※本ページ内の情報は2024年11月時点のものです。

家屋の増改築や水回り・外壁のリフォーム事業を専門とする株式会社リフレット。「困っているお客様をお待たせしない」ように、サービスの提供エリアは、本社を置く埼玉県ふじみ野市から車で20分以内に限定している。代表取締役の多田良雄氏に、起業のきっかけやサービスにこめた思い、今後の展望についてうかがった。

新卒で味わった挫折。父のもとで大工修行を経て独立

ーー起業までの流れをお話しいただけますか。

多田良雄:
大学を卒業し、旅行会社に3年ほど勤めました。就職先の決め手は「トレンディドラマのように都会の中心でかっこいい仕事がしたい」というもので、業界に対して高い志を持つ人と僕の間には、最初から大きな差がありました。そして、「技術や知識による裏付け」がなければ、社会で信用されるに値する仕事ができないのだと痛感したのです。

昔から目立ちたがり屋だった僕は、旅行業界でもいずれ社長になるつもりで飛び込みましたが、結果的に挫折を味わいました。次の仕事では「お客様に喜んでもらうための努力」をおろそかにしないと決意し、大工である父のもとで修行する道を選んだ次第です。

多くの失敗から気づきを得ながら人間性を磨いていく中で、人に助けてもらわなければ会社は成り立たないことを知りました。「一人で家をまるごと建てられるようになる」という父との約束も果たし、30歳で独立開業して今に至ります。

リフォーム事業の「縁」の広がりに魅了され超地域密着企業に

ーーリフォーム事業で独立したきっかけをうかがえますか?

多田良雄:
父が注文住宅を多く手がけていたことから、職人時代は「新築事業の会社を立ち上げる」という夢を持ち、新築工事に必要な技術や資格を身につけていきました。解体作業で埃にまみれるリフォーム事業の魅力に気づいたのは職人修業の終盤でした。

リフォーム事業は新築工事の合間に請け負っていたので、家のお困り事や不便を解決したいお客様をお待たせしてしまうことが気がかりでした。一方で、リフォームは新築工事よりもお客様との絆が深まりやすいと気づきました。仕事場は住居なので、お住まいのお客様と毎日顔を合わせるだけでなく、リフォーム後の家の変化を喜んでくださる姿も自分の目で見られるのです。

リフォーム後も気軽に連絡をくださる方や、他の仕事を紹介してくださる方もいます。仕事の大小にかかわらずたくさんの人と知り合えて、縁が新たな縁を呼んでくれるリフォーム事業こそ「自分が一生やっていきたい仕事」だと思い、価値のある事業と確信して地元で設立しました。

ーー会社の強みをお話しいただけますか。

多田良雄:
最大の強みは「超地域密着」です。お客様をお待たせしたり、移動時間が社員の負担になったりしないよう、対応エリアを「本社より車で20分以内」と限定しています。

「一期百会(いちごひゃくえ)」という企業理念の浸透も強みの一つです。「一度の出会いで最高のおもてなしをする」「何度でもお会いさせていただく努力を怠らない」といった心がけを社内で共有しています。お客様の家に入る際は、自身の靴だけでなくお客様の靴もすべてそろえるなど、基本以上のサービスを評価していただくことも多くあります。また、お客様との打ち合わせ内容を記録シートとしてお渡しする取り組みも、会社の信用につながっていると思います。

ときにはお客様と手紙のやりとりも生まれ、大切な思いを伝えたいときに送るDMは手書きにこだわっていることも特徴です。「手づくりのハガキなんて捨てられない。何かあったらリフレットに頼むしかないね」と笑ってくださるお客様もいます。

「一生懸命」が報われる社会を目指して、得意分野で輝く人材を増やす

ーー社風や求める人材像をうかがえますか?

多田良雄:
「社員を大切にする」という点において、日頃のコミュニケーションに勝るものはないでしょう。幸いにもハイキングやバーベキュー、飲み会といった社内イベントも参加率が高いですね。

僕が一緒に働きたいと思うのは「人から愛される人」です。後継者にしたいと考えているスタッフは性格に裏表がなく、はっきりと自分の意見を伝えながら、情にも厚い人物です。若手の面倒をよく見てくれて、お客様への対応も一切手を抜きません。人から「大切である」と伝えられたことを忘れずに、尊重する人は愛されますね。

ーー今後の展望をお聞かせください。

多田良雄:
リフォーム事業は守備範囲が広く、覚えるべきことがたくさんあります。今後はそれぞれ違う得意分野を持つスタッフでチームを編成し、サービスを展開することで、リフレットのファンになってくださる人を増やしていこうと考えています。「Aは屋根や外壁専門、Bは水回り、Cは小規模工事」と特定の技術や知識を積み上げることで、お客様への提案の質もさらに上がるはずです。

僕は、一生このリフォームの仕事を続けたいと思っています。スマートで目立つとは言えない仕事だからこそ、一生懸命な人が報われる業界にしていきたいのです。リフォームという仕事を通して「社会を豊かにしたい」という思いに尽きますね。

編集後記

ずさんな対応が建物の命を左右することもあるリフォームにおいて、誰もが「心から信頼できる業者を選びたい」と考えるだろう。「都会的でスマートな仕事がしたい」という思いを一変させ、長く険しい職人の道を選んだ多田氏。「何度も選ばれるリフレット」には、挫折を通して学んだ「仕事と人に真摯であること」の大切さが深く根付いている。

多田良雄/1967年、埼玉県生まれ。城西大学経営学科を卒業。3年間勤めた旅行会社を退社後、大工の父に弟子入り。5年間の職人修行を経て1997年に独立、リフォーム専門の株式会社リフレットを設立。住宅リフォームを通じて、社会の幸せを目的に活動するかたわら、一般社団法人全国リフォーム合同会議の常任理事を勤める。