少子高齢化が進む中、人材関連ビジネスの市場規模は右肩上がりに伸びている。その中で業界トップを目指し、果敢なチャレンジを続ける企業がある。「forYou〜人生をかけてビジネスを〜」をビジョンに掲げる株式会社Full Bet Groupだ。
「全てをかける(Full Bet)」という社名に込められた、より良い社会を目指す思いについて、同社の創業者であり、代表取締役を務める白倉貴之氏に話をうかがった。
就職活動中の学生にとことん寄り添う人材サービスを展開
ーーまずは貴社の事業内容についてお聞かせください。
白倉貴之:
弊社グループのメインは人材紹介事業です。新卒や第2新卒を中心に、中途採用や転職支援など、人材関連だけで10を超える事業を展開しています。2022年からはフリーランスおよび副業で働きたいプロフェッショナル人材のサポートを始めました。これらの事業はグループの中核会社である株式会社HR teamで行っています。
PR・プロモーション事業にも取り組んでおり、2021年に設立した株式会社中小企業のチカラでは、タレント起用のサブスクリプションサービスを提供しています。低価格でタレントの写真などを使用して、広告宣伝に活用することが可能です。
ーー人材紹介事業の主軸サービスである「ジョブコミット」にはどのような特徴がありますか?
白倉貴之:
就活生にとことん寄り添う姿勢です。そのためには本人がどのようなキャリアや人生を歩んでいきたいのか、深く掘り下げながら話を聞かなければならないので、内定までに行う面談の平均的な回数は10回にのぼります。
ひとりの就活生に紹介する企業の数は5社ほどに絞っています。たくさん紹介したところで、就職するのは1社のみなので、本人のキャリアプランに合った会社を厳選した方が、マッチングする確率は上がると思います。
また、入社後は、本人とクライアントからフィードバックをもらうようにしています。クライアントから「活躍している」と聞くとやはりうれしいですね。お礼の動画をいただき、社内で共有することもよくあります。
「人生をかける」ための意識改革
ーー貴社は2022年に社名を「リアホールディングス」から「Full Bet Group」に変更しました。その背景について教えていただけますか。
白倉貴之:
従業員の意識改革を図り、方向性を「自分のために働く」から「お客さまに貢献する」へと変更したからです。
弊社グループの社名はほとんど「リア」という言葉を含んでいます。この「リア」は、英語のDream(夢)の単語の中心部分のアルファベット「rea」の3文字を指します。弊社では「夢の中心」という意味を持たせ、「夢の中心である会社にしよう」と思いを込めています。
これまでリアホールディングスでは、「みんなの夢を叶える」をスローガンに掲げ、従業員一人ひとりの幸せのために事業に取り組んできました。
すると、従業員のモチベーションが、お客さまへの貢献ややりがいではなく、自分の報酬やキャリア重視になってしまい、目標達成が難しそうだと仕事を投げ出し、評価に納得できないと退職する社員が増えるなど、成長スピードが鈍くなりました。
これではいけないと思い「お客様のために人生をかけて仕事をする」という意味を込めて社名を「Full Bet」に変更したのです。
ーーその「Full Bet」の名を冠した社内制度があると聞きました。
白倉貴之:
「フルベットチャレンジ制度」ですね。これは従業員が1年という長期で高い目標を設定し、「得たもの」と「失ったもの」を提示するというプロジェクトです。目標を達成できれば成果を得られますし、達成できなければ失います。入社3年目以降の営業メンバーを対象とし、参加は任意としています。
たとえば目標を通常の120%に設定し、達成すれば昇進できるが、達成できなかったら降格。あるいは達成できたらインセンティブが1.5倍になり、できなかったら半分になるというケースもあります。
フルベットチャレンジ制度をつくった目的は、従業員に経営者の感覚を身につけてもらうためです。経営者と従業員の違いは、背負っているリスクの大きさ。失敗したときに責任をとるのが経営者です。結果にコミットしてチャレンジする経営者マインドを磨くことが、グループの成長につながると考えています。
世の中の問題を解決し、社会を超元気にする会社へ
ーー今後の展望についてお聞かせください。
白倉貴之:
社名変更してからの弊社のビジョンは「forYou〜人生をかけてビジネスを〜」を掲げています。お客さまの成功に人生をかけること。ひいてはそれが社会問題の解決につながり、自社の存在意義になるでしょう。
弊社が人材紹介事業に力を入れているのは、少子高齢化が進む日本で、働ける人が減りつつあるからです。労働力の確保は社会的な課題ではありますが、その分、市場は大きく開けています。
これまで弊社は事業の多角化を念頭に置いてきましたが、その根幹には、常に「お客さまの課題を解決する」という意識がありました。これからは既存事業である人材関連のビジネスを伸ばしていくことが軸になります。2030年までに目指す姿は、弊社がプラットフォーマーとして業界のリーディングカンパニーとなり、社会に影響力を持つことです。そのために「社会を超元気にする会社」というスローガンを掲げています。
ーー業界トップを目指していく中で、どのようなことを意識されていますか?
白倉貴之:
私がいつも意識しているのは組織力と、企業の文化を全従業員に浸透させることです。いくらいい商品やサービスを取り扱っていても、それだけでは売れませんし、業界トップにはなれないと思いますので、企業自身の力を着実に伸ばしていきたいですね。
編集後記
「お客さまのためになることをする」や「社会問題の解決」などをうたった企業はたくさんあるが、「人生をかける」とまで言い切る経営者はどれだけいるだろうか。
従業員の幸せは大切だが、それだけでは社会を支える組織はつくれない。15年間で数えきれないほどの新規ビジネスを創出し、事業を成長させてきた白倉代表の言葉には説得力がある。同氏がつくる組織の本気さは、社会課題をどう解決していくのか。これからも注目したい。
白倉貴之/1979年生まれ。2008年に株式会社ネバーギブアップを設立し、携帯電話販売を中心にイベントプロモーション事業を開始。営業コンサルティングや不動産賃貸など業務の多角化を行う。2013年に株式会社リアホールディングスを設立。2022年に株式会社Full Bet Groupに社名変更。