※本ページ内の情報は2024年8月時点のものです。

少子化・人手不足を背景に、企業の採用への関心はますます高まっている。人材業界は活況を呈しているが、社会の変化による課題も大きい。

株式会社アド・イーグルホールディングスは、長きにわたりリクルート社などの信頼を得て、近年特にめざましい成長を遂げてきた。多様化の波が押し寄せる人材業界で、企業理念である「人と商売を元気にする」を貫き、同社を率いているのは代表取締役社長の大場貴文氏だ。次代への舵取りを担う若き社長、大場貴文氏にお話をうかがった。

タウンワークでビジネスモデルの変化を感じて入社を決意

ーー社長就任までの経緯を教えてください。

大場貴文:
高校時代に3年間アルバイトをしていたハンバーガー店に、卒業後そのまま就職しました。仕事は順調でしたが長時間労働だったこともあり、転職を考え始めました。店舗運営は会社のブランド力の影響が大きいため、個人の力がリアルに跳ね返ってくるような仕事がしたいとも思っていました。

ちょうどその頃、店舗にリクルートの営業の方が来て、「タウンワーク」のラックを設置したいと言ってきたのです。当時、求人情報のフリーペーパーは一般的ではなく、見たことがありませんでしたが、このビジネスモデルで採用の方法がガラッと変わるだろうと衝撃を受けたのを覚えています。そして、タウンワークの営業代理店を手がけていたアド・イーグルホールディングスに応募し、入社しました。

最初は、とにかく昔ながらの飛び込みとテレアポ営業をする日々でした。リーマン・ショックの危機を乗り越え、コロナ禍も経験するなか、2021年に代表取締役社長に就任しました。営業が好きでずっとやってきたので、あまり社長という意識はなかったのですが、前社長の思いなどを感じて心を決めました。

信念は、顧客のニーズの核心を捉えた価値提供

ーー会社の強みやこだわりを教えてください。

大場貴文:
本質的な価値の提供にこだわっています。たとえば、採用広告で応募がたくさん来れば営業としては満足ですが、本来お客様が求めているのは採用そのものです。そこをきちんと最後まで、伴走し切らねばなりません。

長年リクルート社のパートナー企業として、ノウハウも含めご協力をいただいてきました。私たちの事業は採用代行といっても、お客様の採用実務を単に代替することではありません。お客様のデジタルなステータスを数値化・構造化し、本当に価値のあるサービスを分析・提案することによって、一気通貫で本質的な改善をするのが私たちの強みです。それが、大手クライアント様のご支持をいただいてきた理由だと考えています。

一方、中小企業の案件も手がけてきました。この業界は景気に左右されやすいのですが、中小企業はその変動が比較的少ないのです。以前、足立区の運送業の組合様に、同業界の採用ポータルサイトをつくる提案をしたことがあります。

その際、国からの助成金を私たちが申請して提供し、実質的な負担を減らす提案などもしました。中小企業はキャッシュフローがネックとなるため、採用コンサルというより財務にまで踏み込んで伴走したことが非常に喜ばれました。

ーー今後のビジネスをどうお考えですか?

大場貴文:
今、業界のビジネスモデルは大きな転換期を迎えています。今まではリクルートの媒体に求人広告を出す掲載課金型でしたが、最近ではターゲット層を設定して閲覧数、クリック率を上げていく運用型となっています。

また、今まではまず応募者をどう集めるかが重要でしたが、最近はGoogleの口コミサービスやSNSなど、主な対象の年齢層の方々が必ず見ている情報発信ツールに複合的にサービス提供し、採用までつなげていくようになりました。私自身も含めて、構造の変化や新しい思考方法をまず理解し、知見を深めなければならない時期にきていますね。

ーーコスト削減にも注力していくとお聞きしました。

大場貴文:
DXで、コスト削減の改革も進んでいます。ただ、人がきちんと介在しなければ、お客様に最大限の価値を提供することはできません。時代に合ったツールを使いながら人がやるべきことは人が行い、売上を伸ばすことでその人の価値も報酬も最大限高めていきたいと考えています。

加速する変化に柔軟に対応できる人材の必要性

ーー社内の人材活用についてはどのように考えていますか。

大場貴文:
今まではさまざまな分野の知識やスキルを持ったジェネラリストを募集していましたが、現在の採用手法は専門性を重視したいわゆるジョブ型になりつつあります。組織を機能的に分け、それぞれの強みと個性を生かして配置しチーム編成も変えていく。その改変を、まさに実行している最中です。

また、組織全体としては、世の中の変化を自社にどう落とし込んでいくかなど、問題を解決に導く思考力のある人材を次世代で増やしていかなければ今後の発展はないと思っています。

ーーこれから入社してくる人たちに一言お願いします。

大場貴文:
なぜ、ここで働くのか。がんばる理由や意味づけを自分の中でちゃんと持っている人、その意味で意志の強い人が入社後、伸びていくと思います。仕事は実際にやってみないとわからない部分も多いのですが、働く意味づけができている人は状況をより良くするための柔軟な思考を持っています。

加速する変化を柔軟に受け入れ、新しいことに貪欲にチャレンジし、新しい世界、新しい価値をつくっていこうとする人は大歓迎です。人の可能性は、本当に無限大。自分の可能性を過小評価せず、積極的にトライしてほしいですね。

編集後記

「人と商売を元気にする」を掲げる株式会社アド・イーグルホールディングスは、大手クライアントにも中小企業にもそれぞれ寄り添い、人材に関わる本質的な問題解決を提示してきた。機械化は進めるが、人間の介在こそがサービスを完成させると大場社長は語る。この転換期、人の力を知る者こそが次代にしなやかな橋をかける。大場社長の目指す新しい世界は、皆を元気にする世界である。

大場貴文/1981年、埼玉県生まれ。春日部共栄高等学校卒業後、株式会社ロッテリアに入社。5年の勤務の後、2005年に株式会社アド・イーグルに転職。2021年、代表取締役社長に就任。