全身治療ベッド「スリーミーウェーブ3338」を中心に、健康生活を支える器具を販売しているフランス総合医療株式会社。同社はテナント出店という形で全国に60支店、これを含み常時80〜100店舗を展開し、健康器具販売業界において着実にシェアを拡大している。代表取締役副社長の杉木勇士氏に、これまでの歩みや社風、今後の夢についてうかがった。
さまざまな販売職を経験し、自らが認めた「本物」を売ることに挑戦
ーー副社長のご経歴をうかがえますか。
杉木勇士:
中国への留学を経て、通信業界や不動産業界での営業をはじめ、酒販店の配達員や焼き小籠包店のオープニングスタッフなど、いろいろな仕事を経験しました。当時は経営者となることは考えておらず、挑戦を重ねていました。
弊社に入社したきっかけは、社長である父から「本物の商品を売ってみないか」と声をかけられたことです。弊社のみが販売できるフランスベッド社製の家庭用医療機器は、胸を張って販売できる名品です。話術で商品をより良く見せる営業ではなく、自信を持ってお客様に勧められる「本物」だと思いました。
ーー入社後にご苦労されたことはありましたか?
杉木勇士:
私は社長の息子とは名乗らず、一販売員として当時の東京第二事業本部に入りました。弊社の顧客層は50代以上がメインです。当時の私は20代半ばだったので、高齢者の体を分析した上で商品をお勧めしても「まだ分からないでしょう」と笑われてしまいました。
そこで最初の1年間は、健康器具を販売するよりも自分を売り込んでお客様に気に入っていただくことに注力しました。一生懸命やっていると、孫や息子のように可愛がってもらえるようになり、商品を購入してくださる方も増えていきました。
2年目の2012年には仙台支店長を任され、東日本大震災で被災した店舗をほぼゼロの状態から立て直しました。3年後には全国No.1の支店となり、東日本や全国の支店を管理する責任者としてのキャリアが始まったのです。
社員が生き生きするように――女性の立場を考えた自由な社風
ーー企業として大切にしていることを教えてください。
杉木勇士:
社員の平均年齢は60歳で、女性販売員が9割の会社です。子育てが一段落した人や、家庭の事情などでキャリアを諦めてしまった人に、第二の人生をキラキラと輝かせてほしいと思っています。仕事をするようになった女性は自分の欲しいものを買ったり、子どもや孫にプレゼントしたりと、生き生きしています。
責任者が商品を売れるのならば販売員はいりません。仕事にはそれぞれ役割があるため、「あなたたちを必要としているから頑張って」と社員にはよく話します。目的がある女性が本気になれば、普段の何十倍もの力を発揮します。弊社には、販売力が強いスタッフがたくさんいると日々実感しています。
ーー社風についてもお聞かせいただけますか?
杉木勇士:
弊社は、伝統的に「女性が自由に活躍している会社」です。自分や家族のためにがんばらなくてはいけない人たちが生活できる環境をつくってきました。働きたい理由は人それぞれなので、労働時間や通勤時間、給与体系はなるべく融通がきくようにしています。
年間売上は数十億円規模で、健康器具の販売会社としては全国一だと自負しています。営業未経験者や専業主婦だった人が、正社員としてバリバリ稼げるのは魅力ですよね。努力の成果が明確に反映される給与システムも構築しています。会社としても社員のやる気を上げる方法を常に考え、それがまたみんなの幸せにつながっていくわけです。
顧客の「体験」を重視した店舗展開と予防医療の重要性
ーー事業内容をご説明いただけますか。
杉木勇士:
大型ショッピングモールやファッションビルに出店して、お客様に商品の良さを体験していただける場をつくっています。一度の体験で購入される方もいれば、何度かご来店して試される方もいます。弊社の特徴は、複数の商品に対して日本で私たちしか販売できない独占の権利を持っていることです。「ここでしか出会えない商品」という魅力があるからこそお客様が喜んでくださり、販売員も自信を持てるのです。
ーーメイン商品「スリーミーウェーブ3338」の特徴を教えてください。
杉木勇士:
スリーミーシリーズは、整体や接骨院と同様の指圧治療を家庭で行うことを目的に有名ベッドメーカー「フランスベッド」が製造しています。「スリーミーウェーブ3338」は新たに開発された「33軸38輪ワイドローラー」により、全身をくまなく治療します。
横になった姿勢が最も体に負荷をかけないため、就寝前に毎日10分ほど使用すると効果が出やすくなっています。高齢になると大病をしたり、足腰を悪くしたりと、医療面での出費が増える傾向にあります。予防医療としての効果も期待できると考えると、約60、70万円という小売価格は決して高くないと思っています。贅沢品というわけではなく、健康志向が強い方や予防医療の大切さを理解したお客様が購入されています。
ーー今後の展望をお話しいただけますか。
杉木勇士:
実店舗や催事など、スリーミーシリーズを知らない方との出会いの場をもっと増やしていきたいと思います。出店数の目標も掲げていますが、一つひとつの店舗をしっかりと築き上げながら展開していくことが大切です。
昔からの営業職をやりたい人たちを守りつつ、新しい雇用形態に対応していく必要もあります。基本給に手当てをつけたりお休みを増やしたり、柔軟に雇用形態を増やしていき、会社全体の売上や利益を向上させていきたいですね。
編集後記
社員や顧客に「人生を輝かせてほしい」と願う杉木副社長。販売職にハードルの高さを感じる人が多い時代でも、彼の人柄を信じてやる気ある人材が集い、その輪を広げているのだろう。不調が出ないよう、体を日々メンテナンスする大切さも再確認することとなった。
杉木勇士/1985年、栃木県生まれ。大学卒業後、他業種での修業期間を経て2011年にフランス総合医療株式会社に入社。販売員・支店長・営業本部長を経て、2024年に代表取締役副社長に就任。