プライムテック株式会社は、世界中の最先端テクノロジーを駆使した研究機器やシステムをライフサイエンス分野の研究者たちに提供し、その活動を支える会社だ。
1996年に代表取締役に就任した荻原亮介氏は創業メンバーとして経営に携わり、設立2年目から会社を軌道にのせた。1996年に代表取締役に就任後もその勢いを止めず、23年連続で会社を黒字化させている。優れた経営手腕で会社を成長させる同氏に、医療の発展に向けた同社の取り組みについて聞いた。
医療業界で長年の経験を積んだ後「自分で会社を興すしかない」と一念発起
ーー今までの経歴と創業の経緯をお聞かせください。
荻原亮介:
新卒で医療機器を扱うメーカーに入社し、海外事業部で医療機器の輸入販売の仕事に従事しました。アメリカでトレーニングを受けさせてもらう機会もあり、非常に勉強になりました。ただ、そのときは英語を上手く話せず、悔しい思いをしたことを覚えています。
7年ほど勤めてから転職し、次の会社では医療機器の輸入販売を行う新規事業を任されました。大企業だったので、事業報告会などにも毎月参加し、ほかの部門と連携をとる機会も多くありました。そういった中で1988年にプライムテックを創業したのは、「会社組織に縛られず、自分たちで自由に意思決定できる会社を始めたい」と思ったのがきっかけです。
研究者のニーズに基づいて最先端の機器や試薬を世界中から探し出す
ーー事業内容を教えてください。
荻原亮介:
主な事業は、研究機器や試薬の輸入販売です。弊社は、マウスの体内にデバイスを埋め込み、測定した血圧や脳波のデータを無線で飛ばす機器の輸入販売で成長しました。この機器は、マウスを最大72匹同時に測定でき、体内に埋め込むだけで良いので一切動物に触れることなく自由活動下の動物からのデータを取得できることが特徴です。
その後、会社が成長していく過程で、超音波、CT/MRI、PET/SPECTの実験動物用画像診断装置など、マウスの体内で何が起こっているのかを把握するための装置を手がけるようになりました。現在は、遺伝子や細胞などのバイオサイエンス分野にAIが融合していくことを見越して、この分野の研究機器・試薬の輸入販売にシフトしている最中です。
私たちの事業の柱は「統合的なソリューション」で、簡単にまとめると「全部カバーできる」ということ。生理学や分子生物学、細胞生物学など、ライフサイエンス系の分野全般の研究機器の輸入販売を手がけています。
最先端の研究に挑戦している研究者のニーズに基づき、世界各地から最先端技術を駆使した高度な機器・システム・試薬を探し出すのが弊社の事業です。そして、卓越した技術力と専門知識をもって、それらをソリューションとして提供しています。
また、東京大学内に独自の研究室を所有しており、私たちが探し出した機器やシステム、試薬が的確に機能するものかどうかの検証も独自に行っています。
ーー貴社ならではの特徴はどういった点にありますか。
荻原亮介:
最先端の機器を取り扱っていること、そして研究者のニーズを適切に理解する必要があることから、高学歴で優秀なスタッフが多いのが特徴です。
私たちは、研究者であるお客様のニーズにフォーカスすることを重視しています。すごい機器をただ売れば良いという考え方ではなく、お客様が求めているものを把握し、そのニーズに合ったものを提供することを大切にしてきました。
会社の経営方針に関しても、5年後、10年後に会社をどうしていくべきか考える際は、まずお客様のニーズを明文化し、それを踏まえて落とし込むようにしています。
あらゆる分野のソリューションを提供することで人を救う
ーー今後の注力テーマを教えてください。
荻原亮介:
組織力の強化です。これまで個人の力で会社を成長させてきましたが、これからはチームで会社を経営しなければならない時代です。
事業計画を立て、アクションプランを練っても、オペレーションが上手くいかなければ意味がありません。これから新しい機器を扱う際も、チーム全体で効果的に取り組める体制を目指していきたいです。
ーー最後に、貴社の求める人材像についてお願いします。
荻原亮介:
求める人材像は、私たちの理念に共感できる人です。弊社は、薬を開発する研究者や、より効果的な治療をしたいと考えている研究者など、医療の第一線の研究者たちにソリューションを提供しています。
それで結果が出れば、人を助けることができます。たとえば心臓外科医は脳の疾患を治せませんし、脳外科医は心臓の疾患を治すことはできません。しかし、私たちにはその両方を支えられる可能性があります。プライムテックの可能性は無限大なのです。
この考え方に共感してくれる方はきっといるはずですし、同じ考え方で会社を成功させたいと思ってくれる方が弊社に集まってくれると嬉しいです。
編集後記
「プライムテックの可能性は無限大」と語る荻原社長の言葉からは、自分たちの事業が人々を助けていることへの誇りが感じられた。
医学は日進月歩で発展しており、その陰には高度な専門技術を持つ研究者たちがいる。彼らにとって最適なソリューションを提供する同社なら、分野を越えて広く医療界に貢献し、これからも多くの人を助けてくれるだろう。
荻原亮介/千葉県生まれ、日本大学理工学部物理学科を卒業後、医療機器メーカーに入社、海外事業部で医療機器の輸入販売を行う。7年後上場会社に転職し、医療機器の輸入販売を行う新規事業に従事。1988年、プライムテック株式会社を設立し、1996年、代表取締役に就任し、現在に至る。