※本ページ内の情報は2024年6月時点のものです。

テレビ会議のようにオンラインミーティングができるビデオ会議ツール「Zoom Meetings」は、今やリモートワークや遠くの取引先との打ち合わせにおいて、欠かせない存在となっている。

そんなZoom Meetingsを日本で広めているのが、ZVC JAPAN株式会社だ。同社の代表取締役会長兼社長、下垣典弘氏は「Delivering Happiness(すべての人に幸せを届ける)」を体現しながら、会議ツールにとどまらないZoomの未来を構想している。下垣代表に今までの歩みと今後の展望を聞いた。

人と人をつないで「Delivering Happiness」を実現する

ーーまずは、下垣代表の経歴を教えてください。

下垣典弘:
私は岐阜県多治見市の出身で、大学進学とともに18歳で東京に出てきました。就活では「最初に内定が決まったところに入ろう」と決め、日本IBMに入社しました。

大学時代は自分で生活費を稼ぐような経済的に苦しい生活をしていたので、「言われたことは何でもするし、どこでも働くので採用してください」という気持ちでしたね。

弊社に入社するまでは、ベルシステム24や日本オラクルで専務執行役員、AWS(アマゾンウェブサービスジャパン)で執行役員、株式会社Yextで社長などを経験しました。

ーー多くの企業でキャリアを築く中で、感じたことを教えてください。

下垣典弘:
高い成果を出す人の特性は、どんなに厳しい場所でもニコニコしているということです。また、私は転職をたくさんしてきましたが、どれも人の縁で入社して、人に助けられた人生だったことを実感しています。

弊社には、Zoomがグローバル展開するにあたり、日本法人をつくるというタイミングで声がかかりましたがその際はタイミングが合わず、その後も何度か声をかけられましたが、最終的にご縁があり2022年に入社することになりました。

入社して感じたのは、ZVC JAPANは人と人をつなぐことをとても大切にしている会社だということです。また、社員たちが「Delivering Happiness(すべての人に幸せを届ける)」という考え方を忠実に実行しようとしていることも感じられました。

実際に、社外の人と名刺交換をすると「いつもZoomを使っています。ありがとうございます」と言われることも多く、弊社がDelivering Happinessを実現できていることを体感する機会が多くあります。

ーー社長就任時はどのような思いを持っていましたか。

下垣典弘:
Zoomは2011年にアメリカのサンノゼで誕生し、2018年に米ナスダック市場に上場しています。この会社が素晴らしいということは、コロナ禍前からアメリカでは知られていました。

コロナ禍が来て日本含め世界中にその存在が知られるようになりましたが、社長就任にあたり、さらに規模を拡大するためにはリブランディングが必要だと感じていました。

また、弊社は急成長した会社であるため、未成熟だと思われがちです。そのため日本のマーケットや日本のお客様に弊社の戦略を正しく説明し、説得しながらビジネスを大きくしていかなければという思いもありました。

Zoomさえあれば十分。「1つのプラットフォーム」へのこだわり

ーーZoom製品の特徴や強みについて教えてください。

下垣典弘:
Zoom Meetingsは弊社が積極的に宣伝したわけではなく、「何か面白いツールがあるぞ」とお客様がその存在に気づき、リモート環境の普及とともに急速に売り上げが伸びました。そんなZoomの製品が現在どのように人々の役に立っているのかというと、1つは電話機能です。

日本では多くの企業がまだ固定電話を採用していますが、固定電話をなくすだけで資産を圧縮し経費も抑えられます。実際に大丸松坂屋百貨店様は固定電話をスマホに変え、弊社のクラウド型電話サービス「Zoom Phone」を導入し、電話として活用しています。

Zoom Phoneを通して行われた会話やチャットは、録音・録画が可能です。また、第三者同士が通話しているとき、片方に気づかれないようにもう片方に話しかけることができるなど、コールセンターのようなウィスパリング機能も付いています。そのほか、グループチャットにいるメンバーと一斉通話するといったことも可能です。

Zoomの提供するZoom Workplace内にはさまざまな機能がありますが、私たちは人々にとって価値があるものを厳選して提供しています。「1つのプラットフォーム」という点にこだわっており、アプリをたくさん立ち上げなくても、Zoom Workplaceが提供する製品群さえあればすべて対応できるという状態を目指しています。

サイバー犯罪・災害分野に貢献し、Zoomで「日本を元気にする」

ーー今後のビジョンを聞かせてください。

下垣典弘:
多くの大学でZoom Meetingsの導入が進んでいますが、小中高の中にはネットワーク環境やパソコンのスペックの問題からZoom Meetingsを導入できていないところも多いのです。Zoom Meetingsを導入することで海外の授業を受けられたり、不登校の生徒のサポートができたり多くの利点があるので、導入が進むように取り組んでいきたいと思います。

また、日本は常にサイバー犯罪と災害の問題に直面しています。たとえばZoom製品は災害時の情報共有ツールとしても役立つので、今後はZoomの製品が社会のインフラに自然と入り込み、社会に貢献しているような状況をつくりあげたいと思います。かっこいい言い方をすると、「Zoomで日本を元気にする」ことを実現できたらと考えています。

編集後記

取材の最後に「今後も『ありがとう』と言ってもらえる会社でありたいし、それが『Delivering Happiness』だと思います」と語った下垣代表。

日本ではコロナ禍をきっかけにその存在が知れ渡ったZoom。コロナ禍が落ち着いた今、同社がどのような次の一手を打つのか、さらなる飛躍に期待したい。

下垣典弘/2023年、ZVC JAPAN 株式会社(Zoom Video Communications, Inc.の日本法人)の代表取締役会長兼社長に就任。2022年にZVC JAPANに入社以前は、株式会社Yextで取締役社長兼COO、アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社にて執行役員を務めたほか、日本オラクル株式会社で専務執行役員、日本アイ・ビー・エム株式会社(IBM)のインフォメーションマネジメント事業やビジネスコンサティング事業で執行役員パートナーなどを歴任した。明治大学卒業。岐阜県出身。