メイヂ食品株式会社はCBDオイルなどの開発・販売や金券ショップを手掛ける会社である。他にはない商品群を武器に、テレビ・YouTube・書籍などを活用した宣伝活動にも力を入れる。自らその先頭に立つのが高野泰年社長だ。今回はご自身の学生時代から経営者としての長きに渡る活動にいたるまでの紆余曲折を取材した。
チケットショップから通信販売まで名古屋を中心に多方面で事業を展開
ーーまずは社長に就任されるまでのエピソードを教えてください。
高野泰年:
学生時代は三重大学の建築学科で学び、新卒で工務店に就職しましたが、1年足らずで早期に離職することになりました。その後はウェブデザイナーを目指して勉強を続けていたところ、会社を経営していた先代の父から「手伝ってほしい」と頼まれたことをきっかけに、弊社の活動に携わるようになりました。
関わった当初からチケットショップ事業を担当していました。ともに経営を担い始めた矢先に父が亡くなり、そのまま引き継ぐ形で社長のバトンを受け取りました。
ーー貴社の事業をご紹介いただけますか。
高野泰年:
いくつか事業を運営していますが、大きく分けると2つあります。1つは2018年から展開している名駅チケットという金券ショップで、現在は3店舗を運営しています。名古屋は東京や大阪と比べて新規参入が少ないことから、これまで安定的に店舗を運営することができています。
もう1つはCBDオイルに関連した商品の開発販売事業です。CBDとはカンナビジオールの略称で、大麻草に含まれる成分の1種を指します。弊社では「メイヂ健康大麻油」のブランドで、サプリメントやバームなどの商品ラインナップを展開しています。
“大麻”と聞くとさまざまな印象があるかと思いますが、弊社では違法性のある成分を含む花や葉は一切使用していません。法律に基づき、葉や花穂を徹底して取り除いたうえで、茎と種子から精製して商品化しています。提供方法は主に通信販売形式を取っており、全国の方々にご利用いただいています。
テレビCMに著名人を起用!インフルエンサーが自主宣伝で売上急増!?CBD商品群の販売戦略に迫る
ーーCBD事業はユニークな印象を受けますが、どのような経緯で立ち上げられたのでしょうか。
高野泰年:
CBD事業を立ち上げたのは、自身の関心とビジネス上の実益が合致したからです。チケットショップはコロナ禍の影響を大きく受けましたし、今後も拡大していく見通しが立ちにくい事業です。そこで、「将来的に成長する余地がある事業を手がけたい」という思いがありました。
現時点での売上比率は高くありませんが、さまざまな展開が可能なため、今後も伸長させたい事業です。優れた商品を開発するだけではなく、テレビ番組を立ち上げたり、著名人を起用してCMを放映したりと広告宣伝にも力を入れてきました。
ーー現代の認知拡大施策にはSNSも有効な手段かと思いますが、関連した事例があれば教えてください。
高野泰年:
弊社で販売しているバームを健康系インフルエンサーの方に取り上げていただいたときは一時的に売上が伸びました。SNSが盛んな時代ならではの出来事でしたが、インフルエンサーや著名人など、発信力・影響力が高い方のファン化が実現すると、自主的に宣伝いただけるため非常にありがたいと感じています。
ーー今後の販路開拓についてはどのようにお考えですか。
高野泰年:
販路をいたずらに拡大することは考えていません。大麻草の成分は規制や売れ筋の流行が変わりやすく、何をどう取り扱うのか慎重に見極めないといけません。CBD関連商品の潜在的な顧客は若者から年配の方まで幅広く存在していると考えていますので、ビジネスチャンスを逃さないようにさまざまな機会を捉えていくという態度で臨んでいます。
自身を振り返って思う、意見をもち、発信することの大切さ
ーー会社経営以外にも、多方面で活動や趣味に精を出していらっしゃいますが、ご自身が大切にしている考え方や取り組みたいことはありますか。
高野泰年:
長年ビジネスを続けてきた中で、事業の方向性が定まってきました。今後は全く新しいことというよりは、次世代に教養や愛情を残しつつ社会が良くなるような取り組みをしていきたいと考えています。私自身も10代後半の子をもつ父ですが、「10代・20代の方で夢や目標を持てない人がたくさんいる」といった話を耳にすることがあります。大切なのは自身の意見をもつということではないでしょうか。
そして、意見をもったら発信することも同時に重要です。私自身を振り返ると意識的に自分の考えや意見をもつようになったのは25歳を過ぎてからでした。いま考えると遅かったなと思っています。このような考えにいたるまでは時間がかかりましたが、これから自身の考えや意見をもとに自分なりにできることを模索していきます。
編集後記
地元名古屋に根ざした実店舗のチケットショップとCBD商品の通信販売という異なるビジネス手法を両立させている高野社長。端的なもの言いからは裏表が感じられず、率直な印象を受けた。次世代を見据えてどのような取り組みに注力するのか、今後の展開が楽しみである。
高野泰年/1973年生まれ、三重大学工学部建築学科卒。2020年メイヂ食品株式会社入社。2012年同社代表取締役就任。2018年CBDオイル「メイヂ健康大麻油」販売開始。数々のメディアに広告出稿。2020年から2023年二所ノ関親方と広告契約・ラジオ番組の共演。史上初の大麻草のテレビ番組「ちょっと真面目な麻のTV」が岐阜放送より2023年11月から2024年7月まで出演・放送。CMには君が代をBGMに使用しており、こちらも史上初。