※本ページ内の情報は2024年10月時点のものです。

藤岡頼光氏は、オートバイへの情熱から起業した後、英会話教育の普及にも力を注ぎ、ビジネスの世界で成功を収めてきた人物である。藤岡氏の経歴は、バイク便事業の創業に始まり、輸入バイクショップの設立、フィリピンのセブ島での英会話学校の運営と多岐にわたる。原動力は、好きなことに情熱を持ち続ける姿勢と、新しい挑戦を恐れない精神だ。

今回、藤岡氏がどのようにしてバイク便から英会話学校の設立に至るまでのビジネスを展開し、成功を収めてきたのか、その経緯とビジネスに対する哲学について詳しく話を伺った。代表取締役である藤岡頼光氏のユニークな視点と柔軟な発想が、いかにして株式会社QQEnglishの成功を支えてきたのか、その秘密に迫る。

バイク便から始まった起業家のストーリー

ーー最初に、これまでの経歴をお聞かせください。

藤岡頼光:
私の父は小説家で、自宅で原稿を書いていました。私は普通のサラリーマン家庭を知らなかったため、子どもの頃から「将来は何か自分で仕事を見つけるのだろうな」と考えていました。

26歳で最初に始めたのが「バイク便事業」でした。ちょうどその頃、バイク便という新しい職種が出てきたのです。バイクはライダーの持ち込み、事務所はアパートに電話1本あれば準備できるという手軽さがありました。それが後の「キュウ急便」の設立につながります。

ーーバイク便とは一見縁のなさそうな、英会話学校を始めたのはなぜですか?

藤岡頼光:
もともとオートバイが大好きだったので、2000年に輸入バイクショップの「コネクティング・ロッド」を設立しました。その関係でイタリア人の友達ができ、彼らと通訳無しで趣味のバイクの話をしたくてフィレンツェの学校に入学したのですが、全くだめでした。イタリア語は合わなかったのです。

そこで、イタリアのエリートが皆英語を話すことに気付き、英語を学び直そうと2005年にフィリピンのセブ島に留学しました。留学生活は楽しく、ある程度英語が話せるようにはなりましたが、数ヵ月で確実な効果がでるわけではありません。本業もあるため、数週間から数日ずつ、細切れに1年近く通うことにしました。

留学中に見つけた英会話学校運営という新たな可能性

ーーQQEnglishを設立した経緯をお聞かせください。

藤岡頼光:
知り合った韓国人が独立してセブ島で英会話学校を始めたのですが、彼が帰国する際に、その学校を買わないかと提案してきたのです。本業ではありませんでしたが、当時運営していたバイク便事業では、毎日何百人ものライダーがさまざまな会社へ荷物を運んでいたので、そのライダーにオンライン英会話の宣伝もお願いできるのではと思い付きました。そこで「キュウ急便」にちなんで「QQEnglish」と名付けて英会話学校を引き継いだのです。

しかし、1日にパンフレットを10万枚配布しても、反響はゼロでした。バイク便の会社がフィリピンで英会話学校を運営し、しかも当時はまだ一般的ではなかったオンラインレッスンを提供するというサービスは、十分な信用を得られなかったのです。オンライン事業の宣伝は、オンラインで行わなければならないと痛感しました。それでも何とか立ち上げ、次に実地のレッスンも必要だと考えて、翌年に留学事業も始めました。

ーー貴社のレッスンの特長はどのような点ですか?

藤岡頼光:
英語の勉強法はいろいろありますが、共通して大切なことは継続することです。その点において、私自身はしっかりと継続して実力をつけることができたと思っています。その実体験を活かして、同じ仕組みを構築したのです。
せっかく留学で得た英語力も、日本に帰って何もしないと、すぐに忘れてしまいます。それを回避するために、私が実行した方法は、現地の先生にパソコンを持ってもらい、スカイプを使って東京でも勉強を続けることでした。この方法をそのまま取り入れたのです。

長期の留学は難しいため、まずはオンラインで始める。しかし、それだけでは続かないことがあるので、セブ島への留学という目標を設定します。「フィリピンの先生に実際に会う」という夢を叶えようと、モチベーションが高まり、勉強にも熱が入るのです。オンライン学習とセブ島留学を「QQEnglish」の両輪として、その相乗効果を最大限に活かしてきました。「3ヵ月でペラペラ!」というようなことは、絶対にあり得ませんから根気強く継続させることが大切です。

私は、フィリピン人が世界で最も優れた英語教師だと考えています。彼らの母国語はタガログ語ですが、努力して英語を習得し、世界で最も成功した英語教育を体現しているのです。そんな彼らを正社員として採用し、自宅ではなくオフィスでレッスンを提供することで、収入を安定させて定着率を高めます。生徒はいつでも同じ先生から学ぶことができるため安心感が高まり、先生に会いたいという気持ちにもつながるのです。

世界への「Gateway」として世界中の人々が集まるコミュニティを構築

ーー今後の展望についてお聞かせください。

藤岡頼光:
現在、小・中学校の英語教育カリキュラムのお手伝いも進めています。学校単位でオンライン授業を実践するには大変な費用がかかりますが、私たちのシステムを使えば、コストを抑えることができます。また、セブ島で経験を積んだ先生方を学校に派遣する事業も展開しています。やはり語学は、幼少期から始めると身に付きやすいですからね。

現在、150社ほどの企業・学校に弊社のオンライン英会話をご利用いただいており、学校に関しては、夏休み期間などを利用してセブ島留学へのご参加もいただいています。

私たちのビジョンは「To be the Gateway to the world」です。世界の人々が集まるコミュニティを、まずオンラインで構築し、留学によるリアルな体験へとつなげていきたいと考えています。そのステップとして、基本であるマンツーマンレッスンの他、グループ・レッスンも取り入れています。また、私たちのオンライン・スクールの特長の一つは、日本人だけでなく外国人の生徒も多いということです。特に中国人やブラジル人の生徒が増えています。今後、「QQEnglish」を通じて、国際的な交流の機会がさらに広がることを期待しています。

編集後記

「好きなもの」への思い入れを表情豊かに語る藤岡社長。一見無謀とも思える決断を次々と成功に導く藤岡社長の行動力の秘密が垣間見えた。常に前向きで挑戦を恐れない姿勢が、事業の成功に大きく関わっているのではないだろうか。藤岡社長が率いる「QQEnglish」の次なる挑戦がどのようなものになるのか、未来への期待がますます高まる。社長の情熱がさらなるビジネスの成功に発展するであろう今後にも注目していきたい。

藤岡頼光/1965年生まれ。高校を卒業後アメリカに留学。1992年にバイク便の「キュウ急便」設立後、ヨーロッパの輸入スクーター専門店を創業。イタリア人とバイクの話ができなかった苦い思いをきっかけに英語学習を始める。自身の英語学習体験をベースに2009年、オンライン英会話「QQEnglish」を創業。翌年にフィリピン・セブ島での留学事業を開始。