※本ページ内の情報は2024年6月時点のものです。

埼玉県に本社を置くヤマト・インダストリー株式会社。グループ関連会社や子会社は、国内だけではなく海外にも拠点があり、製造販売を行っている。各種合成樹脂成形品および、物流機器の製造販売を幅広く展開し、その勢いはとどまることを知らない。

2021年から代表取締役社長執行役員として企業のトップに就いた重岡幹生氏に、事業内容や今後の展望について話をうかがった。

開発・技術職、営業職を経て、コロナ禍で社長職に就任

ーーまずはご経歴についてお聞かせください。

重岡幹生:
東京理科大学を卒業した年にヤマト・インダストリーに入社しました。在学当時は、就職活動をあまり熱心にしていませんでしたが、そろそろはじめようと、就職担当の窓口に相談に行ったことがきっかけです。いい会社があると紹介され、縁があり入社しました。

ーー入社当時は、どのような仕事をしていたのですか?

重岡幹生:
最初は開発プロジェクトチームに配属されました。チームは1年ほどで解散しましたが、測定技術が学べたことは自分にとって大きな収穫だったと思います。その後、金型を成形する部署に配属され、入社3年目の後半にはタイの工場設立に携わりました。責任のあるプロジェクトに参加できたのは、良い経験になりました。

開発・技術職は経験しましたが、営業の経験が全くなかったので、日本に帰国後、営業の経験を積みました。その後は、香港や中国の工場設立などにも参加しています。

ーー社長を引き継がれたときの状況をお聞かせください。

重岡幹生:
私が社長に就任したのは、2021年でした。当時はコロナショックもあり、世界的に大変な時期でした。思うように外に出られない、海外には行けない、海外からも人が来ない。取引をするにしても、直接顔を見てできないという状況だったので、動きが取りづらかったというのはありましたね。そのような中での引き継ぎは、厳しい状況でした。

未来につなげるEV事業計画

ーー貴社の事業内容を教えてください。

重岡幹生:
弊社の事業は、合成樹脂成形と物流機器開発の2つです。合成樹脂成形の事業は、長年培ってきたノウハウや技術をもとに、お客さまからのご要望に対して、金型や製品の設計、成形方法の提案、組立・検査に至るまで、いかに満足してもらえるかが、重要だと思います。

物流機器事業は50年以上の歴史がありますが、始めた当初は、合成樹脂系の事業の方が多かったので、それに対応する余裕がありませんでした。

弊社が製作している物流機器というのは、荷物を運ぶ台車や物流コンテナなのですが、環境問題やSDGsにも大きく関わっていると感じています。そのため、合成樹脂成形同様、物流機器事業も頑張っていきたいですね。

ーー新たにチャレンジしている事業についてお聞かせください。

重岡幹生:
弊社は既に発表しました通り、株式会社IATと資本業務提携を締結したことで、本格的にEV市場への一歩を踏み出しました。同時にEV車両の軽量化という課題に対して、弊社が得意とする合成樹脂成形技術が解決の一役を担えると考えております。それなりに時間を要する案件ではありますが、既存技術を新市場へ活かす事も一つのテーマと考えております。

ーー物流業界のEV化についてはどのようにお考えですか?

重岡幹生:
環境問題などの面から考えても、物流トラックのEV化は重要だと思っています。ガソリン車をEVに改造することで、環境問題というのは格段と良くなりますが、コストもかかります。

補助金は出ますが、やはりまだまだ高いですね。物流業界のEV化には、製品のコストカットが大きな問題かも知れません。

100年企業を目指しさまざまなチャレンジをして、成長し続けたい

ーー今後の企業の方向性などはどのようにお考えですか?

重岡幹生:
弊社は、合成樹脂事業と物流機器事業の2つの大きな柱がありますが、既存事業でやっていくには限界があると思います。継続的に利益を出しているとはいえ、「成長を実感できる企業」でもあり続けたいと思っています。

弊社は100年企業を目指しています。新しい事業にチャレンジし、企業として成長し続けたいと考えています。

ーー読者の方にメッセージをお願いします。

重岡幹生:
チャレンジをしないとその次はありません。チャレンジし続けることに意味があります。もちろん、失敗することは誰でも怖い。それを恐れて動かないのではなく、どんどんチャレンジをしてほしいですね。

編集後記

100年企業を目指し、現状に満足せず成長を続けたいという重岡社長。環境問題に大きく関わる物流トラックのEV化は、早急に対応したい課題である。一方で、コスト削減という大きな壁を越える必要があるが、合成樹脂部品という武器を手に、同社がどのように貢献していくのか楽しみである。さらなる成長と発展に期待したい。

重岡幹生/1986年、東京理科大学理工学部卒業後、ヤマト・インダストリー株式会社に入社。1988年、当社初の海外駐在員としてタイ王国に赴任、翌年設立された同社初の海外拠点となる、サイアムヤマト・インダストリーの立上げに従事。また、1995年、海外2拠点目となる香港大和工貿有限公司を設立するとともに、同代表取締役社長に就任。その後は、取締役樹脂事業部長、常務取締役常務執行役員事業本部副本部長などを歴任し、2021年、代表取締役社長に就任。