IPO支援サービスで国内トップクラスのシェアを誇るブリッジコンサルティンググループ株式会社。代表取締役CEOの宮崎良一氏は、リーマン・ショック時に、疲弊した企業を救うための具体的な支援が求められていることを痛感した。そこで、企業再生への強い使命感、そのための実践的なコンサルティングを提供するべく、2011年に同社を設立した。
今回は、宮崎氏がどのような理念のもとで同社を立ち上げ、国内有数のコンサルティング企業に育て上げたのか、その経緯と強み、そして今後の展望について詳しく伺った。
公認会計士になるまでの道のりと起業のきっかけ
ーー幼い頃から会計士を目指していたのですか?
宮崎良一:
家族が税理士として働いていた影響もあり、大学時代に将来を真剣に考えた結果、一般企業に就職するよりも、専門的なスキルを持つことが重要だと感じ、公認会計士を目指すことを決意しました。
公認会計士の業界は非常に特殊であり、大学在学中に試験に合格した大半の人が、4大監査法人のいずれかに就職します。私もその一員としてデロイトに入社しました。約5,000人が働く組織で、企業が個々の適性を見極め、最も適した部署に配属するシステムが取られています。私はスタートアップやベンチャー企業を支援する部署に配属され、急成長する企業の会計監査を約5年間担当しました。
ーー起業のきっかけは何だったのでしょうか?
宮崎良一:
2008年にリーマン・ショックによる、世界的な株価の暴落で、当時私が担当していたスタートアップ・ベンチャー業界が軒並みダメージを受け、立ち直れない会社が続出する時期がありました。
監査法人側もビジネスとして行っているので、疲弊している会社の支援が難しくなり、リーマン・ショックが起きた翌年、翌々年から契約を次々と終了せざるを得なくなりました。私は22歳の頃からそのような環境にいて、「危機的状況にある会社を立て直したい」と思うようになり、実現できる環境に身を置きたいと考えた末、2011年にBridge(現ブリッジコンサルティンググループ)を設立しました。
経営管理支援のプロフェッショナル集団の事業展開
ーー貴社の特徴を教えてください。
宮崎良一:
弊社の特徴は、独立会計士との強いつながりによって、いただく案件ごとに最適なチームを組み、サービスを提供することで、労働力不足の環境下でもリソース面が負担にならないビジネスモデルの開発運用です。
そして、会計コンサル業界では唯一の公認会計士人材を活用した「プロシェアリング」事業は、正社員のプロ人材だけではなく、会計士業界だからこそ成り立つビジネスモデルです。同事業の中にコンサルティングサービスと人材紹介サービスが2つあるという枠組みです。
コンサルティングサービスには、リスクマネジメント支援・IPO(新規上場)支援・アカウンティング・M&A支援の4分野のサービスがあり、人材紹介ではハイクラス人材に特化したサービスを提供しています。
IPO実績トップクラスのシェアを獲得できた理由と秘訣
ーー貴社の実績や、強みについて教えてください。
宮崎良一:
弊社では、全体の約65%のお客様が新規上場を目指す企業であり、残りの約35%が既に上場している企業です。IPO準備企業は、新規上場に向けて幅広い支援を必要とし、一方で上場企業は、上場を維持するための経営管理業務支援を求めています。
昨年は、国内新規上場96社のうち22社を支援し、IPO支援実績で約23%とトップクラスのシェアを誇る企業となりました。このような高いシェアを獲得できた理由は、前述の「プロシェアリング」というモデルを用いて、高品質なサービスを安定的に提供できる点にあります。
ーー新規の顧客獲得で注力されていることは何でしょうか?
宮崎良一:
現在、新規上場を目指す企業は国内に約1,500社、上場企業は約3,800社、合計で約5,300社存在し、弊社が支援している企業はそのうち約450社です。今後、さらにシェアを拡大していきたいと考えています。
新規のお客様は主に紹介によって増えておりますが、相見積もりになることも多く、その際に弊社を選んでいただけるよう、実績やサービス提供の考え方をメディアを通じて積極的に発信しています。継続的な取引を目指し、弊社との契約が企業にとって大きなメリットとなるよう、自社のブランド力を向上させていきたいと考えています。
ーー貴社が求めている人材像と今後の展望についてお聞かせください。
宮崎良一:
公認会計士業界は最近、特に注目を集めている分野です。資格取得希望者が減少傾向にある中で、公認会計士を目指す人の数は増加しており、受験者数も増加傾向にあります。また、公認会計士出身者でCFO(最高財務責任者)として活躍する人も多く見られます。
弊社では、学術的な業務以上に、お客様の売上や利益、組織運営を効果的かつ効率的に進めるためのアドバイスや解決策を提供することが主要な仕事であり、そのため経営者志向の方や、将来経営者を目指す方を求めています。
弊社は、社会に欠かせないインフラのような存在になりたいと強く願っています。具体的には、国内にいる約4万3,000人の公認会計士をネットワーキング化し、時代に合わせて最適に活用する、“経営インフラ”というビジョンの実現です。
編集後記
リーマン・ショックを契機に、限界に追い込まれる企業を救いたいという強い思いから会社を立ち上げ、IPO支援業務でトップクラスのシェアを獲得してきたブリッジコンサルティンググループ株式会社。宮崎社長の言葉からは、社会に必要とされる存在を目指す熱意が伝わってくる。高品質なプロシェアリング事業は同社の大きな強みであり、今後も経営者としての視点を持つ会計士が増えていくことが期待される。
宮崎良一/1983年兵庫県生まれ。同志社大学卒業後、大手監査法人にて会計監査、IPO支援業務、内部統制支援業務、IFRS導入支援業務などを経験。その後、2011年にBridge(現ブリッジコンサルティンググループ株式会社)を設立。公認会計士を中心としたプロシェアリング事業により、多くの成長企業を支援している。