事業は自動車の販売とレンタカーですが、飲食店やフィットネスジムも、そのようにして開業しました。新しいことを考えることが好きで、そのぶん趣味を始めてもすぐに飽きるのですが、仕事に結びつけると飽きません。

「人こそが財産である」という気付き

ーー経営方針を変更したきっかけや詳細についてお聞かせください。

栗山茂也:
事業を拡大するにつれて、お金で買えるものに魅力を感じなくなりました。高級車や高級腕時計も、手に入れられる程度の余裕ができると、気持ちが冷めてしまいます。

そして、簡単に手に入らないもの、思い通りにならないものに惹かれるようになりました。それが人材、人間です。

昔は「人を雇わずに一人で働きたい」と思っていましたが、今は従業員のことを我が子のようにかわいく思っています。お店づくりを共に考えてくれるスタッフの熱心な言動や表情を見ることが楽しいですね。

ーー社員採用の方針に関して、大切にしている考えはありますか?

栗山茂也:
若くて素直な人材を積極的に採用しています。私自身も日々素直であることを心がけており、まず他人の意見を聞き、自分の経験とミックスさせて良いものをつくっていく柔軟性を大切にしています。年齢を重ねると頭が固くなり融通が利かなくなるので、今の若者をリスペクトして私自身が勉強させてもらっています。

社内での取り組みと今後の事業戦略

ーー今後、事業を進めていく際の方針はありますか?

栗山茂也:
「楽しいことをしっかりと本気でする」ということです。現在は、フランチャイズとしてスイーツ事業、アイスクリーム店舗を扱っています。「夜風にアイス」という沖縄の店舗です。今後もフランチャイズ事業をさらに展開したいですね。

また、沖縄のマリンレジャー事業の会社や別の飲食事業の会社をM&Aで買う予定もあります。M&Aは経営のノウハウを買うことができるので、M&Aを経営の柱の一つにしたいとも考えています。余談ですが、今年の夏ごろには私が執筆したM&A関連の書籍も出版される予定です。

ーー営業強化に関する社内での取り組みについてお聞かせください。

栗山茂也:
スタッフ全員の意思の疎通を向上させることです。特にM&Aでは前の会社の社風が残るので、全体としてはまとまりにくい傾向があります。具体的な方策は「対話」です。膝を突き合わせて話し、時間をかけて互いの理解を深めることが絶対に必要です。私が自らスタッフと接する機会も設けています。M&A後は利益を出して、株主や投資家に還元しなければなりません。それは私が買った会社の思いを継承することでもあります。

編集後記

「楽しく仕事をすること」がモットーの社長は、社員と密にコミュニケーションをとり、経営に真摯に向き合う努力家だ。すべての会社は私のコレクションで、増えるごとに「コレクター欲が満たされる」という表現が非常にユニークで、印象に残った。今後も貪欲なマニアマインドで事業を増やして大いに活躍してほしい。

栗山茂也/1975年、和歌山県生まれ。22歳で独立し、個人事業主としての約8年間を経て、有限会社グロウイングを設立。子会社化やM&Aを積極的に行い、2005年に株式会社グロウイングへと組織変更。