※本ページ内の情報は2024年9月時点のものです。

日々の暮らしを充実させるため、または個々に没頭する趣味を楽しむうえで、生活雑貨の存在は必要だ。

株式会社フローラ企画は、生活雑貨・ファッション雑貨を取り扱う専門店「ボンメゾン」を運営している。代表取締役社長の浅野一平氏は、大学卒業後、一度は大手商社に就職するも、家業のフローラ企画を継ぐことを決意し、全く異業種の生活雑貨業に転身した。そんな浅野社長に、苦労話や、会社を成長させた経営手法や事業改革、また、自社の強みや今後の展望などについてうかがった。

二代目社長が起こした革命!伝統を破り新時代を切り拓く

ーーフローラ企画の社長になるまでの経緯を聞かせてください。

浅野一平:
学生時代から大規模なプロジェクトや資金を動かす仕事がしたいと考え、幅広い分野に携われる業態を探し、OB訪問で仕事のスケールが大きいと感じた総合商社に就職しました。

入社後は不動産を商材とする都市開発部に配属になりました。数年働いているうちに、「この先何十年もこの業界で仕事を続けていくのは違うのかな」と、理想と現実にギャップを抱くようになりました。

そんな時に、実家の生活雑貨を販売する会社が、当時は後継者不在と聞き、別の会社への転職も考えていましたが、「それなら両親がやってきた商売をもっと大きくし、自分なりに変えていくことも面白いな」と考え、家業への転身を決断したのです。

最初は全く畑違いの業種で何もわかりませんでした。周りの社員からも「社長の息子が入ってきた」と思われて、プレッシャーや焦りを感じる場面が多かったですね。それでも周りから認めてもらえるように誰よりも真摯に仕事に向き合ってきました。

ーー社長就任後は、どのような改革を行ってきましたか。

浅野一平:
一番大きな改革は出店方法の変更です。私が入社した頃は大きなお店でも百坪ほどの路面店が中心でした。そこで、ショッピングセンターなど商業施設への出店も積極的に進めるようにしました。

当初は、父である先代の社長から商業施設の店舗は「制約も多く家賃も高いから難しい」と反対されましたが、新しい販売形態にチャレンジするには魅力的な条件だったので、反対を押し切る形で出店を決意したのです。

結果的に、出店後は当時の既存店舗の中で一番の売上を達成しました。その成功体験を活かし、今では全店舗の約半分がショッピングセンター内のお店となりました。郊外型の独立店舗に比べて、ショッピングセンターの店舗は、天候などに左右されにくく、安定して運営ができるところも利点の一つです。

アクティブミセスが夢中になる!進化し続けるライフスタイルギフトショップ

ーー貴社の強みをお聞かせください。

浅野一平:
弊社の大きな特徴は、先代から築き上げてきた豊富なこだわりある品揃えです。多くの雑貨店は卸問屋から商品を仕入れる割合が多いのですが、それではラインナップも他店と似てしまい、独自性を出しにくくなります。

弊社では、食器類であれば実際に産地の焼き窯を見て回ることもあります。各ジャンルの専門メーカーから直接仕入れを行っているので、高品質で百貨店並みの商品をリーズナブルな価格で提供できるのです。さらに魅力的な商品を取り揃えるために、弊社が主導したオリジナルの商品開発も積極的に行っています。

メインの客層である、40代から60代のアクティブミセス(弊社内での呼び名)は、品質にも価格にもシビアです。弊社は、そのようなお客様から高い支持をいただいており、それが一つの弊社の特徴ともいえます。

また、お客様がご家族で来店しても楽しんでいただけるように、最近では美容用品やリビング用品などにも注力しています。

ーー貴社で働く魅力はどんなところでしょうか。

浅野一平:
弊社は創業50年ほどの会社ですが、まだまだ発展途上にあると思っています。雑貨業をはじめとした小売業にとって厳しい時代ではありますが、積極的にチャレンジして、さらに成長していきたいですね。

若手スタッフにも裁量権を与え、それぞれが主体となって活躍してもらっています。スタッフが自分の得意分野を活かして活躍し、仕事を通じて成長し、やりがいや楽しさを感じられる会社を目指しています。

雑貨屋としての魅力もたくさんあります。その時代にあったさまざまな商品を取り扱うことで、買う側と売る側の両方の側面が楽しめます。自分達が買いたいと思える愛着ある商品をいくつも取り扱える環境はとても魅力的ではないでしょうか。

地域密着から全国展開へ!日本中を彩るライフスタイルギフトショップを目指して

ーー貴社の企業理念や大切にしていることを教えてください。

浅野一平:
弊社の掲げるショップコンセプトは「地域一番のライフスタイルギフトショップ」です。創業当初は町の小さな花屋さんでしたが、「日常生活を華やかに、豊かにしていきたい。」という思いを大切に、地域のお客さんが楽しめるコミュニティーのような存在を目指してきました。

現在、生花店で働いた経験のあるスタッフ数名で、造花を使ったリースやフラワーアレンジメントの商品を製作しており、他店にはないオリジナリティの強い分野になっています。シーズンごとに季節感を出したものを販売して、生活雑貨店「ボンメゾン」の顔として今後もブランディングを強化していきます。

ーー今後の展望について聞かせてください。

浅野一平:
私たちは、スーパーマーケットやドラッグストアのような生活必需品を販売するのではなく、日々の暮らしが少し楽しく、豊かになる生活雑貨を、お求めやすい価格帯で販売しています。時代の変化に合わせて、お客さんに喜んでいただける商品やサービスを提供できるように、私たちも絶えず変化と進化を続けていきたいですね。

今は東関東地域で一番のライフスタイルギフトショップを目指していますが、このようなお店を日本全国に広げていきたいと考えています。店舗数の拡大はそれほど意識していませんが、全国で親しまれるライフスタイルギフトショップを目指したいと思います。

編集後記

総合商社時代に得た経験や視点を活かして、全くの別業態である生活雑貨という分野を、新しい切り口から分析し進化させ続けている浅野社長。お客様の目線に立って、日々の暮らしに豊かさを届けたいという強い思いを語る姿が印象的だった。今後、全国展開も目指すという株式会社フローラ企画のさらなる飛躍が楽しみだ。

浅野一平/1980年、千葉県生まれ。東京理科大学卒業。2004年に双日株式会社に新卒で入社し、都市開発部に配属。東京都心部、九州エリアのマンション開発に4年半携わり、2008年に同社を退社。同年、両親が経営する株式会社フローラ企画に入社。茨城県牛久店の店舗スタッフから、本部販促担当、商品部アパレル担当、商品部マネージャーを経て、2012年に代表取締役社長に就任。