昨今では購入費用や維持費などの経済的負担から、20〜30代の車離れが進んでいる。そんな中、独自のビジネスモデルで急成長を遂げている自動車販売会社が、株式会社ジョイカルジャパンだ。起業の経緯や他社にはないオリジナルのサービス、および海外進出について、代表取締役社長CEOの早川由紀夫氏にうかがった。
自動車整備工場をフランチャイズ化して急成長。これまでなかった新たなサービスを開発
ーーまずは貴社の事業内容を教えていただけますか。
早川由紀夫:
1つ目はフランチャイズ(FC)事業で、自動車整備工場を加盟店とし、新車販売を行うBtoBtoCを展開しており、FC店と直営店舗を含め、北は北海道から南は沖縄県まで、全国に約600店舗を展開しています。
2つ目はEC事業です。オンラインで審査の申請ができ、自宅で車を受けとれる、自動車版Amazonのようなサービスです。3つ目は、グローバル(海外)事業で2024年にジョイカルフィリピンというフィリピンでの店舗展開を開始しました。
ーーどのような商品やサービスを展開しているのでしょうか。
早川由紀夫:
新車購入時に費用の半額を後払いにできる新しいオートローン「ハーフマックス」や月々8,800円から新車に乗れる「セブンマックス」、3年ごとに新車に乗り換えられる「NORIDOKI」(ノリドキ)などのカーリースサービスもご用意しています。
さらに、解約できないリースサービスが一般的な中で自由に解約が可能なリースプラン「NORIDOKI FREE」(ノリドキフリー)や、毎月のカーリース料金をクレジットカード決済することでポイントやマイルが貯まるサービスなど、新しい取り組みも行っています。
ーー貴社ならではの強みをお聞かせください。
早川由紀夫:
自動車整備工場向けフランチャイズのビジネスモデルを確立している点が弊社の大きな強みです。地域密着型の自動車整備工場では、すでにしっかりとした顧客基盤があります。また、自動車整備業を行うにあたっては国土交通省や地方運輸局の認可が必要なため参入障壁が高いのも事業の特徴です。
なお弊社では「自動車整備工場の未来の現場をつくる」をミッションの一つに掲げています。新車購入サービスを提供することで整備事業も伸ばし、経営の安定化につなげたいと思っています。
また、見積作成の際、現金、ローン、リースなどのさまざまな支払方法のシミュレーションができる自社開発のジョイカル・アシスタント・システム(JAS)も成長の要因です。このシステムは全国の加盟店全てで導入されており、作業の効率化につながっています。
さらにお客様のニーズに合わせ、さまざまな商品やサービスを提供しているのも他社との差別化ポイントです。これだけ多種多様なサービスを展開している会社はあまりないでしょう。
過去の挫折から得た教訓を活かし、ストック型のビジネスを展開
ーー早川社長の経歴をお聞かせください。
早川由紀夫:
大学在学中から起業を経験し、卒業後は広告代理店を立ち上げ、イベント運営やセールスプロモーションを手がけていました。しかし、案件が単発のため長期的な収益が得られず、10億円程の事業には成長しましたが、起業から10年ほどで倒産を余儀なくされました。その後はシステム会社の経営や、知人が経営する会社の手伝いなどをしていました。
ーージョイカルジャパンを立ち上げたきっかけは何でしょうか。
早川由紀夫:
これまでの教訓から、継続的に収益を得られるストック型のビジネスモデル事業を立ち上げようと思ったのがきっかけです。そこで私のシステム開発やプロモーションスキルと、現会長の中村が自動車業界で培った知識をかけ合わせ、今のビジネスモデルを生み出しました。
社名はカーライフを楽しんでもらいたいという思いから、「エンジョイ」「カーライフ」でジョイカルにしました。
ーー創業時に特に苦労したことを教えてください。
早川由紀夫:
社員の給料を払えず、カード会社から借金をした時期もありました。また、はじめの100店舗の壁を超え、そこから300店舗に増やすまではとにかく試行錯誤の連続でした。
顧客それぞれの志向に合わせた商品開発。大切なのは「何を」するかではなく「誰と」するか
ーー車の販売以外にも幅広く事業を展開していますが、その理由をお聞かせください。
早川由紀夫:
縮小傾向にある日本市場では、顧客シェアを上げる必要があります。そのために取り扱う商品やサービスの幅を広げ、お客様の顧客シェアやLTV(※)を高めていこうと考えています。
そこで特に意識したのが、個々のニーズに合ったサービス開発です。リリースしたサービスの利用者数が伸びたときは、仕事をしていて特に楽しさを感じる瞬間ですね。
(※)LTV:ライフタイムバリューの略。顧客が生涯で企業にもたらす価値を指す用語
ーーこれまで大切にしてきた考えはありますか。
早川由紀夫:
私がビジネスをするうえで大切にしてきたのは、「何をするか」よりも、「誰とするか」です。会社説明会でもこの話をし、「みんなもこの人と仕事がしたいかという基準で私を見てほしい」と伝えています。
海外の成長市場へ参入し、年商500億円の達成を目指す
ーー採用に関する取り組みを教えてください。
早川由紀夫:
中途採用では、自動車販売のキャリアを持つ人材を積極的に採用しています。経験豊富な人材にジョイカルのノウハウを更に注入しご加盟いただいている各店舗に展開し、成果を上げていただく新たなキャリア育成を行うのが目的です。
新卒採用については、会社や私のことを知ってもらうため、さまざまな就職イベントに参加しています。また職場の雰囲気を感じていただくために、社内見学も実施しています。今後はInstagram(インスタグラム)などのSNSを活用し、PR活動をしていこうと考えています。
ーー最後に今後の展望をお話しいただけますか。
早川由紀夫:
人口が多く平均年齢も若い成長市場に進出し、さらなる売上の拡大を目指しています。今年2024年にジョイカルフィリピンを立ち上げ、来年以降はインドネシアへの進出も視野に入れています。
また20期目となる今期は年商200億円、2027年までには海外事業を軌道に乗せ、年商500億円の達成を目指します。お客様のカーライフをより楽しく便利にするため、新商品やサービスの開発を続けていきます。
編集後記
世間では車に対するどのような悩みがあるのかを探り、これまでにない新たなサービスを生み出してきた早川社長。人々のニーズを満たすサービスを提供してきたからこそ、これだけ多くの方から支持され、急成長を成し遂げたのだと感じた。株式会社ジョイカルジャパンは、日本だけでなく世界中の人々に楽しいカーライフを提供していく。
早川由紀夫/1966年生まれ。大阪府出身。起業家人生35年。大学卒業後23歳で起業を経験し、現在、全国600店舗を展開する売上130億円のジョイカルグループの創業社長。新車レンタルのEC展開「クルカ」に加え、国内のジョイカルビジネスをグローバル向けに展開中。社員教育にも熱心でマーケティング志向強化とコンサルティングセールス力向上により、2027年までに売上500億円を目指す。