エコートレーディング株式会社は、ペット関連商品の企画・開発・卸売を手がける企業だ。同社は食品業界出身の豊田社長のリーダーシップのもと、ペットの健康に焦点を当てた事業展開を推進。そこにマーケティングの専門知識も活かし、ペットと人間の幸せな共生社会の実現を目指している。人口動態の変化を見据えつつ、ペット業界の未来を切り開こうとする同社の挑戦について、代表取締役社長の豊田実氏にうかがった。
マーケティングのプロが辿り着いたペット業界
ーーこれまでのご経歴について、教えてください。
豊田実:
私は大学卒業後、大手製粉会社に入社しました。最初の4年間は、システム部門でシステムエンジニアとして働きました。26歳で異動となり、九州エリアで約5年間営業を経験し、自分の知識不足を痛感しました。お客さまに対して、真に役立つ情報を提供できない限り、ビジネスの世界では通用しないと強く感じたのです。そこからマーケティングの勉強を本格的に始め、学んだことを実践するなかで、知識と知恵を積み重ねていきました。
その後、グループの中で要職を歴任し、2015年に弊社へ入社しました。エージェントから紹介された当初は、あまり弊社への転職について前向きに考えていませんでした。ところが、創業者との面談で「こちらがあなたを見定めているのではない。あなたが私たちを見ているのだ」と言われ、彼の人柄に引かれて、ここで働いてみようと思いました。
ーー現在のペット業界をどのように捉えていますか?
豊田実:
ペット業界は非常に有望な市場だと考えています。日本の人口は減少し続けていますが、世帯数は増加しているのです。これは単身世帯の増加を意味し、ペット需要の拡大につながると考えています。また、日本のペット飼育率は欧米に比べてまだ低いため、成長の余地がまだまだ残されているといえるでしょう。
マーケティングデータをもとに業界の将来性を分析すると、人口動態や世帯構成の変化から、ペット市場の潜在的な成長力が見えてきます。この業界にはまだマーケターが多くはないので、私たちのようなマーケティング志向の企業が果たせる役割は大きいと考えています。
「健康管理」を軸にしたペットとの共生の実現
ーー貴社の事業内容ついて教えてください。
豊田実:
弊社は、ペットとの真の共生を目指し、さまざま事業を展開しています。主な事業は、ペット関連商品の企画・開発・卸売です。私は食品業界出身のため、特に「食」の重要性に注目して、ペットの健康に焦点を当てた事業展開を行っています。
他には、株式会社ペットペットが運営する飼い主さまに向けたペット情報総合サイト『PETPET』で、動物病院やトリミングサロンなどの情報を発信したり、株式会社stepdaysが運営するペットの健康管理をサポートするサイト『ペット手帳』、またオンライン診療をKPIとする『ペットシェルジュ』へ投資をしています。ペットの幸せのために、正確な情報提供と健康管理の両面からアプローチしているのです。
ーー貴社が考える「ペットとの真の共生」とは、どのようなものでしょうか?
豊田実:
ペットとの真の共生とは、ペットを家族の一員として尊重し、その健康と幸せを第一に考えることだと考えています。私自身、以前はペットを飼っていませんでしたが、今はわんちゃんと暮らしています。ペットは「パートナー」であり「相棒」なのです。そんなペットたちがどうすれば楽しく快適に過ごせるかを考えることが、私たちの仕事の本質だと思っています。
また、ペットを飼うことで、人々の生活がより豊かになるという側面も重要ですね。ペットとの暮らしはペットとはもちろんさまざまな人とのコミュニケーションを生み出し、人々の心を癒し、社会全体をより温かくするものと信じています。この考えのもと、ペットと人間がともに幸せに暮らせる社会の実現に向けて、日々事業を展開しています。
「ジャパンクオリティ」をもとに世界一のペット用品企画会社を目指す
ーーペットフードの企画においては、どのようなことにこだわっていますか?
豊田実:
私たちが目指しているのは、ヒューマングレード以上の品質です。ペットは体が小さく、代謝サイクルも人間より短いため、より高品質で安全な食品が必要です。そこで私たちは、ペットにとって最適な栄養と安全性を追求した「ジャパンクオリティ」という概念を打ち出しています。特に食品分野では、日本は世界でもトップクラスの技術を持っているので、この強みを活かし、ペットフード業界で世界をリードする存在になりたいですね。
ーー今後の展望をお聞かせください。
豊田実:
私の目標は、弊社を世界一のペットカテゴリー企画会社にすることです。ペット業界はまだまだやるべきことがたくさんあると考えています。たとえば、ペットの健康管理や栄養面での課題、そして飼い主とペットの関係性の向上など、取り組むべき分野は広範囲に及びます。だからこそ、私たちにはチャンスがあります。ペットとその飼い主の笑顔を世界中に広げられるよう、これからも挑戦を続けていきます。
編集後記
豊田氏が持つ、マーケティングのプロフェッショナルとしての分析力と、ペットへの深い愛情が融合した独自の視点が印象的だった。健康管理を軸にした事業展開や、デジタル技術の活用など、ペット業界に一石を投じるような発想には新鮮さを覚える。ペットとの真の共生社会の実現に向けた明確なビジョンと具体的な戦略が、私たちに明るい未来を届けてくれそうだ。
豊田実/1955年、東京都生まれ、学習院大学卒。1978年に日清製粉株式会社に入社し、2008年に取締役に就任。2012年、日清製粉プレミックス株式会社の常務取締役に就任。2015年、エコートレーディング株式会社に入社し、2016年に代表取締役に就任。