※本ページ内の情報は2024年11月時点のものです。

今の日本には数多くのスタートアップ企業が存在し、その経営と成長をバックアップしている企業も存在している、志水社長が創業したフォースタートアップス株式会社は、スタートアップ企業への人材支援を中核とした成長産業支援事業を行っている。今回は志水社長の創業の原点、今の日本社会への想い、そして今後の展望についてうかがった。

人生のターニングポイントとなる出会いが創業の原点

ーー起業する前に影響を受けた貴重な出来事、出会いがあったそうですが、詳しく教えてください。

志水雄一郎:
新卒で入社したのは株式会社インテリジェンス(現・パーソルキャリア株式会社)で、ここで経営者や同僚たちとの貴重な出会いが多くありました。私にとって、インテリジェンスの創業者である宇野康秀氏の影響は特に大きく、「日本の人的インフラをつくりたい」と強く訴える彼の姿に刺激を受けました。それがきっかけで、宇野氏と一緒にキャリアを歩みたいと思うようになったのです。

ーー起業をする意思を固めたきっかけは何でしたか?

志水雄一郎:
インテリジェンスでは、゙求人情報・転職サイト「DODA(デューダ:現・doda)」の立ち上げなど、主に新規事業の立ち上げに18年従事した後、自分の可能性をさらに見出したいと思い、転職活動をスタートしました。

その頃、私は同時にあることに問題意識を持つようになったのです。それは、日本の経済的な停滞や国際競争力の低下が始まっており、私も周囲の友人たちもその課題解決に正しく向き合っていないということでした。私はこれを「知らない悪」と呼んでいます。

そんな折にご縁を頂いたのが、当時上場を控えたウィルグループでした。上場後の事業ポートフォリオの拡張を見据え、新規事業立ち上げの機会を頂き、゙求人情報・転職サイト「DODA(デューダ:現・doda)」立ち上げを行った仲間と共にユニットで転職させて頂き、フォースタートアップスの前身となる事業をスタートさせました。

――インテリジェンスの経験は、現在の経営においてどのように活かされていますか?

志水雄一郎:
インテリジェンスでの経験は、私の経営スタイルに大きな影響を与えました。特に、宇野氏の「社会を変える」という言葉が内包する強いビジョンや言霊のようなメッセージ性、それを実現するための具体的な戦略は、現在の私の経営方針の根幹を成しています。彼から学んだリーダーシップや組織運営の方法を実行することは、フォースタートアップスを成長させるうえで欠かせない要素です。

社会全体を俯瞰しながら成長産業の創出を図る

ーー事業へのこだわりについて教えてください。

志水雄一郎:
私自身としては、産官学民が連携した強力な挑戦者支援、成長産業支援を通じて、日本の国際競争力と人の高い志を取り戻し、次世代に可能性溢れる時代を継承することを推進したいと考えており、私が経営するフォースタートアップスでは、スタートアップ企業への人材支援を中核とした成長産業支援事業を展開しています。

フォースタートアップスは創業から8年となりますが、やっと時代が追いついてきたように思えます。

今や新産業創出・育成は、日本政府の骨太の方針にも記載があるように、重要な国家の成長戦略の中核テーマの一つとなっており、私たちはその実現のためにコミットする国内最大規模のエコシステムビルダーとなるまで成長しています。

持続可能性ある地球を実現するためにはどんなペインの課題解決にどんなイノベーションが必要なのか?人類が進化・成長するためにはどんなイノベーションが必要なのか?日本が国際競争力を向上するためにはどんな産業が、どんな企業が必要なのか?逆算から考えていくこと。

従来より単なる人材紹介という枠を超えて、データドリブンで、かつ、人とお金を組み合わせたハイブリッドキャピタルというビジネスモデルを推進してきましたが、今では、スタートアップ育成5ヶ年計画でも3本の柱として掲げられているヒト、カネ、オープンイノベーションという3つの支援分野を手掛け、日本が持つ現在・未来のペインの課題解決のために全メンバーが全身全霊を賭けて取り組むことができるチームを作り上げてきました。

イニシアティブを発揮し、日本社会をより強いものに変えていく

ーー今の日本社会についてどう思いますか?

志水雄一郎:
日本では人材ビジネスは大きく成長を遂げました。支援をする側の企業が大きく伸びているのに、支援される側の産業は世界の中では伸び悩みの状態。この原因は、逆算思考ではなく、目先のマネタイズを優先してきた歴史にあると思っています。

また、今の日本は、人が本来持っている能力を発揮できていない気がします。だからこそ、各々の可能性を解放し、「生きる」ということがどんなに素晴らしいかを全員が理解をしたうえで挑戦できる社会を実現していきたい。

人が挑戦し、世界が熱狂するようなサービスが生まれて世の中が豊かになれば、人が「いい顔」をしていられる世の中になると思います。いろいろな情報をインプットしたうえで取捨選択をしながら、責任と覚悟を持って前を向いて生きていく人たちが増えるような社会に変わっていってほしいですね。

ーー最後にフォースタートアップスに対する想いと社会貢献についてお聞かせください。

志水雄一郎:
この事業を始める際に自分で決めたことがありました。強力なスタートアップ支援産業というものが今の日本には必要で、そこから新産業が生まれ、その新産業が成長しながらかつてのような強い日本が復活すると思っています。私たちは、スタートアップ支援産業においてイニシアチブ(主導権)を発揮するような存在になりたいと思っています。

世界で一番のブライトキャリアは起業家だと思っています。起業家というのは、自らのミッションやバリューを語り、仲間を集め、社会や未来が持つペインの課題解決のために、その時代に合ったプロダクト・ソリューションをつくり、売上と利益を上げる存在です。事業で得られた収益、個人で得られた資産は、社会システムの発展に貢献することもできます。例えば、基金をつくって次世代のために使い、学校の寄付に回す。さらなる成長により大きな雇用を創出し、時代を代表する会社へと成長を遂げるのです。このようなアクションはかっこいいし、影響力もあると思います。

編集後記

志水社長へのインタビューを通して、日本の発展を支え、国力を強くしたいという情熱を強く感じた。自ら「スタートアップ支援産業においてイニシアチブを発揮したい」という思いを抱きながら、今後の日本の未来を引っ張っていく人材インフラとしての同社の動きから、ますます目が離せない。

志水雄一郎/1972年生まれ。株式会社インテリジェンス(現・パーソルキャリア株式会社)にて求人情報・転職サイト「DODA(デューダ:現・doda)」立ち上げなどを経て、2016年に株式会社ネットジンザイバンク(現・フォースタートアップス株式会社)を設立し、代表取締役社長に就任。