※本ページ内の情報は2025年1月時点のものです。

「ワクワク」を追求し、住まいの可能性を広げる。株式会社WAKUWAKUは、中古住宅とリノベーションを組み合わせた、新しい住まいの在りかたを提案する企業だ。ユーザーの個性を活かした住空間を実現するとともに環境にも配慮しつつ、コストを抑えた魅力的な選択肢を提供している。今回は、そのビジネスモデルと成長戦略について、同社代表取締役CEOの鎌田友和氏に話をうかがった。

新築偏重の業界に一石を投じ、多様なニーズに応える

ーーWAKUWAKUを創業された経緯を教えてください。

鎌田友和:
生まれ育った環境や価値観によって、求める住まいは人それぞれ異なります。しかし、新築マンションや建売住宅の場合、部屋の間取りやデザイン・仕様が決まっていて、ユーザーの選べる余地がなく、住宅に暮らしを合わせなければなりません。

そこで、もっとユーザーニーズを重視したサービス設計ができれば、自分らしい暮らし方が当たり前にできるのではないかと考え、2013年に弊社を創業しました。弊社は、私と元コンサルタントであり、現取締役の渡邊との2人でスタートしました。彼は全国の工務店や不動産会社の支援経験があり、業界の課題を深く理解していました。事業を通じて業界を変革したいという思いが一致し、一緒に起業することになりました。

ーー不動産業界での経験から、どのような課題を感じられましたか?

鎌田友和:
従来の新築住宅市場では、ユーザーがカスタマイズできるのは注文住宅に限られていました。しかし、注文住宅はコストがかかるため、それなりの所得や予算がないと、自分らしい暮らし方を手に入れることが難しいのです。

そこで着目したのが、中古住宅とリノベーションです。既存の住宅をリノベーションすることで、トータルコストを抑えられる上に、産業廃棄分やCO2削減など地球環境にも優しいビジネスになる。ユーザーにとっても、事業者にとっても、そして地球にとってもWin-Win-Winの三方良しの関係を築けるのではないかと考えたのです。

中古×リノベでユーザーの選択肢を広げる

ーー貴社のサービスについて具体的に教えてください。

鎌田友和:
「リノベ不動産」は、資金の相談から物件探し、設計、施工まで全てワンストップで提供するサービスです。一般的には、住宅ローンの相談、物件探し、リノベーションの設計・施工と、複数の業者と調整しなければなりません。

しかし、弊社のサービスを利用すれば、全てをワンストップで進めることができるのです。結果として、新築と比べてトータルコストが3分の2程度に抑えられるだけでなく、間取りだけでなく、物件エリアなどの選択肢も大幅に広がり、さらに自由なデザインも可能となります。

ーーユーザーにとってのメリットは何でしょうか?

鎌田友和:
最大のメリットは、自分らしい暮らしの実現です。たとえば、築30~40年程度の中古物件であっても、耐震や断熱性能の向上や設備を全て新しくし、内装も新築と同じくこだわったものにできます。

また通常、物件取得費用は住宅ローンが使えますが、リノベーション費用は自己資金か金利の高いリフォームローンを使わざるを得ませんでした。しかし、「リノベ不動産」は、数多くの金融機関と提携しており物件取得からリノベーションまで、その費用の全てを低金利の住宅ローンでまかなうことができます。これにより、経済的な負担を大幅に軽減できるのです。

認知拡大と地域密着で1兆円市場を目指す

ーー「リノベ不動産」の成長の秘訣をお聞かせください。

鎌田友和:
現在、「リノベ不動産」は全国で加盟店も含めて150店舗と、店舗数国内最大規模のプラットフォームに拡大しました。これまで直営店でサービスを磨き込み、そのノウハウや仕組み、また領域特化で開発したテクノロジーを加盟店に提供、また加盟店での実証データを相互活用して多くのエリアでユーザー体験価値の向上と事業拡大を実現してきました。

企業とのパートナーシップも重要な戦略です。24時間対応のアフターサービスの展開、生命保険会社との協力で住宅購入時の資金相談サービスを全国対応するなど、多角的なアプローチでユーザーに価値を届けています。また、複雑な業務オペレーションが求められるので、領域特化のテクノロジー活用にも注力しています。

今後の目標は、GMV(流通取引総額)を増やすことです。「リノベ不動産」で取引される物件とリノベーションの総数を増やすことが、私たちの提供する価値を表す指標だと考えています。10年後には1兆円規模のリーチを実現し、さらに多くの人々にワクワクを届けたいですね。

ーー1兆円市場を目指す上での課題は何ですか?

鎌田友和:
最大の課題は認知度の拡大です。中古物件を買ってリノベーションするという選択肢がまだ一般的ではないように感じています。そのため、ユーザーへ質の高いサービス提供にこだわり、ブランド戦略やマーケティングに力を入れていく必要があります。また、北海道と沖縄では気候条件も大きく異なるので、各地域の特性に合わせたサービスを提供していきたいです。

さらに、各地域とのつながりも重要です。設計や施工を行う人材は、その地域に根ざした人々です。地域ごとにしっかりとしたネットワークを構築して、品質の高いサービスを提供できる体制を整える必要があります。これらの課題を一つずつ解決しながら、より多くの人々に「自分らしい豊かな暮らし」を届けたいですね。

編集後記

鎌田氏の語る「ワクワク」という言葉が印象的だった。ビジネスの拡大だけでなく、人々の暮らしを豊かにするという強い使命感が感じられた。中古住宅×リノベーションという選択肢を提供することで、ユーザーの選択肢を広げると同時に、環境問題にも配慮するという同社の取り組みは、まさに時代が求める解決策と言えるだろう。

鎌田友和/1978年静岡県富士市出身。2013年に株式会社WAKUWAKUを創業し、「自分らしい豊かな暮らし」の実現のため、中古住宅・リノベーションの流通プラットフォーム「リノベ不動産」の拡大に注力している。