株式会社ウフルは、テクノロジーと自由な発想を組み合わせて、企業・自治体のDXを推進する事業を行う企業だ。持続可能な社会の実現を目指し、カーボンニュートラルやスマートシティに向けた先進的な取り組みも行っている。代表取締役社長の園田崇史氏に、起業の経緯や事業への思い、今後の展望を聞いた。
クラウドの可能性を信じて起業
ーー創業の経緯を教えてください。
園田崇史:
親が経営者だったことや、大学時代に国際交流サークルを立ち上げて企画や資金調達の面白さを知ったことから、自分で事業を始めることに興味を持ち、起業準備を始めました。
また、当時株式会社ライブドアを経営していた堀江貴文さんとの出会いも起業の後押しになりました。年代の近い人が会社を上場させ、ダイナミックな取り組みをしていることに影響を受けました。
その後、私自身もライブドアに入社して、「これからはインターネットを社会に普及させることが重要だ」と強く思うようになりました。当時は企業がまだクラウドを活用していない時代で、クラウドには大きな可能性があることを感じ、2006年にウフルを創業したのです。
2007年には、日本に上陸して間もなかった株式会社セールスフォース・ジャパンとパートナーシップを締結し、このセールスフォースとのご縁のおかげで現在に至ります。
スワヒリ語の社名「ウフル」に込められた思い
ーー「ウフル」という言葉はあまり聞き慣れませんが、社名の由来は何でしょうか。
園田崇史:
自由なコンセプトでつくったサービスを、スワヒリ語圏を含む遠くの国々へグローバルに届けたい。この思いから、スワヒリ語で「自由」を意味する「ウフル」を社名にしました。この社名には、「自由な発想で世の中の役に立ち、持続可能な社会を実現したい」という思いを込めています。
この考え方のもと、データ流通交換の基盤中核となるクラウドシステムを開発する事業や、顧客のDX推進における事業開発やデータ分析など、幅広いソリューションを提供する事業を展開しています。また、その過程ではあらゆるコミュニティを形成し、コミュニティの力を最大限生かすことも重要視しています。
より具体的にはセールスフォースやAWS(アマゾン ウェブ サービス)をベースに顧客の課題に合わせて開発したサービス、あるいは自分たちがつくったサービスを、企業や行政、公共団体に提供することを生業としています。
ーー貴社の強みについて聞かせていただけますか。
園田崇史:
弊社は、企業のDXを支援するサービスを、国内にDXが浸透していない初期段階から始めています。また、世の中に事例がないようなケースでも果敢に挑戦をするスタンスをとっており、特にセールスフォースの先進的な事例をたくさん持っているのも強みです。
そのほか、事業として成長させることと社会課題を解決することを両立できているのも、弊社ならではの強みだと思います。
企業や地域に寄り添い課題を解決
ーー実際にどのような事業やプロジェクトを行っていますか。
園田崇史:
今後、地域社会で人手不足が大きな問題になることが予測されます。観光や防災、物流、モビリティ分野などの事柄をデジタル化し、無駄をなくして社会課題を解決するという点にビジネスチャンスが生まれることを予想して、この領域に力を入れています。
また、企業と協力してカーボンニュートラル事業を手がけたり、地域に合わせたスマートシティ事業を手がけたりなど、企業や地域のウェルビーイングにつながるようなサポートをしています。
実際の事例としては、ソフトバンク社の通信技術と弊社のクラウドサービスを掛け合わせて、災害時に道の駅が避難所として機能するような仕組みをつくっています。
道の駅は全国に2000カ所以上ありますが、この道の駅同士が災害時に連携し、お互いの避難物資の量や在庫の情報を把握して、これらをドローンで輸送するための準備を今、整えているところです。
クラウド開発の知見を生かしながら、より幅広いデータ活用や社会課題の解決を目指して
ーー理想の人材像やチームづくりの取り組みについてお聞かせください。
園田崇史:
今後はあらゆる仕事でAIが使われるようになるので、そういった将来を予見して毎日の業務に落とし込める方はとても良いですね。
また、私は社員たちに「楽しいこと」を共有することは、仕事と同じくらい大切だと伝えています。実際にみんなで集まって交流をしたり野球を観に行くこともあり、業務に関係ないように見える一つひとつのことが、チームが仲良くなるきっかけになると考えています。
ーー最後に、貴社が大切にしていることは何でしょうか。
園田崇史:
私たちが大切にしていることは、カスタマーサクセスです。お客様に「このサービスを取り入れて本当に良かった」と思ってもらえるようなものをつくることを大切にしています。また、顧客課題は変化し続けているので、変化する課題を現場で吸い上げて、サービスに活かすことを常に考えています。
今後はメイン事業であるセールスフォース導入支援の事業で、日本のパートナーとしてのプレゼンスをより高めていくとともに、あらゆるデータを扱いながら、社会課題のソリューションをグローバルに届けられるようになりたいですね。
編集後記
「学生や若手社員のうちに語学を学び、いろいろな場所に行って多様な経験をしたほうが良い」と語った園田社長。国際交流サークルの立ち上げやアメリカの大学院への進学、そして起業など、今までの多くの経験が経営者としての園田社長、そしてウフルの事業に活かされているのだろう。社会とともに進化を続けるウフルが、これからどのようなサービスで世の中をより良くしていくのか。今後も同社の活動を応援していきたい。
園田崇史/1995年早稲田大学政治経済学部卒業、株式会社電通に入社。4年半の勤務を経て、南カリフォルニア大学(USC)大学院に進学、経営管理学修士(MBA)を取得。モルガン・スタンレー証券、日興シティグループ証券を経て、ライブドア(現LINE)執行役員副社長に就任。2006年ウフルを設立し、代表取締役社長に就任。