※本ページ内の情報は2026年1月時点のものです。

1992年の創業から30年以上、東京の練馬区と杉並区を中心にスーパーマーケットを展開してきた株式会社アキダイ。2023年3月にはスーパーマーケットチェーン「ロピア」とのM&Aを成立させ、OICグループの一員として新たな成長フェーズに入った。

「美味しくて新鮮なものを、安くお客さまに提供する」という創業以来の理念を守りながら、OICグループとしての発展を目指す同社。代表取締役で夕方のテレビニュースでもおなじみの秋葉弘道氏に、これまでの経歴や今後の挑戦についてうかがった。

青果店から離れて、その魅力に気づいた

ーー社長のこれまでの経歴を教えてください。

秋葉弘道:
私は子どもの頃、人と話すことが苦手でした。小学生の時に担任の先生から、「喋らなくていいよ」とみんなの前で言われ、傷ついた経験から人前で話すことを避けてきたのです。しかし、中学3年生のときに応援団長を経験したことがきっかけとなり、人前で話すことが楽しくなりました。決まったセリフを大きな声で発声するだけなのですが、私の言葉をみんなが復唱してくれたことで、話すことへの苦手意識が薄れていったのです。

それからは「人と話したい」という気持ちが強くなり、生徒会長を率先して引き受けるなど、自ら人と話す機会をつくっていくようになりました。青果店でアルバイトをした経験も、その一環です。野菜や果物について、「これは美味しいよ」「安いよ」とお客さまに話しながら商品を売る仕事に魅力を感じました。店長にも喜んでもらいたいという気持ちで、常に工夫を凝らして頑張りましたね。試行錯誤しながら商品を売り切ったときの喜びは、格別でした。

アルバイトという形で青果店の仕事に出会ったのですが、高校卒業後は電気機器を製作する大手企業に就職しました。両親に「行きたい」と言えば大学に進学させてもらえたと思いますが、家計が厳しい状態だと理解していたので、1日でも早く社会人になって親を助けたいという気持ちがあったのです。

ーーなぜスーパーマーケットの分野で起業しようと考えたのですか?

秋葉弘道:
大手企業の一員として働くうちに、「この会社で仕事を続けても、自分の存在意義を見出すには時間がかかるな」と思うようになり、自分のキャリアに対して違和感を抱きました。

自分の強みを活かせる仕事は何かを考えたときに、かつて働いた青果店での経験を思い出したのです。季節を感じながら旬の野菜や果物を扱い、商品を売り切ることで達成感や満足感を得られる青果店での仕事は、私の強みを活かしつつ存在意義を見いだせるはずだと考えました。

結局、大手企業を1年で退職して、高校時代のアルバイト先であった青果店に再就職しました。そこで4年ほど働き、より一層自分らしさを出せる仕事をしたいと考え、1992年に弊社の前身である有限会社アキダイを立ち上げ、スーパーマーケット「アキダイ」をオープンしたのです。

実は、起業する前の半年間は、自分の気持ちを見つめ直すために運送業をしていました。一旦、仕事から離れることで、スーパーマーケットの仕事を生涯続けていきたいのか、自分自身に問いただしたかったのです。結果的に起業することを決意し、さまざまな苦労がありながらも現在に至るまで事業を続けています。

OICグループとの出会いで、チャンスが溢れる職場へ

ーー仕事をする上で大切にしている考えをお聞かせください。

秋葉弘道:
お客さまに喜んでもらうためにはどうしたら良いかを常に考えて、正直な商売をすることを心がけています。「売れればいい」という考え方ではなく、野菜や果物を購入したお客さまやそのご家族が、家で調理を行ってそれを食べて喜ぶ顔を想像できるような仕事をすることが大切だと考えています。

ーーOICグループとM&Aが成立したことで何か変化はありましたか?

秋葉弘道:
M&AをするにあたってOICグループの高木代表から、「アキダイは今まで通りアキダイのままでいい」とおっしゃっていただいた通り、基本的には何も変わっていません。ただ、OICグループの若手社員7名が勉強のために弊社の店舗で働くようになりました。

2023年3月のM&A成立からこれまでに4店舗がオープンし、今後、店長などのポストが増えていく見込みです。社員にとってチャンスがたくさんあるので、現在はみんなが自分の目標に向けて切磋琢磨している状態です。「グループの年商を2兆円にしたい」というOICグループの目標達成に、弊社の発展をもって貢献していきたいと考えています。

感謝の気持ちを忘れず、自分と周囲を幸せに

ーー今後の展望について教えてください。

秋葉弘道:
私が退職しても社員が困らない状態をつくりたいです。仕入れや店舗運営など、全部を私と同じようにできる後継者を育てるというのは少し難しいかもしれません。そこで、役割分担を行って数名で弊社の未来を担っていくようなグループに育てていきたいと考えています。現在何名かの候補者がいますが、失敗を恐れずにたくさん挑戦して、どんどん成長してもらいたいですね。

ーー最後にメッセージをお願いします。

秋葉弘道:
人生において大切なことは、自分自身が幸せと思えるかどうかだと考えています。私にとっての幸せとは、パートナーや自分の周りの人が幸せであることです。そのため、「ありがとう」という感謝の言葉を大切にしながら、日々の生活を送ることを心がけています。

この気持ちは社員にも常に伝えていますし、これを読んでくださっている皆さまにもぜひ実践していただきたいと思います。周りの人たちへの感謝の気持ちを忘れずに、ご自身と大切な方々の幸せを築いてください。

編集後記

人前で話すことが苦手だった少年が、青果店のアルバイトで人と話す喜びを知り、今では多くの社員を率いるリーダーとなった。その歩みは、自分らしい生き方を追求した軌跡そのものといえるだろう。M&A後も変わらぬ経営理念を持ち続け、若手の育成にも力を注ぐ秋葉社長の目には、経営者としての揺るぎない信念が宿っていた。

秋葉弘道/1968年生まれ。埼玉県立狭山工業高等学校を卒業後、大崎電気工業株式会社に入社。その後、高校時代にアルバイトをしていた青果店に転職し、独立に向けて修行を積む。1992年、株式会社アキダイ(旧有限会社アキダイ)を創業し、代表取締役に就任。